劇団ウンウンウニウム
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『ふたりきり』
ワンセット、8人芝居。上演時間約110分。

<あらすじ>
舞台本番前夜。ほぼ同時刻の各々劇団員たちの様子を追う群像劇。最終幕まで舞台上に二人しか出演しない。
オタイむーあ。むーあぬぺ。ぬぺ夙川。。。と二人芝居が数珠繋ぎになって進行する。
最終幕まで物語は進行しない。

<登場人物(登場順)>
桝田(オタイ)-------劇団員。20代前半。普段はOLをしている。劇団内では中堅。無駄に緊張して落ち着かない様子。
むーあ-------------劇団員、脚本家。26歳。ナンバー2的位置の古参団員。既婚者。ぬぺに興味を持つ。お笑い担当。
ぬぺ---------------劇団員。20代前半。新人。すぐに謝るせせこましい男。かなりの貧乏人。夙川と別れたが未練がある。
夙川(しゅくがわ)---劇団員。20代前半。セクシー担当。ぬぺの元カノ。やや天然。母親が有名女優であるコトを隠している。
野堀聡志(さとし)---千夏の夫。20代後半。唯一の劇団外部の人間。イジられ役。夙川の母親に依頼され、SPをしている。
野堀千夏(ちなつ)---劇団員。18歳。聡志の妻。看板女優。おっとり喋るかなりの天然。けど頭は良い。ときどき毒舌。
古住(こすみ)-------劇団員、演出家。20代中半。団長。キリキリした喋り方で他団員からの信頼も厚い。豪井と仲が良い。
豪井(スゴイ)-------俳優。20代中半。不器用で男。独特の喋り方をする。弱気で内向的だが、古住にだけは心を開いている。
※聡志以外の人物は、ジャージなどのラフな練習着を着用。化粧っけも薄く、本当に練習中のような雰囲気を出す。

<時と場所>
公演本番前日の夜。その舞台の上など(ワンセットではあるが幕により場所は変わる)

<注意点>
この芝居はマイム禁止。全ての小道具を用意する。基本的にSE&BGMも使わない。特殊な照明も極力使わない。

<舞台>
舞台は「一人暮らしのワンルームマンション」のセット。つまり「演劇の舞台セット」が舞台。
下手に階段があり中2階へあがれるが、下手に階段はなくても上演は可能である。その場合、中2階代わりに下手を使う。
奥にスクリーンを張れるスペース(なくても良い)。上手奥に新聞などを置いた棚。本棚。下手には冷蔵庫や、ちゃぶ台など。
中央にはソファがあり、ほぼここで物語は進行する。全体的に生活観があるごちゃった雰囲気。
そこに脚立やダンボール、ガムテなど舞台舞台したものも置いておく。客入れの際から、このセットを公開しておく。
開演時間になると音楽が高まり、ゆっくりとF.O.


---序幕---

この序幕で登場人物たちは脚立などを片付けたり、スクリーンを用意したりして、「立て込み」を演出する。
明転すると桝田が舞台中央に板付きで立っている。序幕のセリフはテキトーで良い。


