劇団ウンウンウニウム
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『その日、主人公は死んだ。』
9人芝居。120分。

<あらすじ>
主人公、七尾ゆーとは駆け出しの腹話術師をしている。ある日、人形が喋るという幻聴を聞きはじめ、精神病院に入院する。
ストレスの原因は2つ。合コンで知り合った「外子」によるストーカー行為。人形のモデルであるカノジョ「未来」との別れ。
退院後、未来の主催する劇団に自分の半生を書いた脚本の持ち込むをするが、その帰り道で殺されてしまう。

この芝居は独白劇である。そしてそのセリフが独白なのか、会話なのが曖昧なのが特徴になっている。
同様に劇と劇中劇の境界線がわざと曖昧になっており、どちらが現実なのか語る人によって変わる。
場面転換が多い為、舞台手前で演技をして、後ろで次のシーンの準備とか普通に行う。
限りなく暗転を少なくする。また登場人物が多いが役者は九人でまわせるようになっている。早着替えが要求される。

<登場人物>(便宜上、劇団ウンウンウニウムで演じた際の役者名で脚本が書かれている)

はる----患者B/夏川明菜/るりぃタン+みれぃタン
モリ----田村円子/入団希望者A/劇団員女/なすび姉さん/豊川ウメ
ピロ----スタッフA/ゆーとの友達A/入団希望者B/白石礼二
まり----屋久島いちご/
トキ----スタッフB/戸倉先生/ゆーとの友達B/入団希望者C/劇団員男/刑事
なし----上田外子/
かえ----ミルちゃん(人形)/院長=来栖未来
シン----七尾ゆーと / 織場シンジ
かな----カナリア女/劇団スタッフ(鳥野マコ)
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<時>
現代

<注意点>
照明を、全灯、上手のみ、下手のみ、スポット、赤色の五種類が必要。暗転中の移動や着替えは急ぎ足で。
場面転換を「待つ」コトをせず、常に会話が繋がっているように、そのリズムを大切にする。無音の時間を作らない。

<舞台>
中央にソファのみ。下手にすぐ出せるようイスと机を用意しておく。下手に中2階の階段とドアがある。別になくても良い。

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開演時間になると音楽が高まり、ゆっくりとF.O.
完全明転する。舞台中央のソファに(シン)七尾ゆーとが座り、膝の上に(かえ)ミルちゃんが座っている。
腹話術で場内アナウンスをする。ゆーとは必要以上に表情豊かに。ミルちゃんは人形っぽく動き、喋る。

シン 「(客席に挨拶する)はーい、みなさんコンニチ(バン)ワ〜・・・・・(一応、客の返事を待つ)。
    あれっ、ミルちゃん。ミルちゃんもキチンとご挨拶しなきゃ、お客様に失礼ですよ
かえ 「(人形喋りで、以下も)失礼なコトなんてねーよ
シン 「あらら、こんな言葉遣いしちゃダメじゃないかー、はい、ご挨拶。
かえ 「よく来たな、社会不適合者ども
シン 「あらあら、どこでそんな言葉覚えたんですか?
かえ 「おまえの前カノがよく言ってたからな
シン 「ひどいなー、あの人は・・・
かえ 「お兄さんのこと影でそう呼んでたよ
シン 「・・・ヘコむねー。
かえ 「ねーねーお兄さん、今日は一体なんの集会ですの?××××(某新興宗教)のありがたいお話でも聞けるのかな?
シン 「もーギリギリですねーミルちゃんは。。。可愛い顔して、そんな過激なこと言っちゃダメですよ
かえ 「けど、下はスッポンポンだよ
シン 「(少し照れて)・・・まー人形ですからね
かえ 「(笑顔で)、寄るな、この変態
シン 「・・・・・・。きょ今日はこれから楽しい楽しいお芝居が始まるんですよー
かえ 「へー、そーなんだー(そっぽ向いて特に棒読み)
シン 「興味なさそうですねー。
かえ 「うん、ない。
シン 「えっ・・・
かえ 「帰って絨毯にコロコロかけてる方がマシだよ
シン 「そっ、そんなことないですよー
かえ 「じゃ、面白くなかったら責任とれよ
シン 「・・・・上演にあたり、いくつか諸注意があるから聞いてください。
かえ 「おまえら、耳の穴かっぽじって聞けよな、全裸待機でな
シン 「なんで全裸になるかわからないんですけどね・・・。
    まずケータイ電話など音のなる機器は予め電源を切るかマナーモードにしておいてください。
かえ 「ケータイは叩き壊せ。
シン 「そこまでは求めてません
かえ 「そしてレアメタルを寄こせ
シン 「…お手洗いは、さっき入って来られたドアの左手にございます。上演中でもご利用いただけます。
かえ 「いただけません
シン 「いただけます。また会場内が寒い、熱いなどありましたら、お近くのスタッフに申し出て下さい。
かえ 「スタッフなんていないけどな
シン 「います。ドアの前に立っています。
かえ 「アイツ、最近、男にフラれたんだって
シン 「へーっ。けど、そーゆーこと公衆の面前で言っちゃダメですよ。
かえ 「テヘヘ、失敗失敗
シン 「結構、貢いでたって話なんだから
かえ 「キツーい、きゃはは、きゃはは
シン 「それではまもなく上演されます。そのままでお待ちください。
かえ 「はやく帰れ、きゃはは、きゃはは
シン 「(立ち上がり礼)
かえ 「(持ち上げられた感じで同じく礼)
---
照明が70%くらいの明るさに落ちる。スタッフABが登場して、立っているみーと+ミルちゃんを軸にソファを180度回転。
最終的に舞台にケツ向けたまま礼のカタチ。 スタッフは地味でテレビ局のADっぽい格好。キャップかぶったり、タオルを頭に巻いてる。
(モリ)なすび姉さんは一瞬しか出ない。お笑い芸人で、ゆーとと同じ劇場によく出ている。売れない芸人みたいなトレーナー姿。
スタッフBは中二階に退場。スタッフAはソファの後ろ(客席側)にイスを置いて、下手で机などを動かす。
---
シン 「(舞台袖の控え室に戻った感じで、ミルちゃんを下手の中2階の階段の途中に置く。水を飲み、新聞読み、疲れた様子)
かえ 「・・・・・・・(人形のまま)
シン 「、、、はぁ↓(溜め息)」
ピロ 「(スタッフA、シンに挨拶して、上手に退場)おつかれさまでーす
シン 「(元気なく)あっ、お疲れ様でーす。
モリ 「(ナスビ姉さんの格好で、上手から顔を出す)お疲れ〜。
シン 「(立ち上がり、礼)お疲れ様です
モリ 「(退場)
シン 「・・・・・・・・。(ボーッと)
かえ 「(そのままの姿勢と目線で、人形喋りで)しけた顔すんなよなー
シン 「!(驚き、かえの方を見る)
かえ 「・・・・・・・(人形のまま)
シン 「んっ?・・・ミルちゃん(と、階段のとこまで近づき、顔をまぢまぢと見るが、やはり人形)・・・だよね
トキ 「(スタッフB。中二階のドア(または下手)から登場)
シン 「(ビクッと驚く)
トキ 「お疲れさまでーす(そのまま階段の上から挨拶)
シン 「お疲れ様でーす(トキを眼で追う)何かさっき言いました?
トキ 「はい?
シン 「いや、なんでもないです。。。
トキ 「(階段をガシガシ下りて、ミルちゃんに当たる。そのままスルーして上手に退場)
かえ 「(ゆっくりと床に倒れる)イテッ
シン 「えっ!?
かえ 「(人形喋りで)起こせ、起こせよなー
シン 「あっ、はいはい。。。(起こして、また階段に座らせる)
かえ 「(人形喋りで)ゴメンもなしかよー、むかつくなー
シン 「そうですね。。。・・・えっ?!
かえ 「(人形喋りで)ナニ、アホ面さげてんだよ
シン 「・・・今、フツーに会話してますよね
かえ 「(人形喋りで)だからなんだっていうんだよ
シン 「えっ、、、、ええええぇぇぇぇぇぇっっっ!!!!

---暗転。 映像スタート。その間に舞台を作る。ソファを前に戻して、最初と同じような場面になる。
映像が終了したら、50%くらいの明るさに。ゆーとが落ち着かない感じで部屋を歩きまわっている。
かえは登場しない。舞台袖で院長先生の衣装を着て準備しながらセリフだけを言う。

シン 「(ギリギリ聞こえるくらいの独り言。未来に会う脳内シュミレートをしている)
     あー、久しぶり。久しぶり。。。やぁ。よぅ。。。あっ、君か!久しぶり。。。うーん。。
    (明転しているのに気付き) コボンコボン(と声の調子を整えてる。照明はスポットに移行)
    (以下、独白)これから僕の話をしようと思います。
    僕はこれから大事な人・・・に会う予定があって、んでちょっとナーバスになってます。
かえ 「(ミルちゃん、外から声のみ)それくらいで緊張するなよな・・・
シン 「・・・・(独白) 人に会うっていうか、あるオーディションなんですけど、 、、まぁそれはおいおい説明していきます。
かえ 「(外から声)おっ、どんな斬新な、今までにない説明をしてくれるの?
シン 「・・・普通です。
かえ 「(外から声のみ人形っぽく)かーらーのー???
シン 「・・・・・
かえ 「(外から声のみ人形っぽく)逆に???
カナ 「(カナリア女で登場、そのままゆーと、ソファの後ろをまわって、ソファに座る)
シン 「・・・・・何よりまず、これ(頭に指を当てて)のコト、話す必要がありますよね。

---完全明転。病院。 シンとカナの二人がソファに座っている。
(カナ)カナリア女はパジャマに地味なガウン、髪の毛はボサボサでいかにも不健康な入院患者という雰囲気。手には人形。
髪をかくのがクセで、ボソボソと独り言のように喋るが、相手には聞け聞けというオーラを出してる。
(トキ)戸倉正孝(とくらまさたか)は年齢不詳。派手なシャツの上に白衣。ロンゲのパーマにサングラスをかけている。
無駄にテンションが高くて適当なコトばかり言ってる。ふらふらゆらゆらして、じっと立ってない。
(まり)屋久島いちごは若くてセクシーなナース。派手なタイツや自分で作ったナースキャップ、ナース服にも缶バッチをつけている。
派手目のメイクなので、まるで夜の商売の人のよう。ヘビィスモーカーでいつもタバコを吸ってる。左手にリストバンド。
(なし)入院患者が登場するが、これは後で上田外子とわかるワケで、この時点では、ただの入院患者という立ち居地。パジャマ姿。
(はる)患者Bもパジャマ姿。常にタオルケットを被っている。美少女という設定。間の抜けた喋り方をする。
(かえ)院長先生はミルちゃんの衣装の上に赤の派手なロングコートを着用している。ゴージャスな教祖っぽいイメージ。
戸倉よりも無駄にハイテンションで、この二人が揃うと誰も手をつけられない。実は未来だがここでは院長先生として扱う。
---
カナ 「やっぱさ、彼氏おらな、むっちゃヒマやん (以下、間髪いれず早口で喋り続ける。内容はない)
シン 「(座る)はぁ
カナ 「いや別にヒマつぶしの為に彼氏作るってわけやないやけどな
シン 「うん (以下、受け応え適当)
カナ 「なんてゆーか、こう彼氏的な彼氏がね、いたらね、
シン 「うん
カナ 「人生とか考えたときに、やっぱり幸福とかについて考えるやん。自分のハッピー
シン 「ハッピーね
カナ 「うん。そうそうなのよ、ハッピー。結局、幸せに生きるが勝ちやと思うしやー
シン 「うん
カナ 「別にさ、彼氏欲しいとかそーゆー意味じゃないんよ。
シン 「はぁ
カナ 「ねっ、彼氏おらな、むっちゃヒマやん
シン 「・・・はぁ
カナ 「人生とか考えたときに、彼氏的なものが自分の幸福に繋がると思うのよ
シン 「・・・
カナ 「彼氏的なものが自分の幸福に繋がると思うのよ
シン 「さっきから同じこと言ってないですか?
カナ 「あたしってね精神疾患持ってて、専門的には「常門(じょうもん)」っていうらしーんだけど
シン 「常門?
カナ 「同じことを何度も何度も質問してしまったり、気が付いたら同じことをずっと繰り返し言ってたり
シン 「はぁ
カナ 「知ってるかな? 専門的には「常門」っていうらしーんだけど
シン 「常門。。。(呆)
カナ 「なんかね、同じことを何度も何度も繰り返して言ってしまったり
シン 「うん。
カナ 「こーゆーのを専門的には、、、
シン 「常門!
カナ 「うん。そうよく知ってるやん。つまり何度も何度も繰り返してしまうんよ
シン 「へー、そーなんだー(呆)
カナ 「そうでしょ。困った病気なのよー。忘れてるんじゃないの、現実が繰り返してるだけ(小声でまだブツブツと喋り続けている。。。)
シン 「(「現実が・・・」くらいから無視して独白をはじめる)彼女はこの病院で最初に知り合った人で、 患者仲間からは鳥頭とかカナリア女と呼ばれてました。
カナ 「髪型かな?
シン 「(独白)ここは心とか脳みそに悩みを持った人たちが集まってくる場所で、僕も治療のため入院することになったんです。
    ここの説明をするならば、どーしても戸倉先生の話をする必要がありますね↓
トキ 「(戸倉、勢いよく登場、漫才師のように)はーいどうもー毎度お馴染みの精神科医なんですけどねー頑張っていかなあかんなー言うんでるんですけどねー
   ってゆーてねー(とハイテンション。急に素に戻り、定位置へ移動する)
まり 「(続いて、いちご登場、静かに後ろに立って、タバコを吸っている)
シン 「(独白)この如何にも一番イッてそうなのが、ここの主任を務めている戸倉正孝。どーみてもアッチ側の人ですけど
トキ 「誰がや
シン 「(独白)一応、僕の主治医でもあります。
カナ 「(トキに)やっぱり彼氏おらな、むっちゃヒマやん
トキ 「あーそーねそーね(なでなで)
カナ 「別にヒマやから彼氏欲しいわけじゃないねんけど
トキ 「彼氏がハッピーに繋がるし、結局ハッピーが勝ちだからねー
カナ 「そっかー、さすがーせんせい〜 (トキに寄りかかる)
トキ 「(跳ね除けて)部屋に戻れ〜
カナ 「(上手に退場)
トキ 「帰れ〜、このキチガイ〜(と見送って)しょーがないなー、ホントあの女
シン 「(独白)この通りエキセントリックでクチは悪いが、一部では名医と呼ばれているそうです。
トキ 「で、ゆーと、どう、その後の調子は?
シン 「はぁ↓
トキ 「まだお人形が喋りかけてくる???wwwきゃっきゃっ www
シン 「はい↓
トキ 「そんなお人形遊びより、生身の女の子と遊んだほうが健全だよー。ねーイチゴちゃん
まり 「・・・・
トキ 「(下手に移動)
シン 「(独白)別に主治医の指示に従ったワケじゃないんですけど、僕とイチゴはまぁ、そのそーゆー関係になってました。
まり 「(ソファーに座りタバコを吸う)
シン 「・・・・
まり 「あたしさー、病院、やめようと思ってんの
シン 「・・・・
まり 「はっきり言って、毎日毎日キチガイの相手なんて、やってられないのよねー。こっちまでおかしくなりそ・・・ いっそみんな死んで
シン 「(独白)僕から言わせてもらったら、彼女はもう完全におかしくなってました。。後から知ったんですけど、
    男性患者は下は中学生から上は70近い老人まで、誰にでも手を出していたらしいんです
まり 「ダメな関係だって思うと、逆に欲情するのよね
シン 「看護婦と患者みたいな?
まり 「妻帯者とか!
シン 「教え子とか!
まり 「近親相姦とか!
二人 「えへへへー(と顔を見合わせて笑う)
まり 「(ふっと素になって立ち上がり、そのまま退場)」
シン 「・・・・(独白)ほどなくして、彼女の姿を病院で見なくなりました。
    彼女とは意外な形で再会するんですけど、それはまた先の話。とりあえずこの話を続けますね。
トキ 「イチゴちゃんいなくなって、いろいろ大変だよーねー(書類とか片付けてる)
シン 「はぁ↓
なし 「(外子、いきなり登場して、真剣に)すいません! 今、何世紀ですか?
シン 「…21世紀ですけど・・・
なし 「あ〜、、、私、シイタケになってました(残念そうに)
シン 「なってないです
なし 「CO2を増やさないように、今すぐみんなで自殺しましょぉー(選手宣誓のように)
トキ 「(戻ってきて)ごらーーーっ!診療中は勝手に入るんじゃねーよ
なし 「(怒)ぎぃーっ!(退場)
トキ 「スボン履いて出直せ。部屋に入る前に、『戸倉さま万歳マンセー大好きん、あなたのクツが舐めたいよ』と叫べ
シン 「いないと思います・・・
はる 「(患者B登場して、その場に立ち)『戸倉さま万歳マンセー大好きん、
シン 「いるんだ。。。
はる 「あなたのクツが舐めたいよ』
トキ 「よし、入れ
はる 「失礼しますた
トキ 「なんだー?用件を言え、患者B。いや、俺の下僕
はる 「はいっ、先生
トキ 「先生じゃない、大統領だ
はる 「大統領っ!
トキ 「大統領じゃない、書記長だ
はる 「書記長っ!
トキ 「書記長じゃない、町内会長だ!
はる 「町内会長!
シン 「めんどくさいなー
トキ 「どーしたんだ、患者B。いや下僕
はる 「町内会長! 院長先生が、院長先生が視察にお越しです。
トキ 「なんだと、みな整列!!!せいれつっ!!!
---
トキはるが整列。シンにも整列するように促される。ノリノリな音楽スタート
(かえ)院長が踊りながら登場。カナなし(患者たち)もその後に続いて踊りながら登場。

シン 「!!!
かえ 「やーみんな今日も元気ハツラツ、治療に専念してる〜
皆皆 「はいっ、院長先生様。院長先生様のお恵みで、
トキ 「僕たち
皆女 「私たち
皆皆 「人間のクズは生かされてます
かえ 「いーっぱいクスリを飲んで、そのうち中毒になって、いっぱーいお金を落としていってねーん〜
皆皆 「はい、院長先生様。ありがたきお言葉に涙ちょちょぎれます。
かえ 「最高ですか〜?
皆皆 「最高で〜す!
シン 「(かえの容姿が未来に似ているコトに驚き、かえに近づく)きっ、君は・・・
トキ 「(それを止めて)こらっ、ゆーと
かえ 「よろしいよろしい、患者はお客、私(わたくし)の大切な飯の種
トキ 「さすが、院長先生。見事な俳句です
シン 「俳句になってませんよ
かえ 「で、どうしたんだい、キチガイ一号?
シン 「キチガイじゃありません。
かえ 「あらまー、なーに言ってるんざんしょー
シン 「君は、あまりに似てる。。。
トキ 「院長〜っ、コイツは重度のパライノアでー
かえ 「よくわかんないけどー、お金あるなら許してあげーるー
トキ 「お金はないですがこいつには特技があるんで・・・それでナントカ
かえ 「特技〜?
シン 「?
トキ 「どんなモノマネも完璧にこなします (むちゃぶりである)
かえ 「まぁ、ステキ。
シン 「いや、聞いてないですけど・・・
かえ 「じゃーねー。何してもらおうかなー。 じゃ、スヌーピーやってー
シン 「スヌーピー?!
かえ 「スヌーピーやってースヌーピーやってー
シン 「・・・・
かえ 「・・・・
シン 「・・・・やぁ、僕、スヌーピー(高い声で)
---スベって成功。。。十分ダメな間を作ってから。
トキ 「・・・・こんな感じです
かえ 「狂ってるわね
シン 「違う
かえ 「何が違うの?
シン 「僕は、僕は狂ってなんかないっ!!!

---一瞬だけ暗転し、すぐに弱明転。 50%くらい明るさ。シンにスポットを当たる。

シン 「(独白)僕の腹話術人形にはモデルがいました。恥ずかしい話なんですけど、モデルは元カノで・・・。
    そう、彼女と出会ったのは、とあるコンパだったんですけど・・・ (喋りながらソファ後ろに移動)
---
シンの独白の間に、モリ、ピロが舞台を作りかえる。ソファを前面(客席側)に少し出してくる。 コンパ場面にセッティング。
独白中にソファに上手から、モリ・はる・かえの順で正面向いて着席。シントキピロはソファの後ろから声のみ。
(モリ)田村円子はダークブラウンのショートカット。特徴的な顔つき。一応、本人的にはお洒落な格好。面白キャラで盛り上げようとしてる。
(はる)夏川明菜は派手な金髪、露出の多いギャルっぽい服装。喋り方も今時のチャラい若者。「だよね〜」みたいな感じ。
(かえ)来栖未来はミルちゃんの格好にインテリっぽいメガネと上品なスカーフを巻いている。できる賢そうなOLのようなハキハキした喋り方。
(なし)上田外子は男好きするような格好。スカート。いわゆるぶりっこ。男に好かれそうだが女からは嫌われるタイプ。
コンパのシーンだが、客席側には男が座っているという設定だが見えない。テーブルもない。特にマイムをしない。
シンの独白後スポットを消す。
---
皆皆 「(なんかガヤガヤ楽しげに喋ってる。)
--ここで完全明転
はる 「(テンションあげて楽しそうに)じゃ、まずあたしから自己紹介いきまーすっ!!!
ピロ 「いぇーぃ!!!
シン 「いぇい!
トキ 「ぱちぱちぱちぱち〜
はる 「(明るく)夏川明菜!かっこ18みたいなw
トキ 「へーっ!
シン 「若いですねー
かえ 「(普通に)来栖未来です。よろしくお願いします。
シン 「よろしくです
モリ 「(かなり明るく)田村円子で〜すっ!!!歳は、えーっと、アッキーナよりちょっと上かな、みたいなw
全員 「(動き止めて、顔は無表情)・・・
ピロ 「(明るく)えっえっ、みんな同じ大学〜?
はる 「そーなのー
トキ 「記念、記念に写真〜写真〜(フラッシュが光る)
---と同時にみなが動きをストップ
シン 「(ソファ後ろから立ち上がり、人物紹介一人ずつ。独白で)田村円子、夏川明菜、来栖未来。このとき、初対面なわけで・・・
---動き出して
はる 「3人とも違う学科なんだけど、サークルがいっしょでー
トキ 「えーえー何処大???
はる 「ポーツマス女子短期大でぇすー
ピロ 「ポー女?もしかして実は御嬢様〜とか???
モリ 「えーっ、そんな御嬢様だなんて〜まーそんーなんだけどー!みたいなみたいなー
全員 「(動き止めて、顔は無表情)・・・
ピロ 「いきなりだけど、好みの男性とか聞いちゃおうかなー
トキ 「おーっ、いいねー
かえ 「えーっ、
ピロ 「じゃ明菜ちゃんからー
はる 「うーむー、そーだよねー。やっぱりムキムキよりは、スポーツで筋肉付きましたみたいなw
トキ 「あーっ、ならコイツ(ゆーと)だよ。
シン 「まぁー
トキ 「腕めくれめくれ
シン 「はぁ↓
ピロ 「ゆーとってガリマッチョだからさ
はる 「(素っ頓狂な声をあげて)がががががりまっちょ〜 (と言って気絶)
モリ 「(すばやく受け止める)あああ↓
かえ 「。。。この子、筋肉質に弱いんです
ピロ 「大丈夫?
トキ 「とりあえず寝かしとく?
モリ 「うんうん。
はる 「あっ(と気が付いて)、筋肉畑が。。。
シン 「お花畑じゃないんだ。。。
はる 「大丈夫。ってゆーか、まぢ良かったんだけど・・・
シン 「なんの話ですか。。。
はる 「まぢ、もう大丈夫。
シン 「はぁ。。。
モリ 「じゃ、次はあたしの好みのタイプを〜
全員 「(動き止めて、顔は無表情)・・・
モリ 「毎回かっ!
ピロ 「次は彼女の好みのタイプなんかを・・・
かえ 「私?」
モリ 「ちょっと、あたしは!? あたしわい!
トキ 「黙れ
ピロ 「なんかこーゆー男性に惹かれるとかあります〜???
かえ 「・・・ちょっと狂ってる人、、、かな。。。
男達 「・・・・・・・・・。
シン 「かわってるんですね。。。
かえ 「・・・。
モリ 「そーなのよー、この子ったら、ちょっと変わってるのよ
ピロ 「おめーの方が変わってるよ!
トキ 「顔が!!!
モリ 「えっ。。。

なし 「(急ぎ足で登場)ごめんなさーい!!!
はる 「えっ?
モリ 「えっ?外子、なんで?
なし 「ごめんなさい。遅刻しちゃって、ホントごめんなさい。。。 (ペコッと申し訳なさそうにお辞儀)
ピロ 「あれっ、俺ら今日、3、3って聞いてたんだけど
はる 「(イヤな空気をつくり)そっ、そうなんだけど・・・
なし 「あれっ、ごめんなさい。私、間違っちゃった? (天然のふりをして)
トキ 「いや、いいよいいよ。ねっ、人数多い方がね
ピロ 「そーそーそーそそー
はる 「なんか、マヂごめん
ピロ 「いいすよいいすよ
モリ 「あなた、何考えるの?
なし 「えっ、ナニがですか???
モリ 「(ムッとする)
なし 「あっ、そーですよね。いきなり押しかけて混ぜてくださいなんて、ムシがいいですよね。すいませんっ!
ピロ 「いや、いいよいいよ、えーっとソトコちゃんだっけ?
なし 「(暗く、ぼそっと)いきなり「ちゃん」付けとか。。。
ピロ 「あっ、すいません、。。
なし 「・・・なんか私のせいで、空気悪くしちゃったみたいで・・・ごめんなさいっ!
シン 「そんなことないよ
なし 「(不幸を背負った感じで)ありますよ!私っていつも失敗ばっかりで、なんで私いつもこうなっちゃうんだろ。。。ごめんなさい
皆皆 「・・・・・ (重い空気)
シン 「(明るく切り出して)わっ、話題変えましょ、話題
トキ 「うんうん
ピロ 「さっき、みんな同じサークルって言ってたよねー
はる 「そーなのー
なし 「(会話をぶった切って、ゆーと側にキラキラした目線を投げて)あの、お名前、なんていうんですか?
シン 「えっ
皆皆 「・・・・
シン 「ゆーと、ですけど。。。
なし 「かっこぃぃ (わざと聞こえるような独り言)
ピロ 「(話題をなんとか戻そうとして)えーっと、みんな同じサークルってことは・・・
なし 「ゆーとさんって、おいくつなんですか?
シン 「・・・・・24です。
なし 「そとこ、ハタチなんで、なんかちょーど釣り合いが取れてるって感じですよね!
ピロ 「(声上げて)えっ、なんのサークル???
はる 「サークルで小劇団やってて、小劇団ってわかります?
ピロ 「小劇団???
なし 「そんなことより、ゆーとさんは彼女とかいるんですかー?
シン 「・・・いませんけど。。。
なし 「ゆーとさんは普段はナニされてる方なんですかー?
シン 「駆け出しですけど・・・、パフォーマーみたいなコト、目指してて。
ピロ 「こいつ、腹話術とかしてるの、すっげうまぃんだよ
なし 「ゆーとさん、すっごーい 。ソトコ、夢に向かってる人って、憧れちゃいます〜
はる 「・・・まぁ、好きなことして生きるってマヂアツいよね。未来もそうだよね
かえ 「(シンと眼が合い、少しだけ笑う)
なし 「ソトコも、好きなことしちゃおかなー (とイヤらしく笑う)
ピロ 「明菜ちゃんの好きなのって
はる 「わたしはー・・・
トキ 「筋肉でしょ?
はる 「(立ち上がり)ががががかちむち〜っ(声上げて失神)
---スポット照明に移行。照明きっかけで、はるトキなしは退場。モリピロはソファを中央に戻してから退場。場面はゆーとの家になる。回想シーンも混じる。

シン 「(ソファ後ろから前に出てきて、独白)あれから僕はその、「ソトコ」という女の子に妙に気に入られてしまって…。 (ソファに座る)
かえ 「(独白)ソトコの話は私からします。 上田外子。自尊心が高く自己中心的で虚言癖があって、他人(ヒト)の話を聞かない。
    彼女は社会が許す範囲での異常者でした。まわりには一見低姿勢で、優しい面を見せたりしてるけど・・・。
---完全明転
はる 「(登場。歩きながら泣いてる)
なし 「(続いて登場。一応慰めながら)大丈夫だって。ほんとほんと。ソトコは本当に、えっと、あきな…のコト、可愛いって思うよ。
    (あまり興味なさそうに)たまたま男運がなかっただけだって。大丈夫、明菜は、まぁ・・・可愛い。うんうん。
はる 「(泣きながら、舞台端まで移動)ありがとぅね。。。
なし 「じゃソトコ、男の子と待ち合わせしてるから
はる 「(泣きながら)そっか・・・ごめんね、迷惑かけて・・・
なし 「うん! こっちこそゴメン。邪魔者扱いして。けど仕方ないし。
はる 「えっ。。。
なし 「じゃーねー。笑って笑って。明るさだけが取り得でしょ
はる 「(泣きながら走って退場)
かえ 「(その光景を見ながら、独白)まー女友達の前ではこんな感じ。あのコンパ以来、ゆーとに対して執拗に迫ってました。いや粘着してました。
なし 「(ケータイを取り出して電話をする)あー、もしもし〜
シン 「(ケータイが鳴った感じで立ち上がり、耳に当てて)えっ、どちらさまですか?
なし 「(電話に)あーたーしー、ソトコー。もうー忘れちゃったなんて、許せないぞ、ぷんぷん
シン 「(電話に)っていうか、なんで僕の番号知ってるんですか
なし 「男のくせに小さいこと気にするんだ。(電話に元気に)そんなことより今どこにいるの?
シン 「(電話に)えっ、梅田の近くですけど・・・
なし 「(電話に)ホントに?すごーい。偶然、私、今日大学に来てるの?今からそっち行っていい?
シン 「(電話に)えっ・・・
なし 「(電話に)すぐ行くから待っててね。待っててよね。絶対だよ。すぐ行くから・・・
かえ 「(独白)すぐどころか二時間半待たされたらしいです。
なし 「(遠くからゆーとを見つけて近づいていき、腕に抱きつく)ゆーーーとっ!!!
シン 「・・・・・(元気なく、会釈する)
なし 「(腕に抱きついたまま)お腹減った。なんか食べに行かない?ナニが食べたい?
シン 「えっ・・・
なし 「ソトコ、パスタ食べた〜い。。。イタリアンイタリアン〜♪ゆーと、パスタ好きだよね、ねっねっねっねっねっねっ
シン 「いえ、そんなに
なし 「えーっ、いっつも言ってるじゃない、パスタパスタって
シン 「言ってないです
なし 「だって“七尾パスターナゆーと”ってミドルネームにしてるくらいでしょ?
シン 「してないです
なし 「またまたーw
シン 「それに、僕、帰ったら飯あるから
なし 「なに? お母さんの作ったご飯の方がいいの?信じられない。。。
シン 「・・・・
なし 「マザコンって女の子から嫌われるわよ。いや、私はいいのよ。ごめんなさいね。家庭の事情もあるもんね
シン 「・・・・・・
かえ 「(独白)まぁ、こんな感じ。そして極めつけが・・・
なし 「(上手に移動して)ねぇ、私たちって付き合ってるよね???
シン 「・・・(絶句)
なし 「(退場)
かえ 「キツい。。
シン 「キツい 。。。
かえ 「どうするの?
シン 「なるべく会わないようにしてる
かえ 「電話は?
シン 「無視してたら・・・
なし 「(チコっと登場して、電話をかけている)あー、もしもし、留守電かよ、ツーツーツー
   もしもし〜、いやーん、いるんでしょー出てよーんツーツーツー
   たっ、助けて、私、黒服の怪しい男たちに追われツーツーツー
   1分でよろしいので、あなたの幸せをツーツーツー
かえ 「ゆーと、優し過ぎるんだよ。俺に関わるなって、いっそキレちゃったらいいのに?
シン 「けど前にさ、言われたんだよ
かえ 「なんて?
なし 「別れたら、私、自殺するから・・・ (言ってから退場)
かえ 「うわぁー・・・↓って、付き合ってないし。むしろ私らが付き合ってるし
シン 「うん
かえ 「ヒミツにしとくんじゃなかったね
シン 「ごめん
かえ 「けど別にいいじゃん。死にたい人は死んでくれたら。
シン 「そんな
かえ 「私は全然かまわないよ。むしろあーゆー奴は自殺したくれた方が社会の為にもいいじゃん(退場)
シン 「・・・・・・(独白)ソトコから毎日何通も何通も何通も何通もメールが送られてきていました。
なし 「(再登場 ↑のシンのセリフに被せて喋る)ゆーと! ソトコなのだ(可愛く)。なんで返信くれないのかな?かな?
    (仕切りなおして)おはよー、ねぇ、いっしょに朝ご飯食べにいかない? にぱーっ