桝田「(ゆったりと首を上げて、静かに独白をはじめる)
  役者にとって、舞台本番前日というのは、遠足の前の日と、テスト前夜と、
  (早口で)クリスマスと盆と正月とプール開きの日を足してごちゃごちゃにした日に、、、似てます。。。
  ・・・・似てません。ウソです。四文字熟語で言ったら、五里霧中、四面楚歌、空前絶後、阿鼻叫喚、発狂寸前、振込詐欺。
  悲鳴で例えるなら、「ガーーーーーッ」。
むあ「(上手よりダンボール持って登場。桝田を無視して、スクリーンを張る位置へまっすく向かう)
桝田「(独白)まるで狂信者のように、壁にブツブツ呪文を唱える者が多数出現し、
  なんとか公演日伸びないものか、ドラえもんが押入れにいないか、本気で探し出す。
  そんな現実と非現実の区別も付かなくなる、言うならば境界線の一日なのです。
  (独白を終えて素な感じに戻り、むーあに尋ねる)・・・・・・こんなんでいいんですか?」
むあ「(何か目張り作業とかしながら)いいんですか?って今さら言われてもねー。
桝田「長くないですか?っていうか、重くありません?
むあ「長いなー
桝田「ですよねー
むあ「重いなー
桝田「ですよねー
むあ「団長に相談してセリフ変えていいって言うなら、私は別にいいと思うけど
桝田「ですよねー。(上手に移動し)団長さんいますか〜???(と言ってそのまま上手に退場)
むあ「(作業しながら上手側に)ねーっ、ちょっと布ガムテ持って来て〜!
ぬぺ「(声のみ)はーい(少しの間のあと上手よりガムテ持って登場)
むあ「あー、ありがとありがと
ぬぺ「(ガムテちぎりながら)これくらいでいいすかね
むあ「多分。
(二人して眼張り作業をリアルではじめる。作業しながら以下のセリフ)
むあ「・・・・(黙々と作業)
ぬぺ「もう結構な夜中っすよー。こんなんで間に合うんですかねー
むあ「・・・・(黙々と作業)
ぬぺ「せめてもうちょっと時間あったら
むあ「・・・・(黙々と作業)
ぬぺ「時間よか、予算がもっ少しあったら
むあ「・・・・
ぬぺ「全てにおいて余裕がないというか、あぶなげないというか・・・ねぇ
むあ「クチじゃなくて、手動かして
ぬぺ「(恐縮して)あっ、はい↓
むあ「(作業、ほぼ完了。余ったダンボール持って、上手へ退場)じゃ、あと任せたね
ぬぺ「はい。(仕上げにガムテープ張り終え、棚やイスなどの位置などを微調整しだす)
夙川「(ふらっと上手から登場し、そのまま中二階にあがる。中二階から)ねー、ここにあるイス出すよね?
ぬぺ「一応、確認とった方がいいんじゃない?
夙川「まぁ出して、いらなかったらまたしまえばイイだけだし。
ぬぺ「そーだね。(中二階からイスを受け取り、下に並べていく)気をつけて
夙川「うん、大丈夫。(舞台に下りてくて、舞台手前から舞台を眺めて)なんか、こんなんだっけ???
ぬぺ「あっ、スクリーン。スクリーン(下手に退場し。声のみ)「すません。これお願いできますか?
聡志「あっ、運びます。こっちオッケーです(スクリーンの端を持って登場)
夙川「(暗く)持ちます。。。(逆サイドを持つ)
聡志「(舞台奥に運ぶ)これって何処に掛けるんですか?
夙川「いつもは、ここに掛けてるけど・・・(妙に暗く)
聡志「(暗く、余所余所しい感じに気づき)どうしたんですか?
夙川「あの。。。。いやなんでもない。。。
聡志「はぁ。。。なんか脚立とかってあります?
夙川「多分。。。(下手に向かって)ねー、脚立ってどこですか?(下手に退場)
千夏「(脚立持って登場)あーなーたー
聡志「ああっ、(駆け寄って脚立受け取る)気をつけて(舞台奥へ運ぶ)
千夏「ありがとー
聡志「凄いねー、立て込みって言うの?(脚立にのぼりながら)
千夏「そりゃ、明日が本番だからーねー
聡志「どう、調子は?
千夏「ふ・ふ・ふ・ふ・・・
聡志「あと、端、端にマイクをセットするから
千夏「おねがーいー
聡志「はいはい(下手へ移動)
古住「(入れ違いに登場)カメラとマイクの位置、いいね?
千夏「音響は旦那がやってくれるみたいです。
古住「(イスの位置やバミりを確認)そう助かるー。(時計見て)はーい。あと12時間後には舞台に立ってるよ〜
千夏「はーーーい。そーいえばーさっき誰かが探してましたよ。
古住「誰だろ?
千夏「聞いてきます(と下手へ捌ける)
豪井「(入れ替わりに登場)それ(スクリーン)もう張っちゃっていいんだよね?
古住「いいよー
豪井「(スクリーンを設置)ねぇ芝居中、ずっとこれ後ろにあるの?
古住「仕方ないって。オチに使うんだから(設置を手伝う)
豪井「(スクリーン設置完了で舞台完成)おーっ、だいぶ、それっぽくなってきたねー
古住「やっとって感じ
豪井「ここに満員のお客さんが入って、こっち見てるのかー。
古住「泣いても笑っても12時間後には幕があくんだー
豪井「うん
古住「じゃそろそろリハ始めるよー
豪井「はーい。
古住「照明のテストやっとく?はい半暗転っ
---半暗転
古住「明転っ
---明転
古住「はいっ、暗転っ
---暗転(次芝居の準備開始)
古住「この感覚がいいのよねー。暗転中。。。見えてる???っていうか見てる?
見てるよねー。この好奇の視線がたまらない。次、ナニが起こるんだろ。。。的な。
それでいて、次に何が起こるか、自分だけが知っている。。。このちょっとイタズラ心にも似た感覚。
・・・・んじゃ、ぼちぼちはじめるね〜。」



---第一幕---
舞台の上で独白の練習をしている桝田。
明転すると序幕と同じように桝田が板付きで立っている。

桝田「(ゆったりとした感じで独白)役者にとって、舞台本番前日というのは、、、なんか、ものすっごい日なのです。」
むあ「(登場して)なんか、随分と・・・、ざっくりといったね。
桝田「脳わいてる。。。もう、わからない〜。何が良いかとかわからないー(頭を抱えて悩む)
むあ「とにかく練習通り、脚本どおりにするのが一番だって
桝田「脚本家を信じてみます
むあ「私を信じられても・・・。
桝田「(キョロキョロ)他の皆さんどこに行かれたんですか?
むあ「さぁ、どっかな?(むーあはリラックスしてテキトーである)
桝田「それにしても今回の脚本、複雑ですよねー。(ボソっと)お客さん突き放さないかなー
むあ「せっかくなんだから実験的なことしたいじゃない。現実・・・と非現実。シリアスと笑い。緊張とリラックス。
   それを表現するのに舞台本番前日という設定を置かずして、どーするのよんって話よん」
桝田「あああああ、明日、、、どーしよ。。。(再び落ち込む)
むあ「誰か見に来るの?
桝田「同僚とか、上司と、、、あとちょっと大事なお客さんが・・・
むあ「なになに、気になるわね
桝田「。。。まだ言えないですけど、
むあ「なーーーに、ここまできたら楽しむしかないよ
桝田「むーあさんは自信満々ですよね〜
むあ「次の公演なんて私の夢の一歩に過ぎないのよー
   私はいずれ劇団フォーシーズンに入って、歌って踊れるトップ・オブ、、、トップ・オブ・トップ女優になるんですから。
桝田「(呆れて、脚本をチェックしばめる)むーあさんならなれますね
むあ「でしょ。(突然、面接ミニコントを一人ではじめる)はい、エントリー007。五所川原むーあ18歳です(ハート)
桝田「(無関心に)27でしょ
むあ「「むーあ」は本名です。無限の宇宙って書いて「むうあ」って読みます。
桝田「(無関心に)名前負けしてますね
むあ「目標とする女優は元テラ組の白鳥ミドリさんです。♪あるときー、ないときー
桝田「(突然、少し焦って)そっ、その前に、うちらの芝居を成功させてましょーよ
むあ「わかってるわよ。あと、私、まだ26ですかね
桝田「どっちでもいいですよ。
むあ「(突然、憤怒の様子)良くないっ!!!(面白い顔になってる)
桝田「いいですよねー(ジロジロとむーあを眺めて)、みーあさんは面白くて
むあ「・・・・どういう意味?」
桝田「あたしには、到底、無理゛てすよーーーー。あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ・・・(壁に額をつける)
むあ「出た。嘆きの壁。
桝田「明日、ウケるでしょうか?
むあ「それはオタイさん次第よ。
桝田「私次第・・・。あわわわわわわ。。。明日、旦那さんは来られるんですか?
むあ「うちの旦那? さぁ。
桝田「さぁ・・・って、お仕事なんですか?
むあ「パチンコでも行ってんじゃない?知らないけど
桝田「他人事ですね。
むあ「夫婦なんて所詮他人よ。劇団こそが私の家族だかんね。
桝田「だからのびのび楽しめるんですよー、むーあさんは。。私なんて、あああああ
むあ「嘆く暇あったら少しでも練習しとく?
桝田「今ですか?
むあ「(テンションあげて)今しないで、いつしれんしゅっしゃっしゅっしょ!!!(噛んだ風に)
桝田「豪快に噛まなくても。。。