---↑なしセリフのときゆっくりとF.O.しかけてるが暗転せず、すぐに明転。一応病院のシーンだが、外子が取り残されてる。
トキ 「(戸倉笑いながら違和感なく突然登場して)それは相当のストレスだっただろうねー。
シン 「はい
トキ 「いやー、モテる男は辛いね、キャッキャッwww
シン 「そういうんじゃないですけど・・・
なし 「(ここでの外子は回想シーン内の存在。シンの腕に抱きつき)ゆーとっ!
シン 「自宅前でずっと待ちぶせされていたときもありました(一応、なしは無視して、トキと喋り続ける)
なし 「ずっと待ってんだよ
トキ 「疲れてるねー。
なし 「ずっと会ってくれなかったから淋しかったにゃん?ぴょん?ぼん? (無視されてるので、腕の締め付けが強くなる。むしろ関節技である)
シン 「(苦しそうに)ホント、最近寝れない日々が続いてます
トキ 「大丈夫か?顔色悪いぞ。よし、一旦座るか?
シン 「回想シーンの途中で座るっておかしいでしょ
トキ 「帰るか?一旦楽屋帰るか?
シン 「おかしいですって
トキ 「(なしに対して、シッシッと追い払う)
なし 「(下手に退場)
トキ 「いわゆるアレだね。PDSE?心的がいてきごなんだっけストレス障害?だっけ?
シン 「医者が患者に聞いてどうするんですか
トキ 「で、どうなのよ、正直。彼女と
シン 「なんの話ですか?
トキ 「なんか、そのあったんでしょーが、それっぽい、アレがナニでDoしちゃったんじゃないの?
シン 「してません
トキ 「Doしてないの?
シン 「してません
トキ 「大丈夫大丈夫、誰にも言わないって。言わないって言わないって
シン 「そーゆーのじゃないです
トキ 「大丈夫。誰も聞いてないって
シン 「〇人くらい(客の大体の数)からに聞かれてますって
トキ 「この隔離病棟まで来たら、もう追いかけてこないと思ったわけだ
シン 「それが浅はかだったんですけど・・・
なし 「(パジャマ姿に着替えてドガッと登場、間に合わないなら上だけ着て)すいません。ここが21世紀ですか?
シン 「・・・・
トキ 「・・・・・・帰れっ!
なし 「(戻る)
シン 「まさか、ここにまで・・・
トキ 「愛だね
シン 「例えそうでも、こちらの都合も考えない、押し付けの愛なんていりません。(かっこよく)愛情っていう言葉はもっと大切に使うべきなんです。
トキ 「カッコイイなぁー
シン 「やめてください。。。
トキ 「いいよ
シン 「照れますから・・・
トキ 「(テレコもったマイム。シンのマネをして)キュルキュルキュルカチッ、愛情っていう言葉はもっと大切に使うべきです。
    キュルキュルキュルカチッ、愛情っていう言葉はもっと大切に使うべきですっ!!!(二回目はむしろ誇張して)
シン 「やめてめやて!
トキ 「いやー、やっぱり君もソトコちゃんを愛してたんじゃない。
シン 「愛してません
なし 「(またドガッと登場。この時点では完全にパジャマ姿になっている)
トキ 「(テレコ投げるマイム)
なし 「(受け取り、シンの真似をして)キュルキュルカチッ、愛情っていう言葉はもっと大切に
シン 「やめーぃ!!!
---暗転。シン退場。
(ピロ)白石礼二はアジア系の不思議な格好。頭にバンダナ?のようなものをまいた胡散臭いルポライター。ボイレコや複数のケータイを所持。
禁煙中で、チュッパチャップスの棒のみを噛んでいる。偏頭痛持ちで、ときより頭痛に苦しむ。

トキ 「(真面目に)上田外子の診察記録
---70%明転スポット。戸倉による外子の診察シーン。
トキ 「ゆーとを追ってココに来たの?
なし 「違います
トキ 「けど、ここに来る前からの知り合いでしょ
なし 「いえ、ここに入院してから知り合いました
トキ 「・・・あっ、そう
ピロ 「(白石礼二、一瞬だけ登場して独白)のちにソトコは、病院での生活をこうブログに綴ってた。
なし 「(独白)素敵なY様と毎日会えるのは幸せだけど、それ意外は本当に辛い日々だったの。
    監禁された部屋でね、医者から毎日毎日、面白いコトをしろ、ギャグをしろ!と強制されるのだぁ(可愛く)。
---シンと患者たち(はるカナ)が登場。完全明転。
トキ 「はいっ(パンと手を叩く)
皆皆 「なんでそーなるの! (欽ちゃんのポーズを患者全員が取る)
トキ 「足が低い!
皆皆 「なんでそーなるの! (欽ちゃんのポーズを患者全員が取る)
トキ 「次!
皆皆 「院長先生じゃあ〜りませんか(チャーリー浜さんのポーズを患者全員が取る)
トキ 「はいっ! (パンと手を叩く)
皆皆 「院長先生じゃあ〜りませんか(チャーリー浜さんのポーズを患者全員が取る)
トキ 「次!
皆皆 「およよ (三枝さんのポーズを患者全員が取る)
トキ 「はいっ!
皆皆 「およよ (三枝さんのポーズを患者全員が取る)
なし 「これって、なんかのトレーニングになってるんですか?
トキ 「当たり前だー
はる 「そうなんですか? 
トキ 「ギャクが大脳皮質を加速させて前頭葉を活性化させるのだ
かな 「すごーい
トキ 「笑いがある一点を越えると脳内麻薬のドーパミンがドクドク溢れ出て天にも昇る気持ちになる
シン 「ある点?
トキ 「これがホントの、、、笑点(昇天)
なし 「いーかげんにしろ
皆皆 「なんでそーなるの!(欽ちゃんのポーズを全員+トキが取る)

---暗転。遠くから笑い声が聞こえてくる。カナはるなしトキが退場。舞台にはシンと階段下にミルちゃん人形(かえ)が置かれている。 劇場舞台袖シーン。
モリ(なすび姉さん)はお笑い芸人。最初の場面で少しだけ登場した人物。関西弁を話す。ゆーとにとっては先輩である。
---明転
モリ 「(登場して)あれっ、今日、前座やったんだー
シン 「あっ、なすび姉さん
モリ 「知らなかった〜。袖で見ときたかったわ。
シン 「お先に勉強させていただきました!
モリ 「ええてええて。(人形に近づき)それにしてもよくできてるなー(触ろうとする)
シン 「(厳しい口調で)触るなっ!!!
モリ 「(ビクッ)
シン 「(先輩に叫んだことを悔やみながら)。。。壊れやすいものなので
モリ 「あっ、そっか・・・ごめんなー
シン 「いえ、こちらこそ、すいません。
モリ 「(まぢまぢと人形見て)それにしても凄いなー。まるで生きとうみたい。これって合成樹脂か何か?シリコン?
シン 「さぁ、詳しくは知らないんですけど・・・
モリ 「へー
シン 「あっ、あの・・・
モリ 「なに? (人形の顔と1センチくらいの近い距離でジローっと覗き込んでる)
シン 「ホント! ホントにやめてください!!!
モリ 「(厳しい口調に空気呼んで、覗き込むのやめる)そっ。。。そう。。。
シン 「ミルちゃんには思い入れあるんで・・・
モリ 「あのさ、これはウチが言ってんやなくて、まわりがさ、まわりが言っとんねんけど・・・
シン 「はい?
モリ 「(暗)ゆーとくんさ、一人でおるとき、人形と喋ってるってホンマ?
シン 「(ごまかす)・・・・そっ、それは練習してるんですよ、腹話術の。。。
モリ 「そ、そうやんな、、、せやけど…
シン 「練習です!!!
モリ 「そっ、そう。。。・・・・(その迫力の押されて、そのまま退場)おっ、おつかれさまー。。。
かえ 「(モリ退場を見て人形喋りで話し始める)うっとーしい女〜
シン 「・・・
かえ 「(人形喋りで)あれっ、あれッ?
シン 「・・・
かえ 「(立ち上がり、カクカク動き出す。人形喋りで)さっきの女に言われたの気にしてるの?ちょー、無視しないでよー。
   ねー、ゆーとー(近づき)一人で喋るのって大変なんだからさー
シン 「(ブツブツ独り言)これは幻聴だ
かえ 「(人形喋りで)はぁ?なーに言ってるのよ
シン 「(ブツブツ独り言)これは幻聴だこれは幻聴だこれは幻聴だ。
かえ 「(人形喋りで)ねー、話聞いてよーねー。聞いてってーゆーとってばー
シン 「(ブツブツ独り言)これは幻聴だこれは幻聴だこれは幻聴だこれは幻聴だこれは幻聴だ。。。
トキ 「(戸倉。カルテ片手に素早く登場して)幻聴かー
シン 「幻聴です
かえ 「(よきタイミングでシンの隣に座る)
トキ 「アレじゃないの?カノジョと別れたショックと、芸に打ち込みたいってのが、なんか混じっちゃって、
シン 「はぁ
トキ 「これがその人形なのね。。。
シン 「そうです
かえ 「(人形喋りで)誰だ、このオッサン
トキ 「へー(触ろうとする。ちなみにかえが動いたり喋ったりしてもトキは無視し続ける)
シン 「(ガタッと立ち上がり)やめろ!
トキ 「怒らない怒らない
かえ 「(人形喋りで)礼儀を知らないオヤジだなー
トキ 「どう、今は喋ってる?
シン 「今は・・・・
かえ 「・・・・
シン 「喋ってません
トキ 「そう。。。
かえ 「(人形喋りで早口言葉)なまむぎなまごめなまたまご
シン 「今しゃべってます!
トキ 「(言われてから、かえを見るが、無反応)
かえ 「(人形喋りで早口言葉)あーなまむぎなまごめなまたまご
トキ 「なんて言ってる?
かえ 「(人形喋りで)このオッサン、なんか変な匂いがする〜。なんかオゾンみたいな匂いがする
シン 「(↑のセリフに被せるように)えーっ。。。と。。。。うん。今日はイイ天気だなーとか・・・
かえ 「(人形喋りで)そんなこと言ってないよー
トキ 「なるほどー。じゃざっとテキトーにカルテ作りますねー
シン 「はい
トキ 「まずー、お名前は?
シン 「みるちゃん
かえ 「(人形喋りで↑シンと同時に)みるちゃん
トキ 「いや、あんたのだよ
シン 「七尾悠人(ゆーと)です。この字です(とトキのカルテを指差す)
トキ 「凄い名前。皇族か?
シン 「違います
トキ 「ドキドキして損しちゃったよ
シン 「知りませんよ
トキ 「で、このミルちゃんは別れたカノジョがモデルになってるっと
シン 「はい・・・
トキ 「そのカノジョは、今、ナニしてるの?
シン 「彼女、劇団を旗上げして、結構な人気あるみたいで
かえ 「へーーー(このセリフの間に、ミルちゃんから来栖未来になっている)そんなことがあったんだー
トキ 「(退場)

---
病院のシーンから、劇団事務所(の廊下)のシーンに流れるように移行。ちなみにしなびた雑居ビルという設定。人気はない。
上手に行けば、その奥に未来の劇団が面接をしている部屋がある。廊下にはソファが置かれている。いわば、ここは喫煙所のようなもの。
退院後のゆーとが未来の劇団にオーディションに来た、その帰りに少し雑談するかっての恋人二人という図。
つまり一番最初の「今から僕の話をします」からはずっと過去話だったが、やっと物語が「今」に戻ってくる。

シン 「精神科通いは、大変だったよ。いろいろあって、君と・・・別れてから
かえ 「・・・ごめんなさいね。けど付き合ってるか、どうかもわからないような関係だったし
シン 「(客席見て軽く独白)メール1通で別離する関係。。。
かえ 「けど元気そうでよかった。ホントに久しぶりよねー。
シン 「劇団、随分、人気あるんだって
かえ 「おかげさまで・・・
シン 「脚本も、未来が書いてるの?
かえ 「けど、向かないんだよね。私の本って良くも悪くもフツー過ぎて
シン 「あのさ、入院中さ、ヒマで。こんなの書いてみたんだけど(隠し持っていた原稿を渡す)
かえ 「えっ、なに?
シン 「脚本。。。みたいなの
かえ 「私に?
シン 「うん。何を書いたらいいかわからなくて、結局自分のこととか書いてみた。
かえ 「ゆーとが?
シン 「君のことも書いてるし。半分フィクションだけど
かえ 「そっか。今ね、脚本も選考中なの。読ませてもらうね
シン 「うん・・・
かえ 「まさか、オーディションにゆーとが来るとは思わなかった。
シン 「驚いた?
かえ 「驚いた・・・。ごめんなさいね。バタバタしてて。また時間見つけて連絡する、結果もね
シン 「そっか、うん、
かえ 「じゃ、私、戻らないと
シン 「ああ、わかった。。。
かえ 「(上手に退場)
シン 「(かえを見送り)・・・・・はぁ(溜息一つ。頭を掻いて、立ち上がり、下手に自分も帰ろうとする)
なし 「そこに尾行してきたという感じで、外子が下手から登場。)ねぇ、なにしてるの?
シン 「ソトコ・・・
なし 「私、見たんだから
シン 「えっ、
なし 「まだ未来と会ってるんだ・・・
シン 「いや、今日は・・・
なし 「私がいながら・・・昔の女と。。。
シン 「違うって・・・
なし 「(突然、激高)言い訳なんて聞きたくないっ!!!
シン 「何言ってるんだよ
なし 「言ったわよね私、、、別れるくらいなら自殺するって
シン 「・・・
なし 「あなた、いつも私を見てくれなかった。。。
シン 「だって
なし 「(独り言のように)こんな人生やだ、、、リセットしたい。もういい、全部を終わらせたい。。。
シン 「何、言ってるの・・・
なし 「死んでやる、しんでやる!
シン 「簡単に死ぬとか言うのってダメだって
なし 「別れるくらいなら、死んだ方がマシ!(カバンからナイフを取り出して、自分の喉に向けて構える)
シン 「!!! そんなものしまって!
なし 「いやよーっ!!!
シン 「落ち着いて・・・
なし 「・・・・・
シン 「刃物渡して・・・。ねっ
なし 「・・・
シン 「大丈夫だって・・・ (慎重に近づく)
なし 「・・・・(コクっと頷き、近づく。。。顔を見合わせて、少しだけ笑い、そのままの目線で、、、シンの脇腹を刺す)
シン 「(無言で腹を押さえ、よろけ派手に倒れる。そのときに、客席から見えないようにポケットから花びらを握り、パァッと散らす=血のイメージ)
なし 「(倒れたシンを馬乗りになってメッタ刺しにする)
---照明チェンジして赤に。激しいヘビメタっぽい曲。良き頃合で完全暗転。音楽はそのままで場面転換する。
ゆーと殺しの事件直後。未来の劇団の面接会場。面接官側、下手にテーブルがありイスが2つ置かれている。ソファは少し後ろ。中央やや上手に一つイス。
2つある面接官側のイス(奥側)に、(まり)屋久島いちごが座っている。ナース姿ではなく、キチッとしたスタイリッシュなパンツスーツ姿。
上手の出捌け口のところには、(カナ)鳥野マコが立っている。同じくスーツ姿で、劇団では役者ではなく事務員的存在。
この場面では、面接コントばりに次々に色んなキャラクターが登場する。特に脚本通りのキャラを登場させねば!というのはない。面白さ重視。
(モリ)五所川原むーあ。練習着姿の劇団員風の女。ちなみに第五回公演「ふたりきり」のキャラクター。一歳年をとっている。
(ピロ)DJゲンダイ。ヒップホップスタイルでラッパーっぽい喋り方。第四回公演「かかって恋」のキャラクターと同じ。「DJミライ」ではなく「ゲンダイ」に。
(はる)るりタン。ツインテールにフリフリのロリィタ風ファッション。魔法少女っぽいオモチャのスティッキを持っている。萌えキャラだが腹黒い。
(トキ)大御所俳優。一応、中尾アキラを意識している。喋り方もそんな感じ。一応、マフラーも巻いてる。舞台人っぽい喋り方。
(はる)みれぃタン。るりタンと同一人物。
(モリ)豊川ウメ。腰の曲がった白髪の86歳の老人。ボケ気味なのか、わざとなのか不明。耳が遠いがちゃんと聞こえてるかも不明。むちゃくちゃスローに動く。