-以下、ミニコントである。ゆえに自由に改変するコトが可能。
桝田「で、どれ練習します? (台本ペラペラ)・・・「走れメロス、と大森(役者本名)」やります?
むあ「(露骨に嫌がり)それはしない。
桝田「「走れメロスと大森」!!!
むあ「メロスは激怒した。。。。大森も激怒したっ!!!よくもクリリンをっ!!!
桝田「(リアルに笑った感じで)ノッてくれるんですねw
むあ「(リアルぼやき風に)ホント、やめてよね・・・。
桝田「嫌いじゃないくせに
むあ「悔しい、ビクンビクン。。。
桝田「・・・。じゃ、(台本ペラペラ)「本能寺が変」やります?
むあ「「本能寺が変」オッケー。じゃオタイさんは上手(かみて)から。私は板付きね。
桝田「ソファとか動かします?
むあ「いや、このままでいいよ。どうせ最後まで(セットは)このままだから
桝田「どれもこの状態でやるんですか?次も
むあ「そうだよー。
桝田「わかりました
むあ「(照明さんに)照明落とせます?じゃ、明転きっかけで。
---半暗転
むあ「本能寺が変(←タイトルコール)
---明転
桝田「(上手から駆け込んでくる)信長さまっ!信長さまっ!
むあ「どうしたというんじゃ、騒がしい
桝田「(時代劇風の三点座り)信長さまっ、本能寺が
むあ「本能寺が?
桝田「本能寺が変なんです!
むあ「変?
桝田「本能寺が変なんです!
むあ「どう変なんだ?
桝田「真っ赤なんです!
むあ「なにっ、火を放たれたと申すか?
桝田「違います。
むあ「一体どうなっておるのだ?
桝田「どちらを向いても、、、イチゴばかりなのです
むあ「イチゴ???
桝田「本能寺がイチゴで埋め尽くされております。
むあ「イチゴ100%というわけだな。
桝田「家臣だけでは食べつくせません。いかがいたしましょう!
むあ「くそぅ光秀めー! わしもここまでかぁぁぁ。。。無念!!!
桝田「信長さまーっ!!!
むあ「(直立不動になり)イチゴパニック本能寺。1582年。
桝田「ババン!!!
---
(選択肢Aウケた↓)
二人「(後ろに同時に倒れて)よかったー!!!
むあ「ウケたよー
(選択肢B少しウケた↓)
二人「(後ろに同時に倒れて)ややウケかっ!!!
むあ「だよなー
(選択肢Cすべった↓)
二人「(後ろに同時に倒れて)すべったっ!!!
むあ「ですねー
---
桝田「ですね
むあ「いい脚本だと思うよ、。笑えてさらに勉強にもなるのよ。♪PTAも大喜び〜
桝田「イチゴパニックって・・・。
むあ「1582年
桝田「パニックなら、15829年ですよ。
むあ「(少し考えて)・・・気にしなーい。
桝田「気にしてください。
むあ「(空気呼んで)じゃ他のも練習しとく?
桝田「えー何します?(台本ペラペラ、嫌味っぽく)「伊豆の踊り子、と大森」やります?
むあ「(朗読風に)道がつづら折りになって、いよいよ天城峠に近づいたと思う頃、大森が、すさまじい早さで私を追って来た。
   (ノリツッコミ)っていうか、そんな脚本はない。
桝田「やっぱりノッてくれるんだ。
むあ「ノッてしまう。。。悔しい・・・ビクン
桝田「・・・・じゃ、(台本ペラペラ)「臭い、臭すぎる」やります?
むあ「「臭い、臭すぎる」ねー。はいはい、オッケー。
桝田「(上手に一時捌ける)
むあ「(照明さんに)じゃ、もっかい照明落してくださーい?明転きっかけで。
---半暗転
むあ「臭い、臭すぎる」(←タイトルコール)
---明転
桝田「(上手から駆け込んでくる)純友(すみとも)さまっ!純友さまっ!藤原純友(ふじわらのすみとも)さまっ!
むあ「ええいフルネームで呼ぶでない。
桝田「(例の座り方で)純友さまっ!大変でございますっ。それが・・・(鼻抑えて)う゛っ。。。
むあ「どうしたのじゃ
桝田「(素な口調に戻り)くさっ
むあ「は?
桝田「(素な口調に戻り)臭い、むっちゃ臭い。
むあ「あー、すまんすまん。最近、戦とかであんまり風呂入ってなかったから(自分の脇を臭う)うわーっ臭っ
桝田「純友さまっ!臭すぎますぞ
むあ「うわーっ、もうこれヤバいね。臭すぎて笑えてきた。(狂ったように笑う)うひゃひゃひゃひゃ
桝田「純友さまっ!お気を確か!!!(近付こうとして)うわっくさっ!!!
むあ「うひゃうひゃうひゃ。(直立不動になり)臭くて乱れる藤原純友(ふじわらのすみとも)。939年。
桝田「ババン!
二人「(後ろに同時に倒れて)知名度微妙!!!
桝田「ですよねー
むあ「藤原純友(ふじわらすみとも)とか言われても・・・。
桝田「ここはやっぱり「オペラ座の怪人と大森」の方が
むあ「やらないっ! そんなのはナイ!!! オタイさんはどうしても私に大森シリーズやらせたいのね?
桝田「だって、むーあさんの持ちキャラじゃないですかー
むあ「今さら脚本変えれないよ、明日よ明日。
桝田「やってほしーですー。・・・真夏の夜の大森とか
むあ「淫靡!
桝田「卑猥!
むあ「なんなのよ、それ。真夏の夜のってw
桝田「じゃ・・・世界の中心で愛を叫んだ大森とかw
むあ「世界の中心でオオモリが叫ぶとかw
桝田「舞台の中心でナンか叫んでる大森!!!!w
むあ「(ノッて)くるっぽ!くるっぽ!ばーらもーっ!!!メソポタミアっ!!!!
桝田「なにそれ
むあ「邪魔w
桝田「他の人はちゃんと芝居してるのにひとり関係ないこと叫んでるw
むあ「迷惑〜っw
桝田「じゃ、白雪姫と七人の大森
むあ「複数!?w
桝田「見たい!w これくらいの、むーあさんが動き回ってるの
むあ「うざい!www
桝田「オオモリをたずねて三千里
むあ「キタw
桝田「きましたか?
むあ「キタねーw
桝田「天空の大森ラピュタ!
むあ「もはやヒトではないwww
桝田「ああーっ!!! 機動戦士オオモリ!!!
むあ「機動戦士オオモリ00(ダブルオー)
桝田「機動戦士オオモリ∀(ターンエー)
むあ「ファーストオオモリの等身大フィギア!!!がしこーんがしこーん(ロボットの動き)
二人「wwwwwwwwww
桝田「これって完全に深夜だから面白いんですよーwww
むあ「だねwww
桝田「大森シリーズ、見たい! 乞うご期待!!!

---ミニコントここまで
むあ「オタイさんが脚本書きなよーそこまで言えたらw
桝田「キャラが勝手に動くってやつですよー。いいなー大森キャラ。。。
むあ「いいでしょー。惚れるなよ
桝田「あっ! それって、ぬぺくんとの二人芝居のセリフですよね
むあ「そのとーり
桝田「けどホント役得ですよねー(嫌味に)
むあ「役得って、なによー。
桝田「だってー、そーじゃないですかー
むあ「ハァ?なに言ってるの?・・・ちゃんとエロいって言いなさいよね。
桝田「言っていいんだ。。。
むあ「わかっててやってるんだから。
桝田「確信犯過ぎますよ。今夜、ぬぺくんちに泊まりに行くんですよね?
むあ「(焦り気味)だって明日8時にここに戻ってくるのよ。私の家から(小屋の名前)まで1時間半、ぬぺくんちからなら近いかなーって
桝田「(呆れて)今さら全力で言い訳しないでください。
むあ「いいじゃなーい
桝田「二人だけで?
むあ「そうよー、二人きり。。。(ニヤリ)
桝田「気づいてます〜? 凄い顔してますよ。
むあ「顔に出てた?
桝田「全面的に。
むあ「若い男女よー、何も起こらない方が不健康よねーん
桝田「(呆れ)そーですかねー。
むあ「ぬぺくんと、気が済むまで・・・・
桝田「読み合わせするんでしょ
むあ「・・・うん。そうだけど・・・。
桝田「あんまり、なんていうですか、シモネタの話にしないで下さいよ、・・・団長に怒られますよ(上手をチラ見)
むあ「シタネタじゃないわよー(さらにニヤリ)
桝田「顔がシモネタですよ。
むあ「欲望のタガから解き放たれた獣じみた情念の世界。。。(うっとり)
桝田「どこがPTAも大喜びなんです?
むあ「純愛よー
桝田「旦那さんはどーするんですか???
むあ「脚本上、私は独身ってことになってるの。
桝田「役になりきるのはいいですけど、現実は忘れないで下さいね。
むあ「(以下、リズム大切に早口で畳み掛ける)忘れてないわよー
桝田「けど旦那さんには?
むあ「オタイさんちに泊まるって言ってる
桝田「ちょーっ、共犯者にしないでくださいよー
むあ「言ったじゃない、劇団員は私の共犯だって
桝田「家族って言ってませんでした?!
むあ「家族は共犯みたいな・も・の
桝田「ナニ言い出すんですかー! もー大概にしてくださいよ!!!
むあ「うん、体内には出さないって
桝田「ナンの話してるんですか!!!
むあ「オタイさんこそ、なんの話してるのよ・・・。
桝田「・・・・。これ以上、その・・・劇団のイメージを汚さないでください。いろんな人が見に来るんですから!!!
むあ「うん、汚さない。。。
桝田「なんかむーあさんが言うとエロいんだよなー。
むあ「エロやらしい?
桝田「ただのエロオヤジです。ちゃんとしてください!
むあ「ちゃんと付ける。
桝田「何をですか、何を!!!
むあ「わかってるくせにー。
桝田「練習するだけですよね!?
むあ「(棒読み)うん。わ・た・し、練習するだけ。
桝田「欲望は出さない。。。
むあ「恥じらいは持つ。
桝田「いやいや、欲望は隠す。。。
むあ「灯りを消すことで大事な部分は隠す
桝田「消さない!!!
むあ「点けっぱなし?
桝田「それがイイです
むあ「大胆〜
桝田「なんの話してるんですか?!
むあ「欲望の話?
桝田「欲望のタガは外さないで!
むあ「むしろぬぺくんが私のホックをはずすから。。。
桝田「外さない!
むあ「むしろ服を着たままでいたすのがコーフン
桝田「しない。。。
むあ「しない?
桝田「もー、ホントにちゃんとしてください!!!
むあ「だからゴムは付けるって
(セリフ後、即急暗転)