---明転。
かえ 「(上手から登場して、面接官側のイス(手前)に座る)ごめんなさいね。いきなり席はずしちゃって
まり 「いぇ・・・。
かえ 「まさか、元カレを面接することになるとは思わなかったわ。
まり 「・・・・
かえ 「あれっ、知り合いだった?
まり 「ちょこっと・・・
かえ 「じゃっ、気を取り直して、面接続けましょ
まり 「はい・・・。(カナに)次の方お願い。
カナ 「(はい(と言って、モリを招き入れる)
モリ 「(むーあ登場。促されるまま、中央のイスの横へ。けど座らない)
かえ 「当劇団の座長してる、来栖未来です
まり 「屋久島いちごです」
モリ 「ププッ、(小声で)ヘンな名前
まり 「(ムカッ)じゃまずお名前を
モリ 「エントリー007。五所川原むーあ18歳です(ハート)
まり 「(履歴書見て)27でしょ
モリ 「「むーあ」は本名です。無限の宇宙って書いて「むうあ」って読みます。
まり 「死ね
モリ 「(↓の独白中に、悔しがりながら退場。すぐに着替える)
かえ 「(独白)当劇団では定期的に役者のオーディションを開いている。けど毎回、勘違いをした人たちが参加してきてて、、、正直頭が痛い。
ピロ 「(DJゲンダイ登場)HEY YO〜。ヒップホップ界のカリスマ〜、DJゲンダイでーす。はーいちぇきらっちょー
まり 「ありがとうございました
ピロ 「(退場)
はる 「(るりタン登場)美少女戦士、るりタンだぉ。えっと未来人だぉ
まり 「お帰りください
はる 「(退場)
トキ 「(大御所俳優、登場)やぁ。ここが面接会場・・・かな
まり 「はい
トキ 「僕とかね大御所も、たまには、こう一般的のだなー大衆の娯楽、演劇をだなー
まり 「っていうか、おまえ誰だよ
トキ 「(退場)
はる 「(みれぃタン登場)美少女戦士、みれぃタンだぉ。えっとえーっと、、、地底人だぉ
かえ 「合格
まり 「ええええええ
はる 「(退場)
モリ 「(老婆豊川ウメ登場。独特の間合いでゆっくり喋る)あのぅ〜面接会場は、こちらですかいの〜
まり 「はい。そうだけど
モリ 「そかそか。エントリーナンバー二十の二番。豊川ウメ86歳でございます〜。大正13年生まれ獅子座のAB型でございます〜
かえ 「(焦り)おおおおばあちゃん。。。一応応募資格は18歳以上って書いてたけど、、、上過ぎませんか?
モリ 「(無視して)はい。豊川ウメ大正13年8月16日生まれの86歳でございます。
かえ 「私の声、聞こえてますか?
モリ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?
かえ 「聞こえてる?
モリ 「はいっ。好物はモンブランとアンキモでございます。
かえ 「おかしい。日本語なのに会話が通じない
モリ 「将来は、かみきりゅうのすけくんのような俳優になりたいです
かえ 「ポジティブ。。。
モリ 「はい。夫を太平洋戦争で失しまして、それはそれはバートランカスターに似た二枚目だったのですよーウッヘヘ(魔法使いのように気持ち悪く笑う)
    孫たちも独立した今ここにいたった、わたくしも第二の人生に華を咲かせるべく、(入れ歯っぽい動き)
    こうやって恥ずかしながら面接に参った次第でございます。
まり 「はぁ
モリ 「特技はムーンウォークでございます。マイクォ〜の追悼の意味も篭めまして、恥ずかしながら・・・
    (ムーンウォークを披露。そのままで退場。楽屋から声のみで) フォー!!!!!
---ゆっくりとF.O.やや暗転。そのままカナまり退場。その間に↓の独白。
かえ 「(独白)ウメさんは確かに美味しいキャラだけど、リウマチが悪化して、残念ながら不合格。
    採用したら、それはそれで面白い芝居がうてそうな気もしたけど(そう言ってから退場)
シン 「(素早く登場して、床に倒れる)
再び、劇団の廊下の場面。

---明転
シン 「(倒れている。
モリ 「(ウメ。上手から後ろ向きに登場)失礼いしました。。。(振り返り、ゆっくりと歩きシンに気づく)
シン 「・・・
モリ 「どうされましたことで?
シン 「・・・・ぁぁ゛
モリ 「そんな、床で寝てらしたら、お風邪をひかれますよ〜
シン 「・・・・ぁぁ
モリ 「あーあーあー、お兄さん、お若いのに、ルンペンさんなのですねー。御可哀相に・・・
    私に何か差し上げられるものでもあれば、いいんですけどねー。あー、飴がありますよー。 ぶぃしーしゃんじぇんのどあめ。。。
シン 「・・・・きゅきゅぅ
モリ 「はい?
シン 「・・・けぃさっ
モリ 「はぁー。小悪魔アゲハでございますか?
シン 「けぃ
モリ 「小悪魔?
シン 「さっ
モリ 「アゲハ?
シン 「けぃ。。。さっ。。。
モリ 「あーあー警察。大丈夫ですよ。通報なんかしたりいたしませんで・・・。ルンペンさんも大変ですものねー。
    あら(眼を凝らし)真っ赤じゃありませんか?・・・ビーフストロガノフでも零されたんですか? あらあら、こまりましたねー
シン 「だだだれか・・・
モリ 「はい?
シン 「呼んで。。。きて・・・くださぃ
モリ 「やだよぉ〜。こんなお婆さんからかっちゃ
シン 「・・・・
モリ 「じゃあね、お兄さん。あたしは帰って、鬼平見なきゃ・・・・(ゆっくりゆっくりと下手に退場)
シン 「・・・・・・・・・・・
モリ 「(結構な間を空けて、再び戻ってきて、ゆっくり)のど飴、、、差し上げますねー。。。(、のど飴を投げつけ、再びゆっくり下手退場)
シン 「・・・・
モリ 「(また間を空けて、毛布片手に戻ってくる)お兄さん、毛布がありましたよ。。。これで寒さをしのいでくださいな(シンに被せ退場)
ピロ 「(白石礼二。モリがいてもすぐに登場して、独白)結果、豊川ウメ86歳の親切が死体の発見を遅らせる結果となった。
---暗転。

事件から十日後。劇団の面接会場。かえ(未来)はイスに座りノートパソコンで原稿を書いている。寝不足な様子。横にはゆーとの持ってきた原稿。
---明転。
かえ 「(原稿を書いている
まり 「(屋久島いちご、上手から登場して)おはよーございますー
かえ 「あー、もう朝?(手をとめ、パソコンから顔をあげる)
まり 「座長、また徹夜されたんですか?
かえ 「はやく原稿あげたくて・・・(大きくノビをする)
まり 「随分帰ってないんじゃないですか? 一度、宿舎に戻って仮眠されたら?(体調を心配してる様子)
かえ 「急がなきゃ、、、ゆーとの為にも。。。。
まり 「・・・本気なんですね
かえ 「マヂよ・・・
まり 「・・・まだ、犯人捕まりませんね。。。
かえ 「うん
まり 「気が重いですね。。。
かえ 「うん。。。
ピロ 「(白石礼二。上手より颯爽と登場。飄々とした感じに喋る)下に誰もいませんでしたんで、勝手に入らしてもらいました。
かえ 「だれっ?
まり 「役者のオーディションは午後からですが・・・
ピロ 「僕は、まぁルポライターみたいなことやって飯食ってるもんです
まり 「(警戒して強い口調で)お引取りを・・・
ピロ 「そうおっしゃらず、話だけでも、すぱっ!しゅしゅ、たーん(と口で効果音言って名刺を二枚差し出す)
かえ 「格好いいの音だけじゃん・・・・
まり 「・・・ハッ↓(名刺を破く)
ピロ 「(気にも留めず)僕は、この七尾ゆーと事件を追ってるんですよ・・・
かえ 「それで
ピロ 「事件から十日も経つのに、ケーサツは未だに犯人の手がかりも掴めてない。ちょっと小耳に挟んだんですが、そう。その原稿(指差して)の話です
まり 「・・・これはお芝居の脚本。あなたが思っているようなものじゃありません
ピロ 「蛇の道はヘビ。壁に耳あり、障子にメアリーポピンズ?
かえ 「間違ってるから
ピロ 「七尾ゆーとの原稿を脚色して、芝居にするって・・・。こりゃまた悪趣味なこともあったもんですね・・・
かえ 「私はゆーとの物語を世に出したいだけです
ピロ 「まだ捕まってない犯人も描かれてるとか。。。
かえ 「フィクションですから・・・
ピロ 「客は入るでしょーねー。今話題の事件、その被害者が書いた実話の物語。。。(イヤらしくニヤリと口の端で笑う)
かえ 「・・・・
ピロ 「ワイドショーは勝手に宣伝してくれるでしょーしね!
まり 「ゲス
ピロ 「(ゲッツ的に)ゲスっ!!!なんと言われようとゲス!ですから仕方ないです。それに僕もそろそろ売れたいんで・・・。
かえ 「それが私たちになんの関係があるっていうんです?
ピロ 「その原稿。僕に貸していただければ、イイ記事が書けますよー。
    ブチ山さん(となみに第五回公演「ふたりきり」にも名前だけ登場)のトコなら500万、いや1000万。そこらは固いでしょーな
まり 「ホントにゲスなのね
ピロ 「・・・。まぁ今日はご挨拶だけです。またいずれ。気が向いたらご連絡ください
    シュババ、シュシュ、じゃーん(と口で効果音言ってまた名刺を出して置く)
かえ 「その音って必要?
ピロ 「(退場
かえ 「(独白)ほどなくして、屋久島いちごは姿を消し、同時に原稿も消えた。(パソコン持って退場)

---照明チェンジ。下手のみ明転。舞台の下手だけを照らして、上手は暗くなっている。いわば二面舞台になる。
下手に(まり)屋久島いちごが、やや中央よりの場所に(ピロ)白石礼二が立っている。白石は2つの場面を行き来する。場所は白石の事務所。

まり 「で、お金はいつ支払ってくれるの?
ピロ 「まずはこれをカタチにしなくっちゃあ・・・(原稿を取り出し、読む)
まり 「カタチ?
ピロ 「この原稿を元に関係者の取材を重ねて、あわよくばケーサツより先に犯人にも接触したいもんです
まり 「誰が犯人かもわかってないのに・・・
ピロ 「あわよくば・・・です。屋久島いちごさん
まり 「そう
ピロ 「いちご・・・。ストロベリーですか
まり 「ほっといて
ピロ 「もしかしてアダ名は、ベリィたん・・・とかw
まり 「そう呼んでいいのは恋人だけ。。。
ピロ 「はぁ
まり 「次言ったら、殺す。。。
ピロ 「(原稿を読みながら)あなたんトコの座長さんは、あのストーカー女を犯人って決めつけてるみたいですが・・・
まり 「そうみたいね
なし 「(登場して、暗い上手側で静止したカタチで待機)
ピロ 「ホントのトコ、上田外子が犯人なんですかね

---照明チェンジ。下手の照明を消して、上手のみ明転。下手のまりは静止。前後の会話が繋がっているように間をあけずに喋る。
なし 「みんなそう思ってる !!!
ピロ 「思ってないです
なし 「思ってる!
ピロ 「思ってない
なし 「思ってるっ!!!
ピロ 「思ってる?
なし 「思ってる!
ピロ 「思ってる。。。
なし 「思ってるんじゃない!
ピロ 「けど、ホントは犯人じゃないんでしょ
なし 「当たり前ですよ・・・、なんで私にそんなこと尋ねるんですか。。。
ピロ 「これも仕事なんで・・・
なし 「もしかして疑ってるんですか?
ピロ 「いえ、僕はただ純然たる真実を追っているだけです。
なし 「真実を追う。。。
ピロ 「その為の取材をしてるんです。早速ですけど、あなたとゆーとの関係は?

---照明チェンジ。上手の照明を消して、下手のみ明転。
まり 「割り切った関係
ピロ 「いーですね、それっ!(決めポーズ)
まり 「知りたかったら、コレ(原稿)読んだら?
ピロ 「もう読みましたよ。あなたがあの劇団を紹介した?
まり 「たまたま腹話術してる彼を見かけて、ね。自伝書いてるっていうから持ち込みを薦めたの
ピロ 「じゃ、間接的に、ゆーとが死ぬ要因を作った。
まり 「風が吹いたからって、桶屋は共犯じゃないでしょ
ピロ 「面白い考え方ですやね

---照明チェンジ。下手の照明を消して、上手のみ明転。
なし 「全然面白くないです
まり 「(退場)
ピロ 「じゃ汚名返上する(←わざと間違ってる)必要があるんじゃないですか
なし 「簡単にはいかないですよ。私追われてるんです。北朝鮮からもCIAからもメンインブラックからもモサドからもKGBからも
ピロ 「KGBはソ連といっしょに解体されましたが
なし 「情報操作です
ピロ 「いや真実です
なし 「この世に真実なんてないんです!この原稿がその証拠。みんな寄ってたかって私を犯人に仕立てたいんですよ
ピロ 「みなではないですが・・・(↓のセリフ中に退場する)
なし 「(ナルシストっぽく自分に酔った感じで独白)私は捕まるかも。逮捕されて無実の罪で死刑になる。みんなグルなの。
    だからその前に少しでも真実を世に出す必要があるの! 歪められた事実は修正しなきゃ。
    全世界の人たちに私の可愛さをアピールしなきゃ。 ああ、なんでこんなことになっちゃったの。(ぶりっこ風)

---暗転。面接会場。ただしイスには(かえ)来栖未来と(カナ)鳥野マコが座っている。当然いちごはいない。
---明転。

カナ 「ホントにやるんですか? あの脚本。。。
かえ 「やるよ 。
カナ 「パソコンにデータ残っててよかったですねー
かえ 「ほんと
カナ 「座長はご自身の役を演られるんですか?
かえ 「もちろん私がするわよ。リアルに現実を演じる。。。現実を・・・
カナ 「残りの配役は?
かえ 「今回のオーディションでなんとかするしかないわね
はる 「(みれぃタン。り重い空気をまったく読まずに上手より登場)ぶーんっ、みれぃタンも頑張るぉ!
カナ 「この子も出るんですか・・・
かえ 「そうよ。。。
はる 「まっくすパワーだすぉ
カナ 「これ、採用だったら、他の人はなんで落ちたの・・・↓
かえ 「それよりも、、、
カナ 「無視した。。。
かえ 「…問題は・・・ 主人公の七尾ゆーと役
カナ 「難しいですよね
かえ 「うん
カナ 「(暗く)いい人がいればいいんですけど・・・
かえ 「(暗く)そうね
はる 「(明るく)そーだネ
カナ 「この人は空気を読むとかできないんですね
かえ 「慣れて
カナ 「とりあえず最初の方、お呼びしますね(立ち上がり、上手の出捌け口近くに移動)
かえ 「お願い
カナ 「(上手へ声をかける)どうぞ
なし 「(外子、ずかずか登場)
かえ 「えっ
なし 「(かえの前に立つ)
かえ 「あなた・・・外子?
なし 「お久しぶり
かえ 「久しぶりね・・・
なし 「ゆーとの脚本を元に芝居にするって聞いたんだけど
かえ 「誰から・・・
ピロ 「(白石礼二、上手より登場)おじゃましますよー
かえ 「あなた、こないだの。。。
ピロ 「またまた来ました白石礼二ですよ。以後、お見知りおきを・・・
なし 「未来、話があるの
かえ 「(ピロに)そう、あなたね!
ピロ 「たまたま、こーゆーものを手に入れまして・・・(原稿を見せる)
かえ 「何考えてるの?
ピロ 「あなたと同じ、真実を知りたいだけです。
なし 「未来。私を出して
かえ 「えっ?
なし 「ソトコ役がいるでしょ?私を出して・・・
かえ 「けど
なし 「サークルじゃずっといっしょに演劇してたでしょ、下地はできてる
かえ 「・・・・(睨みつける)
はる 「わーぃ、いっしょに頑張りましょー!!!
カナ 「(小声で諭すように)空気読んで
はる 「そっちのお兄さんも、役者志望ですかー?
ピロ 「僕は部外者ですょ
なし 「それと。もう1つあるの
かえ 「なに?
なし 「(カバンから新たな原稿を取りだし机に置く)これを脚本に
カナ 「脚本は、ゆーとさんの本をベースに座長が・・・(脚本を手にとる)
なし 「それを奪い、(強い口調で)これはウソまみれ。私は犯人じゃない。ありえない
    私が本当の話を書いたから、これを上演しなさい(言い終わったら、上手に退場)
ピロ 「それじゃ、僕も(と退場)
カナ 「言いたいこと言って帰っていきましたねー
はる 「皆さんとお芝居、楽しみダナ
カナ 「どーしますー、座長。。。
かえ 「(外子の原稿をぱらぱら読みながら)うーん。
カナ 「採用するんですか?
かえ 「うーむ

---照明70%
かえ 「(独白)悩んだ結果、コレ(外子の原稿)を読んでから決めることにした。(原稿を少し開いて読み)ソトコの狂気。それには悪魔的な魅力があった。
    ・・・こうして波乱のオーディションは終了した。
---完全明転

カナ 「けっーきょく面接終わっても、ゆーと役は決めかねますねー。
かえ 「そうねー。なんかこの人だーっ、ばしこーんっていうのなかったわよね。
カナ 「キターって感じ欲しいですよね。。。
はる 「むずかしーなー
シン 「(外から声のみ)すいませーん、(織場シンジ。上手より登場して)ハンコお願いできますかー?
三人 「キター!!!
---暗転と入れ替わりにスポット照明。劇団練習場所。芝居内芝居ではコンパのシーン。
(シン)織場シンジは宅配のお兄さん。ダサい本気メガネ。キャップを被り、宅配業者っぽい服装。後の早着替えを考慮して、着替えやすい格好。
内向的で真面目な性格。緊張すると服の裾を触るクセがある。猫背でいつもヘコヘコしている。情けない感じ。

かえ 「(独白)私が決めあぐねている間に、ソトコはその持ち前の強引さで劇団に入り込んできた。
    当然、私は拒絶したかったんだけど、ソトコ役の選考に困っていたのも事実だし。ソトコの狂気を演じられるのはソトコしかいないのかも。
    けどすぐに後悔した。ソトコが演出や脚本にまで口を出しはじめてきたからだ。。。

↑の独白中に(ピロ)白石礼二と(なし)上田外子。さらにエキストラ的な劇団員aモリbトキも登場する。
(かえ)来栖未来、(はる)明菜の衣装を着たみれぃタン、(シン)織場シンジは宅配の格好のまま。全員が芝居の練習風景。全員が台本を持っている。
前のコンパシーンのようにソファにかえはるモリの三人が座っている。トキピロシンは、適当な後ろの方にバラバラに立っている。最上手にカナ。
---明転

かえ 「(演技を見ている)
カナ 「(バインダーに付けられたスケジュール表とか見てタイムウォッチとか触ってる)
---以下、芝居内芝居シーン。
ピロ 「(若者風に元気に)いきなりだけど、好みの男性とか聞いちゃおうかなー
トキ 「おーっ、いいねー
はる 「えーっ、
ピロ 「じゃ明菜ちゃんからー
はる 「うーむー、そーだなー。やっぱりムキムキよりは、スポーツで筋肉付きましたみたいな
トキ 「あーっ、ならコイツ(ゆーと)だよ。
シン 「まぁ
ピロ 「そーっすよ、
トキ 「腕めくれめくれ
シン 「はぁ↓(握りこぶしを作る)
ピロ 「ゆーとってガリマッチョだからさ
はる 「(素っ頓狂な声をあげて)がががががりまっちょ〜 (と言って気絶)
---ここまで

なし 「ちょっと止めて!!!
かえ 「なによ!
なし 「あんときの明菜はこんなんじゃなかった。
はる 「そんなの言われても、みれぃタンわからないぉ。。。
かえ 「いいのよ、演出なんだから
なし 「それに、あなた(シン)、全然ゆーとに似てません
かえ 「これはお芝居なんだから・・・
シン 「すいません
ピロ 「確かに、七尾ゆーとの写真見ましたが、全然似てませんね
かえ 「あなたに、ゆーとのこと語って欲しくないわね
ピロ 「大体、何故、僕がこんなコトしなきゃいけないんですか?
はる 「いいのいいの、カッコイイぉ
ピロ 「(少し照れて)これも取材として諦めます
なし 「あとあなたたち二人(トキモリ)、この後のシーン、ちょっとやってくれない
かえ 「あなたが進めないで
なし 「いいから、やってみて

---(モリトキはかえに目線を送り、舞台中央に立って、酔っ払いのミニコント)
モリ 「(酔って)ちょーっ、別にあたし、酔ってないって、ほんとほんと大丈夫だって
トキ 「(介抱しながら)いや酔ってますから
モリ 「(酔って)あなたこそ酔ってるでしょ
トキ 「シラフです
モリ 「(酔って)あれーっ、他のみんなは〜?
トキ 「もう帰りましたよ
モリ 「(酔って)あなた、誰よ
トキ 「あんたが酔いつぶれて、家が同じ方向だからって、僕が
モリ 「(酔って)ちょっと、やめてよねー。私はそんな安っぽい女じゃないんですからねー
トキ 「あーもう、置いて帰りますよー
モリ 「(酔って)ダメー。連れて帰ってよー
トキ 「メンドくさいなー
---ここまで

なし 「はいっ、とめて。ここよここよ。あのとき、円子は全然酔ってなかった。
かえ 「はぁ?
なし 「酔いつぶれてたのは、相手の男で
かえ 「え・・・、そうだっけ?
なし 「二人、入れ替わってみて・・・

---(次はトキが酔っ払い。モリが介抱する)
モリ 「・・・飲みすぎですよー
トキ 「(酔って)・・・・ぁ〜っ?俺は酔ってないって、酔ってないですよ、はい
モリ 「もーベロベロじゃない〜
トキ 「(酔って)ぜんぜんベロベロじゃない
モリ 「ベロンベロンでグデングデンです
トキ 「(酔って)えっ、酔ってる?
モリ 「シラフ中のシラフです
トキ 「(酔って)シラフ、シラフ大統領。きゃ〜はは
モリ 「1mmも笑えないです。しっかりしてくださいよー
トキ 「(酔って)俺は酔ってない、酔ってないぞー
かえ 「いや、逆!(素早い間で鋭く)

---(モリとトキが入れ替わり)
トキ 「(演技に入る)落ち着いて
モリ 「(酔って)あだじはねー、みんなにね、楽しんでねお酒をね
トキ 「はいはい
モリ 「(酔って)飲んでね、欲しいだけなのよ。
トキ 「そーなんですか
モリ 「(酔って)みんなホントにいい子ばっかりで、あだじ嬉しくて(涙)
トキ 「あーあーあー
モリ 「(酔って)あだじは幸せょぉぉおお
なし 「違う!(鋭く)

---(モリとトキが入れ替わり)
モリ 「飲みすぎです
トキ 「(酔って)ばーろぉーなんだよ、あのおばぁちゃんのムーンフォーク
モリ 「はいはい
トキ 「(酔って)やってられねーよ、たく。こっちは実力ないんだよ
モリ 「そーなんですか
トキ 「(酔って)・・・あっやばリバースしそぅ
モリ 「あーあーあー
かえ 「逆!!!

---(モリとトキが入れ替わり)
モリ 「(酔って)あだじはねー。。。

---(モリとトキが入れ替わり)
なし 「逆逆!!!
トキ 「(酔って)ばーろぉー。。。

ピロ 「(独白)こんな感じで練習はまったくはかどらない。
    根本的な問題は、脚本の元になっている事実、その記憶の相違にあった。
トキ 「(退場して、着替える)
なし 「コンパなんてなかった。あれはゆーとの快気祝いだったんじゃない。
かえ 「違う! おかしいじゃない。あなたのせいでゆーとはノイローゼになって、入院したんじゃない
なし 「私とゆーとは病院で知り合ったのよ。あなたのせいでゆーとはおかしくなったの
かえ 「そんなことないっ!!!
ピロ 「(独白)未来の脚本では。 (←のセリフ中に、素早く暗転明転)

---(芝居内の芝居。コンパシーンの続き。。。)
なし 「(走りこんできた感じで)ごめんなさーい!!!
はる 「えっ?
モリ 「えっ?ソトコ、なんで?
なし 「ごめんなさい。遅刻しちゃって、ホントごめんなさい。。。
ピロ 「あれっ、今日、俺ら3、3って聞いてたんだけど
はる 「そっ、そうなんだけど・・・
なし 「あれっ、ごめんなさい。私、間違ってた?
ピロ 「(独白)一方、外子の脚本では。(←のセリフ中に、素早く暗転明転)    

---(芝居内の芝居。コンパシーンの続き。。。けれどもソファに(なし)外子は座って、そこに(かえ)未来があらわれる)
かえ 「(走りこんできた感じで)ごめんなさい
はる 「えっ?
モリ 「えっ?未来、なんで?
かえ 「ごめんね。遅刻しちゃって、ホントごめん。。。
ピロ 「あれっ、今日、俺ら3、3って聞いてたんだけど
はる 「そっ、そうなんだけど・・・
かえ 「あれっ、ごめんなさい。私、間違ってた?
シン 「なぜ、君がここに・・・
かえ 「えっ? ナンノコト???

---(なしかえ以外の人、↓の独白中に退場)独白中やや弱く明転。50%。
なし 「(独白)ゆーとに最初に会ったのは、精神科の病棟でした。お世辞にもロマンティックって呼べる場所じゃないけど。
     ゆーとから、幾度となく困った元カノについて相談を受けてました。ゆーとのPTSDは来栖未来が原因
---完全明転。
トキ 「(戸倉登場して)ゆーとを追ってココに来たの?
かえ 「違います
トキ 「けど、ここに来る前からの知り合いでしょ
かえ 「いえ、ここに入院してから知り合いました
なし 「(独白)ゆーとからの相談を繰り返すうちに、私たちはお互いに惹かれて行ってました。
かえ 「何言ってるの?なんの話なの?
なし 「(かえを無視して、独白を続ける)何度も何度も言ってるのに。都合の悪いことは忘れるみたい
トキ 「みな整列!!!せいれつっ!!! (特に誰も整列しない)
かえ 「(院長先生のテンション高い口調で)やーっ、みんな今日も元気ハツラツ、治療に専念してる〜
    いーっぱいクスリを飲んで、そのうち中毒になって、いっぱーいお金を落としていってねーん〜。最高ですか〜?
トキ 「はーい。院長先生様は、ちゃーんと処方したお薬は飲んでくれてます〜?
かえ 「ちゃんと飲んでるわよー
トキ 「オッケー。じゃ、またカウンセリングはじめますねー。
かえ 「はーい。
なし 「(可哀想な感じで独白)みんな気づいてたでしょ。ごめんなさいね、この子、ちょっとオカしいのよ。。。

---暗転。
ここはイメージシーン。シンが腹話術人形になっている。格好は織場シンジのまま。かえは腹話術。最初のシーンの逆という感じ。
---50%明転。
かえ 「どーもコンニチワー
シン 「(人形喋り)こんにちわ
かえ 「はいっ、ゆーとくんはちゃんとご挨拶できましたねー
シン 「(人形喋り)挨拶くらいできるよ
かえ 「そっかー、ゆーとくんは賢いねー
シン 「(人形喋り)えへへー、お姉さんは頭オカしーけどねー
かえ 「えっ。。。
---楽屋から笑い声が聞こえてくる。まるでお笑いライブのよう。かえだけはシリアス。
かえ 「ナニ言ってるの?
シン 「(人形喋り)だってー、そうじゃない。狂ってるんでしょ?
かえ 「私は狂ってない
---楽屋から笑い声が聞こえてくる。
シン 「(人形喋り)アタマおかしいよ、キャハハキャハハ
---楽屋から笑い声が聞こえてくる。
かえ 「私はおかしくない。私は狂ってないっ!!!
---楽屋から笑い声が聞こえてくる。
シン 「(人形喋り)狂ってる狂ってる、キャハハキャハハキャハハハハハハハ
---楽屋からの笑い声がかぶってくる。
---暗転

ピロ 「(声のみ)外子の脚本。
ここから、外子の脚本上の芝居が展開される。シーン的には街角や病院など飛び飛びである。
はるは、みれぃ演じる明菜の役。なしは、外子演じる外子の役、トキは劇団員演じる戸倉の役。シンは織場シンジ演じる七尾ゆーと役を演じていることになる。
けれども観客には、これが現実なのか芝居内芝居なのかわからない。

---70%明転。
なし 「(独白)ゆーとを先に好きになったのは、私の友人だったんです。
はる 「(明菜の衣装を着たみれぃタンが泣いてながら上手から登場)
なし 「そんな泣いてばっかりじゃ、可愛い顔が台無しだよ
はる 「私、可愛くなんかない
なし 「一回フラれたくらいで、なによ。出会いはいっぱいあるって
はる 「けど・・・・、ゆーと君・・・
なし 「そっか、ごめんね。。。なんか
はる 「ううん。。。
なし 「ホント、ごめん。。。
はる 「けど、ゆーと君は・・・
なし 「うん。。。
はる 「ううん。ソトコとゆーと君ならお似合いだと思うよ(泣きながら退場)
なし 「・・・ありがと。。。
---完全明転
なし 「(独白)いわゆる三角関係。彼女はゆーとが好き、私も後からゆーとが好きになった。そしてゆーとは私を選んでくれたんです(下手で後ろ向きになる)
トキ 「(戸倉、登場。テレコもったマイムで走ってくる)キュルキュルキュルカチッ、愛情っていう言葉はもっと大切に使うべきです。
シン 「(それを追いかけて登場)やめてめやて!
トキ 「いやー、やっぱり君もソトコちゃんを愛してたんじゃない。
シン 「・・・・(照れながら)はい
なし 「(芝居がかった感じで振り返って、わざとらしく照れる) えっ
シン 「(照)ええっ、聞いちゃってた!?
なし 「(照)聞こえちゃった・・・
シン 「(照)・・・・
トキ 「(呆れきった感じで)なにこれ?(退場)

---70%照明。
なし 「(独白)先に退院していた私は友人を集めて、ゆーとの快気祝いを開きました。そこに空気読まず現れたのが、来栖未来です。。。
かえ 「(登場して)あれっ、ごめんなさい。私、間違ってた?
シン 「なぜ、君がここに・・・
かえ 「えっ? ナンノコト???
なし 「いつ退院したの? もしかして病院抜け出してきたんじゃ・・・
かえ 「何言ってるの。私はどこも悪くないんだから、みんなと違ってフツーだし、いつでも退院できたのよ
なし 「はぁ?
かえ 「私は、ゆーとと離れたくなくて、あそこ入ってただけなんだから、ねっ、ゆーと!(とシンの腕に抱きつこうとする)
シン 「(冷たく振り払い)もう、いい加減にしてください
かえ 「えっ?
シン 「いい加減にしてくださいよ! 僕の人生をこれ以上踏みにじる権利はあなたにはないはずだ!
かえ 「・・・えっ、・・・わからない。私、あなたが何言ってるか、、、わかんない。。。。
(↓の独白中に、かえは退場)
なし 「(独白)誰が見ても、未来が回復しているようには見えなかったです。これに限ってはお医者さまでも草津の湯でも…というやつかもしれませんね
シン 「(和やかに)そんな笑いごとじゃないよー
なし 「ごめんごめん、ねー、ゆーと(ラブラブカップルっぽい雰囲気)
シン 「ん?
なし 「そとこ、パスタ食べたーい
シン 「いいね、どっか食べに行こうか
なし 「そとこ、パスタ食べたーィ
シン 「うん。だから食べに行こうか
なし 「やったー♪るんるーん
二人 (ははははは(とシンなし二人で笑いながらスローモーションでスキップをはじめて、舞台を一周後、なしえはシンくんを楽屋に突き飛ばして)ドーン!!!

---スポット照明
なし 「(独白)幸せな生活。けどそんな日々は長く続かなかった。突然、ゆーとと連絡がとれなくなって、数日後1通のメールが届きました。
シン 「(そっと登場して独白)メール一通で別離する関係。。(腕を痛そうに押さえながら退場)
なし 「(独白)それから数ヵ月後、途方にくれる私にあの信じられないニュースが飛び込んできたんです。数日泣き続けました。(崩れ落ちる)

---完全明転。
ピロ 「(登場して)ほんと、なんとお悔みを言っていいか・・・(←けどさほど申し訳なさそうな感じではなく言う)
なし 「ゅーと。。。ゅーと。。。。ゅーと。。。(と悲しそうに小声で呟き、突然感情込めて泣き叫ぶ)ゆーーーとぉぉぉ!!!!あーん(泣き崩れる)
ピロ 「(なしのあまりの熱演に少し引きながら、客席を気にして、客席の何箇所かに愛想笑いをする)
なし 「ゆーと。。。。(少し落ち着いた感じになって)
ピロ 「お察しします。。。
なし 「行かなきゃ
ピロ 「どこへ
なし 「未来のトコへ
ピロ 「それは・・・
なし 「必要なのっ!!!
ピロ 「なぜ。。。
なし 「未来は、あの人は事実を捻じ曲げ、いえ捏造しようとしてるんです!!!
ピロ 「けどこの原稿は、七尾ゆーとが書いたもんじゃ・・・
なし 「それすらもウソ。彼女のウソ。彼女の言うことは全部がウソなのよ。ウソだウソだウソだーーーーっ!
ピロ 「いいんじゃないですか、勝手にやらせておけば・・・
なし 「私のことはいいの、どんな描かれ方をされてても。けどゆーととの思い出を汚すことだけは耐えられない。
ゆーとだってそう思ったはず。。。(突然思いついたように)、、はっ!!!
ピロ 「どうしたんですか・・・
なし 「(独り言のように)ゆーとだって、そう思ったはず。。。
ピロ 「はい?
なし 「だから、未来のところへ行った。。。芝居をやめさせるために・・・そして・・・
ピロ 「・・・・殺された?(二人で顔を見合わせる)
---暗転。
ピロなし退場。(かえ)未来演じる未来。(シン)織場シンジ演じるゆーとの二人が板付きで立っている。劇団の面接会場。

かえ 「私と貴方の話を書きたいのよ。草案は以前話した通りよ。素晴らしいお芝居になると思うの
シン 「やめてくれないか! 君と僕はもう終わった。思い出を勝手に美化するのは結構だけど、
    僕や外子のことは書かないでくれ。芝居を見た人がこれが事実と思い込んじゃ、僕たちは・・・
かえ 「ソトコ。。。あなた、まだソトコと・・・いいこと思いついたわ
シン 「はぁ?
かえ 「とってもいいコト思いついた。あなたはいくら言っても私の反対のことばかり。
    けどもういいのよ。私の中に、あなたはいるもの。私のことを愛してくれる、ゆーとが・・・
シン 「はぁ???
かえ 「だから、あなたはもういらない。出番の終わった役者ははやく舞台から降りてもらわなくちゃ。。。
---暗転
シン 「ギャーーーーッ!!!!!!!

---明転。ソファ後ろに倒れたシンの死体がある。けど実は同じズボンを履いたモリの足。
かえ 「なんでだろ。なんか物凄く清々しい気分。。。頭が冴え渡ってる。。。(おかしくテンションあがってきて)
    そうよ。殺人事件被害者の日記を舞台化。。。これはきっと売れる。いや、絶対、ヒットになる。。。ふふふふふふふふ。
    ねっ、あなたもそう思うでしょ? ゆーと。
シン 「(登場して)そうだね
---暗転
なしかえはるピロシンモリが板付き。芝居の練習風景のときの立ち位置。

---明転。
なし 「(コクリと頷き)それが真実。。。誰かが正しいことを言わないと
かえ 「虚言もいいとこね。。。むしろ凄い妄想力。。。それであなたが正しいって証拠でもあるの?
なし 「(挑発的に)覚えてる?っていうか知らないよね。。。あのゆーとの快気祝い
かえ 「いえ、あれはただのコンパよ
なし 「あの日ね、友達の一人が写真撮ってたのよ。(写真出してくる)
かえ 「(写真受け取り、それを見る)
なし 「そこには誰と誰が写ってて、そして「誰が」(←強調)写ってない?
かえ 「そんな・・・・そんなぁ!!!

---照明ゆっくりとF.O.し、ピロにスポット。ミステリアスに音楽。。。ピロは白石礼二演じる白石礼二役をしていることになる。
ピロ 「(独白)写真には、外子と明菜、円子が写り、当然、未来は写っていなかった。。。
    さて、ここで問題。。。誰が、七尾ゆーとを殺したのか?

---音楽終了、完全明転。以下、芝居ではなく、リアルシーン。
カナ 「(鳥野カナ、少しだけ間を置いて登場して)はーーーーいっ!!! 一旦、止めます
かえ 「15分休憩〜
皆皆 「はーい
ピロ 「あんなんでいいのか?
はる 「凄く感じ出てたぉ
ピロ 「(照)はぁ、ありがと
シン 「あの。。。すいません。。。(気が小さい)
カナ 「はい?
シン 「(伝票を出してきて)そろそろ、印鑑かサインいただけませんか
カナ 「後にして。。。(かえに)いいんですか? このまま外子さんの脚本にして
かえ 「マコ、それは違うわ
カナ 「えっ
シン 「(ボソッ)印鑑。。。
かえ 「私は真実を追っているだけ。ただ真実を再現してるの。外子がこの劇団に入らなかったら、そのままの本を演じてた。
    けど外子はここに来て、脚本に注文をつけた。だからそれを私の芝居として演じなければならないの。
カナ 「しかしですね・・・
シン 「(ボソッ)サイン。。。
かえ 「劇中の来栖未来役は、私がする。けど座長としての来栖未来役も、私の脚本の来栖未来役も私がしなきゃ
カナ 「はぁ。。。
なし 「(独白)まるで自分の尾に喰らい付いたヘビ。ただ閉じた輪の中で繰り返されるだけ。
    練習を繰り返すこと数週間、、、未来の憧れる狂気、それはもはや本物になってた。。。

かえ 「(夢遊病者のように)ゆーとぉー、ねぇ、ゆーと・・・
シン 「あの僕、ゆーとじゃありませんから。。。
かえ 「何言ってるのよ、ゆーと
シン 「違いますょ。。。
カナ 「彼は織場シンジくんです。宅配のお兄さんです。二人でどーしてもこの芝居に出てって強引に口説いたじゃないですか
かえ 「マコ、あなたはウソをついてる。
カナ 「それが本当です。
かえ 「いいえ、あなたはウソをついている。彼はゆーとよ。私のゆーとよ
カナ 「・・・・(困ったようにうつむく)
なし 「(演出家目線で)うん。いいね、このまま次のシーンいこうか
はる 「わかったぉ
---暗転。シンカナ以外は退場。二人は舞台、上手に立つ。(シン)織場シンジと(カナ)鳥野マコが会話をしている。
---舞台の下手半分だけ暗転。上手は明転の二面舞台。

シン 「ホントに、僕みたいな素人で、、、いいんですか・・・
カナ 「あの、ヘンなルポライターとか、みれぃも全くの素人だし、AVだって素人モノって書いてるだけで萌えるでしょ?
シン 「はい??? ・・・あのルポライターの人、よく引き受けましたね。。。
カナ 「あの人には、ここの内情を探ろうっていう魂胆もあるみたいだけど・・・。それを言ったらあなただってよく引き受けたわね
シン 「頼まれたら断れないんです。。。いつもコレ(薬指の指輪を見せて)に、押しに弱いってからかわれてます。。。
カナ 「薬指に?
シン 「カノジョです
カナ 「カノジョいるんだー、へーっどんな・・・
なし 「(という会話を遮って、外子登場)ちょっと
シン 「はい↓
なし 「あなた、やる気あるんですか!
シン 「すいません。。。
なし 「もっと気合い入れて、ヤル気見せてください
シン 「はい
カナ 「そーいえばさ、あなた宅配の仕事はいいの?
シン 「あっ、昨日辞めてきました
なし 「(デレ)ヤル気あるじゃないですかー
シン 「いえ、実はクビになったんです
カナ 「そりゃ配達の途中なのに練習に参加させて、そのまま軽く軟禁してたもんね
シン 「それ理由にクビになったんですけどね。(ポケットから伝票を取り出し)屋久島いちご?様にお届け物だったんですけど…
シン 「転居先とかわかりますか?
カナ 「(首を振る)
なし 「あなたクビになったんでしょ?
カナ 「マジメねー
シン 「はぁ・・・

---照明チェンジ。舞台の上手半分だけ暗転。下手は明転。事前にピロまりが立ってスタンバってる。カナなしシンは静止。
ピロ 「なんで連絡先、教えていただけないんですか?
まり 「だって、ケータイ持ってないんだもん
ピロ 「今時?
まり 「ほっといて。で、どうなの?
ピロ 「劇団には潜入できたんですが、みなクチが固い。僕がルポライターって知ってますからねー
まり 「それで
ピロ 「もっと取材対象を増やしてみようと思ってるんすが、なかなかに大変です
まり 「知らないわよ
ピロ 「犯人の目安も全然。。。未来は外子が外子は未来が犯人じゃないかって疑ってるたいですけど・・・
まり 「面と向かっては言えない。だから、脚本っていうフィクションで説明してるんじゃない
ピロ 「あーゆー人らは何考えてるかわかりません。。。正直、どっちが本当の事言ってるわかりません。。。
まり 「病院じゃ、あんまり関わらなかったし、プライベートな話もしなかったから、私にもわからないわ
ピロ 「ウソをついている方が犯人?
まり 「なら、戸倉に聞いてみたら?
ピロ 「・・・・

---照明チェンジ。舞台の下手半分だけ暗転。上手は明転。まりは下手から退場。
なし 「あなたには、もっと、ゆーとっぽさが足りないと思うの
シン 「ゆーとっぽさ・・・
なし 「言うなれば、ゆーてぃずむ
シン 「ゆーてぃずむ???
なし 「ゆーてぃずむってのはねー、もっとカッコよくて、はんさむーんで、イケてて、ageてて、ナイスでトラディショナルで、包容力があって、水嶋ヒロで、
カナ 「それ水嶋ヒロじゃないですか?
なし 「そこらへん、もっと役作り、ヨロシクねっ!!!水嶋ィズム(と言って退場。ちなみにイケメン俳優なら誰でもよい)
シン 「意味変わってるし
カナ 「つまりは役作りってコトでしょ
シン 「って言われても…
カナ 「どういうこと?
シン 「参考にしようにもソトコさん言うゆーと像は相当美化され過ぎてるし、座長は、
かえ 「(登場して)ゆーと、ここにいたのー。
シン 「いえ、僕、ゆーとじゃないです
かえ 「何言ってるのよー。今日はウチ来るでしょ?コロッケ作るから、大好きでしょ?私の手作りコロッケ。じゃあね(下手に退場)
シン 「・・・あの感じだし。。。
カナ 「役に入り込んでるのよ。
シン 「はぁ。。。
カナ 「私は直接、知らないからなー、ゆーとって人を
シン 「僕思うんですけど、座長や外子さんが言うほど善人善人してた人とか思えないんですけど・・・
カナ 「(ケータイを取り出してメールを打ち出す)いい考えがあるわ。
シン 「考え?
カナ 「(シンにケータイを見せて)ここに行って
シン 「はい?
カナ 「もう連絡したから(と言って上手に退場)
シン 「そんな・・・、、、(クルっと反転して、オーモリの方を見る)

---(ゆーとの出演していた劇場の楽屋。(モリ)ナスビ姉さはケータイでメールを見ながら下手から登場してソファに座る)
モリ 「なんか飲む?
シン 「いえ・・・
モリ 「ゆーとについて聞きたいんやって?
シン 「はい。。。
モリ 「あなたもなの?
シン 「? なすび姉さんさん(←わざと)は、よくイベント先で同じ舞台に立ってたって聞きました
モリ 「そうやね。
シン 「今度ですね、、、
モリ 「お芝居で、七尾ゆーとの役をするんやけど、どう演じたらいいかわからへん。だからいろんな人と会って、彼の人柄なりを聞き出そうと…
シン 「はい。
モリ 「メールに全部書いとったわ。どうせ言われるままにここに来たんやろ?
シン 「断れない性格で。(指輪をチラッと見る)
モリ 「ゆーとのこと、ちょっと前にも、なんとかって人にも聞かれたトコなんよ。あちこち嗅ぎまわってる人おるみたいやで
シン 「どんな人です?
モリ 「確か、名刺置いてったけど、、、(名刺をポケットから出してきて)白石礼二、ハイパールポライター(と言って退場)

---照明チェンジ。舞台の上手半分だけ暗転。下手は明転。戸倉の病院。トキは下手から登場して、面接用のイスに座っている。
ピロ 「戸倉先生ですね?
トキ 「(名刺見ながら)ハイパール、ポライター
ピロ 「切るトコ違います。ポライターっなんですか
トキ 「じゃそう書けよ
ピロ 「書いてます
トキ 「白石、、、礼二くん
ピロ 「はい
トキ 「あれなの?白石くんは零時何分なの?
ピロ 「はぁ?
トキ 「大体午前なの?午後なの?正午ってこと?
ピロ 「名前です。七尾ゆーとについてお聞きしたいんです。
トキ 「ゆーとのコト聞きたいの?
ピロ 「是非
トキ 「どーしても聞きたいの?
ピロ 「どーしても聞きたいです。
トキ 「それはなんで?
ピロ 「・・・それは僕が物書きだからです。
トキ 「まってくれよー。違うでしょ。それは理由になってないよ
ピロ 「はぁ?
トキ 「だから、なんで、ねっなんで?なんで?なんで?なんで? (壊れたレコードのようにおなじように繰り返す)
ピロ 「(イラッときてビンタする。それからポケットから何かを出して渡す=ワイロ)
トキ 「こんなもの!僕をバカにするんじゃ。。。
ピロ 「(さらに渡す)
トキ 「(手の裏返したように)ゆーとがこの病院に来たのは3年ほど前。あれは今日のように荒れ狂う嵐の夜だった…(雷のse)荒れ狂う嵐の夜だった!(雷のse)
ピロ 「七尾ゆーとがここに入院した原因は?
トキ 「七尾ゆーとが入院した原因。。。
ピロ 「未来が原因ですか? それとも外子? それで真実がわかるんです!
トキ 「七尾ゆーとが入院した原因、、それは・・・!!!!言えぬ、言えぬなー、守秘義務があるからね、フフフ(自分に酔う)
ピロ 「イタタタ(と小声で頭を抑えしかめ顔)
トキ 「んっ、どうした?(声、裏返り)
ピロ 「偏頭痛持ちで、医者ならクスリくらい持ってないですか?
トキ 「ない、、、
ピロ 「七尾ゆーと、来栖未来、上田ソトコ。被害者と容疑者は揃ってこの病院にいた、答えてください
トキ 「だって、言えないのは言えない、
ピロ 「そんな
トキ 「仕方ないよー。けどチロルチョコ貰ったし、自由に患者連中から話聞いていいよー
ピロ 「(ケッって感じで後ろを向き)

---照明チェンジ。舞台の下手半分だけ暗転。上手は明転。同じく戸倉の病院。戸倉はやや中央に移動。
シン 「戸倉先生。。。ですね?
トキ 「戸倉先生ですよ。名前だけでも覚えて帰ってくださいねってオイ
シン 「織場シンジです。。。七尾ゆーとについて・・・
トキ 「聞きたいなら守秘義務あって喋れないから、以下同文。

---暗転
トキは退場。中央ソファに(カナ)カナリア女が座り、紙袋から何かを食べている。会話を正面向き。
下手にピロ、上手にシンが立っている。シンメトリー。違う時間軸のやりたりを同時に見せる。二人はユニゾンして喋る。

---全体明転
カナ 「あたしってね精神疾患持ってて、専門的には「常門」っていうらしーんだけど
二人 「常門?
カナ 「同じことを何度も何度も質問してしまったり、気が付いたら同じことをずっと繰り返し言ってたり
二人 「はぁ
カナ 「知ってるかな? 専門的には「常門」っていうらしーんだけど
二人 「常門。。。
カナ 「なんかね、忘れてるんじゃないの、現実が繰り返してるだけなの
二人 「そーなんですか
カナ 「食べますか?(と紙袋を差し出す)
二人 「これは?
カナ 「コオロギです(と言って食べる)
二人 「うわぁー。。。
カナ 「あたしってね
二人 「七尾ゆーとについて聞きたいんですが…
カナ 「ゆーと? ザンネンよねー死んだんでしょ?
二人 「・・・
カナ 「ここだけのヒミツ、実はね。。。
二人 「実は・・・
カナ 「常問って言って、常に問うと書いて、、、
二人 「わかりました
カナ 「ここだけのヒミツ、実はね。。。
二人 「実は・・・
カナ 「あたし、ゆーとと付き合ってたんだ
ピロ 「え、ほんとに?(↓同時に)
シン 「知ってます。(↑同時に)
カナ 「ホントだよ。二人だけのヒミツだけど、もういいよね
ピロ 「あなたは、七尾ゆーとと付き合っていた!?
シン 「あなただけじゃない。七尾ゆーとは来栖未来とも、上田外子とも、複数の女性と付き合ってた最低の奴なんです
---スポット照明。
ピロ 「(独白)七尾ゆーとって、どんな人間だったんだ?。。。

(トキ)戸倉と(はる)患者Bがソファに座る。
---完全明転。
トキ 「(原稿を読みながら)なんか凄いことになっちゃってるね
はる 「ナニがですか?
トキ 「えっ、知らないの?それはもうダメだよ
はる 「ダメなの?
トキ 「人間としてダメだよ
はる 「ええええ
トキ 「こんなんじゃすぐ退院だよ
はる 「えーどうしよ!!! っていうか、ナニがそんなに凄いことになってるんですか?
トキ 「決まってるじゃん。地球温暖化だよ。海面上昇だよ
はる 「あー。たしかに・・・
トキ 「ひとりひとりがね、もっとね、気をつけないと。ゴミとか、ね、エコをね
はる 「ってか、ナニ読んでるんですか?
トキ 「あ〜君も読む?(原稿渡す) 来栖くんのトコで、ゆーとを主役にしたお芝居やるんだって
はる 「へー (原稿読む)
トキ 「僕のこともね、ちょっとだけ出てるっていうんだー
はる 「えーっ、すごいじゃないですかー先生〜
トキ 「先生じゃない〜。クモ男だ
はる 「クモ男!
トキ 「クモ男じゃない。坂東英二だ
はる 「坂東さん!
トキ 「(モノマネ)いやね゛、ほんま゛に゛も゛う僕は,ね、ゆで↑タ↓マゴ↓がね、って、できねーよ」
はる 「自分から振ったくせに
トキ 「ケーサツも全然打つ手なしで困ってるみたいだし
はる 「えー。どーしてですかー?
ピロ 「(白石礼二、上手から登場して)そこなんですよ
はる 「いらっしゃーい
ピロ 「毎度お馴染み、白石礼二ですよ。
トキ 「おまえ誰だっ?
ピロ 「今言ったでしょ。。。白石礼二です。
トキ 「知ってる、うん、それで?
ピロ 「(クソッという感じの間)・・・最後に七尾ゆーとに会ったであろう人物ってのが見つかってないらしーんで
トキ 「その人物って・・・
ピロ 「(メモを見て)豊川ウメ。大正13年8月16日生まれの86歳。獅子座のAB型。好物はモンブランとアンキモ
トキ 「そこまで割れてるのに、何故見つからないんだろね
ピロ 「コンパか快気祝いかわかんないけど、あのとき出席してたメンバーも全然見つからない。。。
トキ 「まぁ、ある意味仕方ないと思うけども・・・
はる 「そりゃw
ピロ 「えっそれはなんで?
トキ 「この劇団、キャストが少ないから!!!
はる 「新団員随時募集中!!!
皆皆 「(楽屋から)よろしくお願いしまーす(おいでよー、楽しいよー、いっしょに芝居しよーよ)
ピロ 「なんの話ですか!?
トキ 「気にしないで、こまーしゃる
ピロ 「こまーしゃる!?
トキ 「大事よ、こーゆーのはね、うんうん(電話が鳴り、出る)もしもし、なにっ?!
ピロ 「どーしたんです!
トキ 「阿部さんとこに双子が生まれた
ピロ 「関係ないっ!!!
トキ 「僕にとっては大事件なのっ!!、
ピロ 「・・・・・・・未来の原稿によれば、倉庫にミルちゃんとか言う腹話術の人形があるはずなんです・・・

---暗転。ピロトキはるは退場。(かえ)未来が登場して、階段下で人形のふりをしてじっとしている。倉庫のシーン。
---70%明転。

かえ 「(可能ならば薄目をあけで瞬きしない)
シン 「(織場シンジ、おそるおそる上手より登場。ゆっくりゆっくり、かえに近付いていく)
かえ 「(最大限に近付いたトコで目をパチッとあけて)がーっ!
シン 「うわっ。。。ビックリさせないでくださいっ!!!
かえ 「あー、寝てた〜
シン 「目を開けたまま、寝ないでください
かえ 「どうしたの、ゆーと、まるで迷子のキツネリスのよう・・・
シン 「何度も言わなさいでください、僕は、ゆーとじゃ、、、、(諦めて、飽きれて)じゃもう、ゆーとでいいです(ソファに座る)
かえ 「(艶っぽく、むしろオカしくなってる感じで)ねぇ、ゆーと、、、、私を好きにしたいでしょ
シン 「・・・(動かない)
かえ 「いいのよ、私のこと好きにして。。。まるで意識のない人形のように・・・
シン 「・・・
かえ 「殴ってもいいんだよ。ツバを吐き掛けてもいいんだよ。犯してもいいんだよ。好きにして。そうなりたいの。私はあなたの人形になりたい。(抱きつく)
シン 「(頭を撫でながら)僕のことはもう忘れた方がいいです。。。僕は、ゆーとは、あなたが思っているような人間じゃない。。。
---音楽と共にゆっくり暗転。

---照明、上手はそのまま暗転して、下手のみ明転。かえは退場。戸倉の病院。(トキ)戸倉はイスに、(シン)織場シンジは立ちで下手側で板付き。
シン 「屋久島いちごはこの病院に勤めていたんですよね?
トキ 「そうだよ
シン 「連絡先とかわかりませんかね・・・僕がずっと荷物預かったままになってるんですが・・・
トキ 「知らないよーそんなの
シン 「彼女、どんな感じでした?
まり 「(屋久島いちご、ナース服で登場する。基本的にトキシンを無視)
トキ 「いちごちゃんはホントまったく仕事をしてないナースだった。
まり 「(ソファに寝っ転がってタバコを吸い始める)
シン 「その姿、容易に想像できます
トキ 「見えてるしね
シン 「回想シーンですから
トキ 「僕はあの女に揺すられていた
まり 「(近づき、トキの腕に注射を打つ)
トキ 「はぁ〜、お父さんに愛情いっぽん
まり 「(注射した部分をマッサージする)
トキ 「(揺れる)揺らされてた
まり 「(退場)
シン 「そーゆー古典的な笑いはいりません。
トキ 「こーゆーの挟んでいこうよ、隙間隙間に
シン 「挟まないで。。。
トキ 「口は悪い方だったかなー、患者に「死んで」とか平気で言ってたし
シン 「・・・
トキ 「いつも左手首にリストバンドしててね。学生時代、かなりイヂメを受けててさー。。。家族のおかげで立ち直ったみたいだけど・・・
シン 「(含みを持たせた表情)そうですか・・・
トキ 「学校じゃいつも兄貴の影に隠れて。。。。。。。。(まぢまぢと顔をのぞき込み)
シン 「なななんなんですか
トキ 「(シリアスに)僕はさ、毎日毎日異常な連中と付き合ってるわけよ。
シン 「はぁ
トキ 「(シリアスに)だからわかるんだけど。
シン 「何がですか?
トキ 「(シリアスに)目を見たらさ、フツーの人間か、こっち側の人間か・・・
シン 「・・・
トキ 「(シリアスに)おまえ、、、少し入ってるな
---照明、下手は暗転。上手のみ明転。トキシン下手から退場。トキ、お大急ぎで上手側に走り着替える。刑事はロングコートにハット姿。
白石の事務所。(ピロ)白石礼二、上手に板付き。

ピロ 「(スボンを履いている途中)この事件、想像以上に根が深いみたいで、なかなか
まり 「(いちご。上手から服を着ながら、髪をなおしながら登場)そう
ピロ 「けど、面白い記事になりそーです。
まり 「なによりね
ピロ 「あのふざけた医者にも会いましたよ
まり 「戸倉?
ピロ 「あなたの話も聞けました。それはそれでなかなかに興味深い話でした
まり 「・・・そう
ピロ 「その傷とか、なぜ病院を辞めたとか、ケータイを持たないワケとか
まり 「単に嫌いなだけよ
---seケータイの着信音
ピロ 「(カバン開けるとケータイがゴロゴロ出てくる。)
まり 「嫌がらせ?殺すわよ
ピロ 「職業柄ね・・・(一つを取り出して、電話に出る)はい?ええっ!?
まり 「どうしたの?
ピロ 「来栖未来と上田外子が警察に捕まったみたいです。
まり 「逮捕?
ピロ 「一応、任意同行みたいですが
トキ 「(刑事。手帳を掲げてドカッと音をあげて、上手より登場)屋久島いちごさんですね。ちょっと、署までご同行願えませんか?
まり 「(大きく舌打ち)ちっ(上手へ移動)

---ゆっくりとスポット照明に移行。まりとトキは退場。連行される感じ。
ピロ 「(一人部屋に残される。床に落ちている指輪を見つける。内側に彫っている文字を読む)
    マイスイートストロベリー???ストロベリー。。。(指輪をポケットに入れる)
    (独白)来栖未来、上田外子、屋久島いちご、三人は任意同行され取り調べを受けたが警察の捜査は結局徒労に終わり、6時間後容疑者たちは釈放された。
    が・・・、この逮捕劇は意外な効果をもたらすことになる。 時計の針を少し戻して話そう。

---照明F.I. 上の独白中に、(トキ)刑事と(モリ)ウメ老人が下手に登場して待機。
トキ 「わざわざのご側路有難うございます
モリ 「・・・はい?
トキ 「豊川ウメさんですね
モリ 「豊川ウメ・・・はて、どっかで聞いたような
トキ 「あなたでしょ
モリ 「(スルーして)殺人事件ですってねー、おそろしい
トキ 「そうなんです。若い男性が刺されまして
モリ 「くわばらくわばら・・・、
トキ 「はい
モリ 「恐ろしい恐ろしい。何かこれ以上、よからぬことが起こらなければよいんですがね・・・
トキ 「物凄いフラグたてましてね
モリ 「だって、あの館は・・・、おっと、これ以上は言うまい言うまい
トキ 「えっえっ???
モリ 「そーいえばあの日は満月でしたねー、今夜も・・・
トキ 「・・・・
モリ 「刑事さん、何か胸騒ぎがするんですよ・・・
トキ 「その意味深な伏線張るのやめてくれませんか
モリ 「ヒッヒッヒッヒッヒッ
トキ 「結局、何も起こらないんですから。
モリ 「ヒッヒッヒッ
トキ 「いいですか、今からここに何人かの人が並びます。こちらからあちらは見えていません
    あなたが犯行現場、またはその近くで見た人がいたら教えてください。わかりましたね?
モリ 「・・・はい?
トキ 「だから、おばあちゃんいいですか?この中で見たことある人がいたら教えてください
モリ 「はいっ、、、はいっ。。。(マイクに)オーダー通します。コーテル、リャン 、、ソーハン、
トキ 「通さない
モリ 「(マイクに)コーテルキャンセルです。
トキ 「いいから容疑者を並べろ。

---上手より、やる気なさそうに三人が壁際に立つ。下手より(まり)屋久島いちご、(なし)上田外子、(かえ)来栖未来。三人にスポット。
トキ 「どーです。見たことある人がいますかー?
モリ 「はいっ、かみきりゅうのすけくんじゃありません。。。
トキ 「わかってます。あの中で、
モリ 「あっ!
トキ 「どうしたんですか?
モリ 「わかりましたよ
トキ 「おおーっ、それは誰です!
モリ 「門脇さんです
トキ 「そんな人、いません
モリ 「はらたいらさんに3000点
トキ 「あんた、わざとだろっ!!!

---三人のスポットを残して、あとの照明を暗くする。その隙にトキは下手から退場して急いで着替える。
なし 「この中に、ゆーとを殺した人がいるってことですよね
まり 「少なくとも警察の見解はそうだったことでしょ?
かえ 「ここでの会話、録音されてる
なし 「わかってます
かえ 「(向きを変えて)・・・・それにしても、いちごさん、お久しぶりね
まり 「その節はどーも。
かえ 「(皮肉たっぷりに)突然、いなくなったと思ったら、ゆーとの原稿もなくなって。そしたらヘンなルポライターが何故かそれ持って現れて・・・
まり 「そうらしいねー。
かえ 「とぼけないで!
まり 「・・・私にはお金が必要なの!
かえ 「開き直ったわね!!!(喧嘩腰一歩手前)
トキ 「(容疑者に声のみで)こらーっ!!!私語は禁止だ。言われたことだけ答えろ!
皆皆 「・・・
トキ 「(老人ウメに声のみで)いいですかー、今から容疑者の声を聞いていただきます聞き覚えある声があったら教えてください。
    (容疑者に声のみで)そのテーブルに置かれたメモを左の奴から順に読んでいけ
かえ 「(言われた通りに)「家のつるべは潰れぬつるべ、隣のつるべは潰れるつるべ 」(などの早口言葉が日替わりで置かれてある)
なし 「家のつるべは潰れぬつるべ、隣のつるべは潰れるつるべ
まり 「家のつるべは潰れぬつるべ、隣のつるべは潰れるつるべ
トキ 「(声のみ)どうですか?
モリ 「もう一度お願いします
(モリの判断で自由に何度でも)
---良き頃合で暗転、みなが退場。

二面舞台。けど上手下手ではなく、どちらかといえば前後。照明チェンジできなければ全灯のままでよい。
(トキ)戸倉と(はる)患者Bはソファに座っている、原稿を読んでいる。戸倉の病院。ソファは少し奥にある。
---明転。

ピロ 「(白石礼二、登場)
トキ 「また来たの?何時何分
ピロ 「白石礼二です。
トキ 「日付が変わるのは
ピロ 「零時です
トキ 「長針と短針が唯一重なるのは
ピロ 「零時です
トキ 「ヤマトの作者
ピロ 「れいじです。もういいです。原稿は読んでいただけましたか?
トキ 「途中で飽きた〜
ピロ 「ちょっと。
トキ 「代わりに、うちの患者Bに読ませたから、彼女に聞いてみてよ
はる 「(二つの原稿読みながら)これ、なんかおかしくないですかー?
ピロ 「と言うと?
はる 「あなた、ゆーと殺しの犯人探してるんですよね?
ピロ 「知っているんですか?ソトコですか? 未来ですか?
はる 「簡単よ。二人の原稿、よく読み比べてみなさいよ。
ピロ 「えっ
はる 「そこに答えが書いてあるから・・・
ピロ 「けど、どっちかはウソを書いてあるんですよ
はる 「知ってる? 完全なウソなんてないのよ。
ピロ 「はぁ?
はる 「(シリアス)ウソには必ず何%かの真実が含まれてるの。そうあって欲しいっていう願望とか思惑とか、それがウソを作り出す。だからそれを差し引いたら…
ピロ 「あんた、何者だ?
はる 「天才とナントカは紙一重。。。私は狂ったフリをしてわざとココにいるの。もともとは本庁の科学捜査部でエースを務めていたんだから
ピロ 「何、その裏設定。。。
トキ 「気にしないで、虚言癖なだけだから
ピロ 「そーなのかよー
はる 「けど、この原稿ね。二人とも半分本当。半分はウソ書いてるよ。多分
ピロ 「どーゆーことだ?
はる 「別に申し合わせたワケじゃないんだろうけど、共通して、あるウソが書かれてる
ピロ 「それは???
はる 「ゆーと、よ

---トキはるピロの三人は以下の芝居を後ろから眺めている。あまり動かないように。
三人より前に(カナ)鳥野マコと(シン)織場シンジが下手より登場して上手見ながら待っている。まりなしかえの容疑者三人が釈放されて上手より登場。
なし 「やっと解放されたわ・・・
カナ 「(かえに)大変でしたねー。
かえ 「帰ったら、すぐに原稿を書きたさないと・・・
カナ 「少しは休んでください。。。
シン 「(まりに気づき)やっと見つけた!
まり 「はぁ↓ ここまで追いかけてきたの?
シン 「ずっとずっと探してたんだから
なし 「知り合いなの?
まり 「ちょっとね。。。
シン 「君に荷物が・・・
まり 「どうせ自分で送ったんでしょ。。。
シン 「まぁそうだけど
かえ 「どういう関係?
まり 「ああ、これっ、私の兄
皆皆 「ええええええええええ

---スポット照明
ピロ 「(舞台最前列に出てきて、独白)芝居の脚本っていうの読んだことある人いますか?
   あーゆーのは書く人によって様々で、事細かに指示が書いてあったり、セリフだけだったり、いろいろあるみたいです。
   だから例え、同じセリフでも言い方によってかなり印象が変わってくる。
↑の独白中に面接会場を作る。なしシンは上手に退場。面接官のイスにかえとまりが座っている。カナはドアの前に立っている。
完全明転

まり 「次の方、呼んで。
カナ 「はい
シン 「(織場シンジ演じる七尾ゆーと。上手よりにこやかに登場)
かえ 「ゆーと。。。
シン 「(明るくフレンドリーに)久しぶり。君も(まりに)
まり 「・・・ひ久しぶり。。。
シン 「(明るくフレンドリーに)ちょっと、未来に話があるんだけど・・・
かえ 「ナニ?
シン 「(明るくフレンドリーに)脚本のね、、、
かえ 「脚本?
シン 「(明るくフレンドリーに)よかったら、二人だけで話せない?
かえ 「(まりを見てから)いいわよ。(まりに)ゴメン、ちょっと数分だけ待ってて(と言って、シンと共に上手に退場)
ピロ 「(独白)これは未来の脚本。ゆーとがいかにも脚本の持ち込みをしているように思える。けど

---素早く暗転明転。かえ↑の独白中に素早く戻って着席。
まり 「次の方、呼んで。
カナ 「はい
シン 「(上手よりズカズカとふてぶてしく登場)
かえ 「ゆーと。。。
シン 「(イラ)久しぶり。君も(まりに)
まり 「・・・ひ久しぶり。。。
シン 「(イラ)ちょっと、未来に話があるんだけど・・・
かえ 「ナニ?
シン 「(イラ)脚本のね、、、
かえ 「脚本?
シン 「(イラ)よかったら、二人だけで話せない?
かえ 「(まりを見てから)いいわよ。(まりに)ゴメン、ちょっと数分だけ待ってて(と言って、シンと共に退場)
ピロ 「(独白)こっちは外子の脚本。同じセリフなのに、こちらは脚本の抗議に聞こえる。

---
面接シーンここまで。シンカナなしまりかえは、釈放後のシーンの立ち居地に戻る。ただ中央に空間を作って、後ろの病院シーンの芝居を見せる。

トキ 「で、何がわかったの?
ピロ 「どちらが正しいかが大事じゃない。どちらがウソをついているかじゃない。同じ本でも同じ事実でも受け止める人によって内容は変わる。
はる 「二人ともウソをついてる。
トキ 「それは?
はる 「ゆーとが自分のことを愛してくれてる。。。というコト
トキ 「とどのつまり???
はる 「二人とも、ゆーとに愛されていなかった。
ピロ 「そんな!

---釈放後のシーン
シン 「・・・・
なし 「で、ずっと家出した妹探してた・・・って
シン 「・・・・
カナ 「宅配の仕事も、その為?
シン 「・・・・
なし 「病院から突然いなくなったのも、お兄さんから逃げるためなの?
シン 「・・・・
かえ 「劇団からいなくなったのも、それと同じ?
まり 「・・・・
かえ 「どうして、そこまでして逃げるの?
まり 「・・・私が、依存し過ぎちゃうから。。。
シン 「・・・・

---シンなしカナまりかえが上手に退場。ピロが頭を抱えながら、舞台前方に歩いてくる。。。
はる 「取材のメモとかないんですか?
ピロ 「うーん。一応、全部録音はしてるんだけど(と上着のスソにボイレコを仕込んでいるのを見せる)
はる 「全部?
ピロ 「全部。
はる 「聞いていい?
ピロ 「結構な量ありますよ(と手渡し)。。。これで犯人わかりますかね。。。
はる 「わかる。。。と思う。(録音を再生←再生早送りの操作する)
---(以下、録音した音声を再生する。役者は適当にアドリブで動く)
ピロ 「(録音声)下に誰もいませんでしたんで、勝手に入らしてもらいました。
かえ 「(録音声)だれっ?
まり 「(録音声)役者のオーディションは午後からですが・・・
ピロ 「(録音声)僕は、まぁルポライターみたいなことやって飯食ってるもんです
ピロ 「録音した自分の声ってヘンな気分ですよね
トキ 「そーそーそーそー
---(早送りのse)
ピロ 「(録音声)あなたとゆーとの関係は?
まり 「(録音声)割り切った関係
ピロ 「(録音声)いーですね、それっ!(決めポーズ)
---(早送りのse)
ピロ 「(録音声)未来さんや、ソトコさんってどんな人ですか?
はる 「(録音声)う〜ん、みれぃタンにはわかんないぉ
はる 「この子は可愛いに違いない。
ピロ 「いや、そんな・・・
はる 「ぎろっ
ピロ 「可愛かったデス、、、デス
---(早送りのse)
ピロ 「(録音声)未来はソトコがソトコは未来が犯人じゃないかって疑ってるたいですけど・・・
まり 「(録音声)面と向かっては言えない。だから、脚本っていうフィクションで説明してるんじゃない
---(早送りのse)
カナ 「(録音声)あたし、ゆーとと付き合ってたんだ
ピロ 「(録音声)え、ほんとに?
カナ 「(録音声)ホントだよ。二人だけのヒミツだけど、もういいよね
ピロ 「(録音声)あなたは、七尾ゆーとと付き合っていた!?
---(早送りのse)
トキ 「(録音声)阿部さんとこに双子が生まれた
ピロ 「(録音声)関係ないっ!!!
ピロ 「ここ、ホントに関係ないですよね
トキ 「うん
---(早送りのse)
モリ 「(録音声)はぃ? わたくしは、くまだまさしでございます
ピロ 「(録音声)違います。おばーちゃんは、くまーだまさーしではありません。
はる 「この人は?
ピロ 「死体の第一発見者
ピロ 「(録音声)現場で何か見たり、聞いたりしてませんか?
モリ 「(録音声)・・・・・・・・・・・・・・・・・はぁ
ピロ 「(録音声)聞こえてます?
モリ 「(録音声)はい・・・、かみきくん?
ピロ 「(録音声)いません
モリ 「(録音声)・・・いましたよー
---(停止のse)
ピロ 「こんなんで参考になります?
はる 「うーん
トキ 「うっかり寝言でさ、「私が犯人です」って告白してくれないかな
ピロ 「しないだろ
はる 「するかもしれないですよ
ピロ 「えっ
はる 「案外、ずーっとヒミツにしとくのって大変なんですよー
ピロ 「まぁ、ね
はる 「実は告白したがってると思います

---暗転。はるピロトキ退場。じょじょにスポット照明で、板付きの(シン)織場シンジが照らされていく。
シン 「(独白)愛する人を守れますか?
    愛する人の為に、自分を犠牲にできますか?僕はできます。それを証明しました。(後ろ手に持っていたナイフを取り出す)
    子供の頃、よく妹はいぢめられてて、いつも僕が守りました。妹を守る為にやりました。後悔はしていません。あんな女の敵は死んで当然なんです。。。
まり 「(ゆっくり上手から登場して)次それ言ったら殺す。
    (立ち位置変えて)それっ、ネットとかに流したら殺す。
    (立ち位置変えて)まぢうざい、死んでくれないかな?
    (立ち位置変えて)しんじ〜っ、あの男、殺してくれない?(上手へ退場)
シン 「(独白)頼まれたら断れない。はじめて人を殺しました。。。大変なことをしてしまったという後悔と警察に逮捕されるかもという恐怖。
    気分が昂ぶって寝つけず、気が付いたらレンタルビデオ屋でアダルトビデオ借りようとしていました。
    鬼畜AVマニアの素人ハメ撮り投稿ハイパーデラックススペシャル(とDVDを取り出す)。
    見たことある人たちが映ってるでしょ。この二の腕のガチムチな筋肉とか。。。

---完全。明転
ピロ 「(白石礼二、上手から登場)みんな取材に行く先々で、あなたも来てたって聞きました。
シン 「役作りの参考に、いろんな人から話を聞いてるんです・・・
ピロ 「なーる。。。僕はね、どーもルポライターなんかやってるせいか、人に警戒心持たれちゃうみたいで
シン 「その格好のせいじゃないですか?
ピロ 「ナントカは道連れって言うんでしょ、いっしょに関係者の洗い出しまわりませんか?
シン 「えっ
ピロ 「僕はねー、なんとかしてケーサツより先に犯人接触したいんです
シン 「はぁ↓
ピロ 「真犯人はどこかにいる。いっしょにそいつを見つけ出しましょう。
シン 「(独白)僕が犯人なんだけど・・・
ピロ 「あなたは頭もキレそうだし、頼りにできそうです
シン 「(独白)僕に期待されても。。。けど頼まれたら断れない性分で・・・
ピロ 「未来もソトコも、ゆーとを語るとき欠点なんてない完璧な好青年みたく描いてるんです。
    欠点のない人間なんていない。そんなの物語の中か空想の産物。アイドルに憧れる女子中学生。レトリック。。。つまり本当のゆーとは、
シン 「女に何股もかけ、騙し、暴力をふるい、金をせびり、食い物にする様な最低の奴
ピロ 「そうなんでしょ
モリ 「(円子登場して、ソファに座る)そうだとしても、私には関係ないことでしょ
ピロ 「円子さん。あなたがあのコンパでの出来事を話してくれたら、とても参考になるんです。教えてください
モリ 「なんで、自分だけハブられてたときの話をしなきゃいけないの
ピロ 「教えてください。僕たちは犯人が誰なのか知りたいんです。ねっ!(とシンにふる)
シン 「・・・はぁ
ピロ 「あのコンパに遅れてきたのは、誰なんですか?
モリ 「遅れてきたっていうか、呼んでもいないのに、ソトコと、あと未来が勝手に来たのよね
ピロ 「二人ともが?! 

---(コンパのシーン。男は未登場。(モリ)円子と(はる)明菜がワイワイ見えない男連中と喋ってる感じ。そこに)
なし 「(外子。上手より急いで登場してソファのそばへ)ごめんなさーい!!!
はる 「えっ?
モリ 「えっ?ソトコ、なんで?
なし 「ごめんなさい。遅刻しちゃって、ホントごめんなさい。。。 あれっ、私、間違っちゃった?
モリ 「あなた、何考えるの?
なし 「えっ、ナニがですか???
かえ 「(未来。下手より急ぎ登場してソファのそばー)ごめんなさい!
はる 「えっ?
モリ 「えっ?なんで未来まで?
かえ 「あれっ、ごめんなさい。私、間違ってた?

ピロ 「なるほど・・・そういうことでしたか・・・。
---はるのみ退場。なしかえの二人は上手奥に立って待機。イメージとして立っている感じ。

モリ 「二人とも、ゆーとの元カノ。と勝手に自分たちで思い込んでるだけで、ゆーとにとってはタダのカモよ。
ピロ 「最低の奴だな。殺されても仕方ない。ねっ!(とシンにふる)
シン 「あっ、はい
ピロ 「僕の手で殺してやりたいくらいだ、ねっ!(とシンにふる)
シン 「・・・まったくです。
モリ 「ゆーとは二人にミジンコほども愛情持ってなかった。あの子たちが勝手に自分の頭ん中で彼氏にしてただけ。
ピロ 「それを脚本にして奪いあってたってワケか
モリ 「あの子たちも醜いわねー。だーって、ゆーとは私だけを愛してくれてたんだもん
ピロ 「んなワケないでしょ
モリ 「あなたバカー?
ピロ 「(スリッパで頭叩く)
モリ 「毎回かっ!!!(悔しそうに上手へ退場)
ピロ 「ある意味、すげーな。女だったら手当たりしだいか。。。
シン 「・・・・。
ピロ 「ゆーとは、色んな女を騙してた。つまりもあなたもその一人なんですよ(と、なしの方を向く)
なし 「(手前に歩き出してきて)・・・全部、未来が悪いのよ
ピロ 「全てを他人のせいにできたら、そりゃ、楽でしょーねー
なし 「・・・
ピロ 「あなたは自分の本を採用させることで、未来に勝ちたかった。そうじゃないですか
    まぁ、未来もあなたに勝ちたかったのかも。。。
かえ 「(手前に歩き出してきて)別に勝ち負けの問題じゃないの。人の狂気を描く。それには自らも狂わなければならない。
シン 「狂う。。。
かえ 「恋に落ちれば正気じゃ絶対にできないことだってできる。
ピロ 「(台本を持ち)この二つの脚本は、一人の鬼畜とそれに恋した女たちが作りだした迷宮みたいなもんなんですかね。。。
シン 「・・・あっ、聞いてませんでした
ピロ 「ちょっと。。。
シン 「すいません。

---かえなし上手に退場。下手より、(トキ)戸倉と(はる)患者B登場。
はる 「(ヘッドホンでずっと録音を聴いている)
トキ 「そんなんで犯人わかるの?
はる 「私思うんですけどー。男の人が殺されて、恋愛絡みだと、必然的に犯人は女〜って思われません?
トキ 「わかった、つまり犯人はホモさんか
はる 「違います。けど半分は正解だと思います。
トキ 「つまり?
はる 「犯人は男です。。。
トキ 「おとこ
はる 「(シリアスに)歪んだ愛情が狂気を生み殺人が起こった。。。私が考えが正しかったら、(くいくいと言って、ピロに耳打ちする)
ピロ 「(ニヤリと笑う)

---そのまま、はるトキ下手に退場。シンとピロのシーン。二人で聞き込みの帰り道を歩いている場面。
ピロ 「(一回転して、シンとの芝居に戻る)また犯人探しは振り出しに戻っちゃいましたねー
シン 「はぁ。。。
ピロ 「まぁ恋愛が狂気を生むというのは、納得できますやね(そのまま上手に退場)
シン 「・・・・。そうかもですね。。。そうかも。あの日も・・・(と呟いたのち、髪をクシュとして、メガネを外し、上着を脱ぎ楽屋に投げ、ゆーとになる)
まり 「(屋久島いちご、上手より登場)」
シン 「(後ろ向きに)じゃ、脚本の件、よろしく頼むね。頼りにしてるよ
まり 「(独白)ゆーとは、カモの前では本当に優しかった。けどそれ以外は・・・
シン 「(チャラ男風に、まりに肩を組み馴れ馴れしげに)よー、いちごー。また昔みたいにセッ狂おうぜー。ビデオに録ってさー
まり 「(振り払い)いい加減にして。私はもう昔のままじゃないんです
シン 「はぁ?おまえは普通の男で満足するよーな女じゃないのは、よく知ってるんだよ
まり 「私は変わったの。。。あなたなんかより、ずーっとイイ相手見つけたから
シン 「誰だよ
まり 「関係ないでしょ。
シン 「あっそ・・・。なら、もうあのビデオはどーなってもいいんだな
まり 「消したんじゃないの!
シン 「さー?どーだったか、なんせ女の数が多くて・・・ケケケケケケケケケ(と退場)
まり 「(涙と怒)
シン 「(早着替え、織場シンジで登場)
まり 「シンジ・・・(涙)。
シン 「どうした?
まり 「あんな男、、、シンジ、、、(か細い声で)殺して、、、(涙)

---音楽スタート。
シン 「(織場シンジ。振り返って、上手の出捌け口に向かって)ちょっと待て。おまえか、僕の妹を泣かした奴は・・・
シン 「(七尾ゆーと)・・・・
シン 「七尾ゆーとですね。おまえの話は、聞いてるぞ。。。
シン 「(七尾ゆーと)・・・・
シン 「なんとか言えよ。
シン 「(七尾ゆーと)・・・・
シン 「なんとか言えって言ってるだろっ!!!
シン 「(七尾ゆーと)・・・・
シン 「(ナイフを取り出し)僕に刺せないとでも思ってるんですか
シン 「(七尾ゆーと)・・・・
シン 「ビビッて声も出ないか
シン 「(七尾ゆーと)・・・・
シン 「おまえを殺そうとずっと持ってたんだ。
シン 「(七尾ゆーと)・・・・
シン 「これで妹と永遠に別れてください。。。よろしくお願いしまーーーーーーす(サマーウォーズで刺す。その動きのまま退場)

---照明は上のセリフのときに全灯か目くらましのように明るく照らす。すぐに照明戻す。
かえ 「(来栖未来。台本(ってのも薄い)片手に上手より登場)なんで、ここでよろしくお願いします。。。なのよ
シン 「(織場シンジ、再登場して)だって台本に・・・
なし 「(上田外子。台本片手に上手より登場)それってサマーウォーズの主人公ですよね
ピロ 「(白石礼二。それに続いて上手から登場)
かえ 「サマーウォーズ?どーゆーこと?
シン 「去年やってたアニメの映画ですよ。神木隆之介くんが声優してて、主人公がラストで、よろしくお願いしまーすってPCのエンター押すって
    CMとかでも流れてる有名なシーン。よろしくお願いしまーすって、僕がモノマネで。。。ってボケを説明するの恥ずかしい。。。(恥ずかしいからやや必死)
ピロ 「これが僕の考えた脚本なんですが、どうでしょうか・・・
かえ 「まぁ筋は通ってるわね
なし 「妹の為に人殺すって、流石にブラコン過ぎないですか?
ピロ 「もし兄妹以上の関係だとしたら?
なし 「はい
ピロ 「二人は苗字が違う。異母兄弟なんです。
なし 「つまり、、、二人はデキていたって言うんですか?
かえ 「ゆーとよりイイ相手が自分のお兄ちゃん?
なし 「強引すぎません?
ピロ 「(まりに)僕のところに原稿を届けたのも、警察の目を兄から背ける為の工作だったんじゃないですか
まり 「私はお金が欲しいだけ
ピロ 「確かにあなたは兄から逃げてたフシがある。病院やめたのも、ケータイを持たないのもそう。あなたは兄の異常な愛情が恐かった・・・
まり 「・・・
ピロ 「(台本を取り出す)これ僕が書いた脚本なんですけどね、書き方とかわからないから、このとーりセリフと動きのみ
かえ 「そうね
ピロ 「なんで、あなた(シン)は、相手を刺すとき、神木隆之介の声真似したんですか
シン 「もういいじゃないですかー、どんどん恥ずかしくなる。。。(照れ)
ピロ 「僕は、ただ、よろしくお願いします。と言って相手を刺す。としか書いてませんでした。
シン 「だからなんですか、アドリブくらい。。。
ピロ 「第一発見者の豊川ウメの証言によれば、現場で「神木隆之介」の声を聞いた。。。という証言があったんですがね・・・
シン 「・・・
ピロ 「それを知ってるのは、犯人と私だけなんですがね・・・、
シン 「えっ
ピロ 「なんならウメさんに来てもらいましょうか。。。どんな声を聞いたのか・・・
シン 「・・・はぁ、意味わからない。・・・そっ、それに妹と深い関係?なに言ってるの
ピロ 「否定なさる?
シン 「もともと、その動機が弱いですよ。僕と妹がそーゆー関係だって証明できたら、
    ウメさんのトコだろうがケーサツだろうが好きなトコに連れてってくださいよ。なんだって証言しますよ。
ピロ 「確かに証明はできない。。。
シン 「聞く分には面白い話ですが。。。なんの証拠もないですよね
ピロ 「そう証拠がない
シン 「べりぃたん、帰ろ。こんなくだらない愚劇にいつまでも付き合う必要はないよ。
まり 「(その言葉に従い、上手に向かって帰ろうとする)
ピロ 「そう呼んでいいのは恋人だけじゃなかったんですか?
まり 「えっ
ピロ 「(指輪を見せて、ニヤリと笑う)
シン 「(自分の指輪を見る)

暗転音楽スタート。
---終劇---


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