---第二幕---
まったく同じセットではあるが、舞台セットという設定ではなく、ぬぺ宅という設定。
ソファに恐縮した感じで座るぬぺ。先輩であるむーあに尊敬の気持ちを抱いている。まだ彼女に下心あることに気づいていない。
我が物顔で立っているむーあ。むーあは彼女なりの「男に好かれそうに女」を演じているが、間違っている。

むあ「はい明転」
-明転
むあ「それにしても殺風景な部屋ね〜ん
ぬぺ「すいません
むあ「まぁ、そこがぬぺくんらしくて。。。好きかもしんない
ぬぺ「はぁ↓ ありがとうございます。すいません。
むあ「なんで謝ったの?
ぬぺ「わざわざ俺の家に来ていただいて、練習まで付き合ってもらって
むあ「いいのよーん。好きでやってることだから(無駄にぬぺに近づく)
ぬぺ「はぁ。よろしくお願いします。イスとか動かしますか
むあ「いいの、このままで(ソファにラフに座り込む)。ずっと最後までこのまま(モジモジしながら、ぬぺと距離をつめる)
ぬぺ「(一応、困りながらも)はい
むあ「(台本開き)早速練習していきましょーか。なんてったって明日が本番なんだしー、(ボソっと)今から別の本番もあるけど
ぬぺ「明日っていうか、もう今日ですね。日付的には・・・
むあ「セリフはもう完璧よね?
ぬぺ「はい!
むあ「(ポーズ決めて)私は完璧!!!
ぬぺ「(それを眺めながら)やっぱりむーあさん凄いですよね。
むあ「そりゃ凄いわよ。いろいろと。。。(素で)って何が?
ぬぺ「いや脚本ですよ、脚本。
むあ「そう?この道一筋ですからね(決めポーズ)
ぬぺ「登場人物一人一人が喋ってるよーに脚本に書いてくって凄いじゃないですか
むあ「そーかしら?ん〜っ、キャラクターって全員、私の分身みたいなもんなのよねー。
ぬぺ「分身?
むあ「物凄い凶悪な犯罪者も、天使のように心優しいヒロインも、私の人格のどっか一部なのよ、結局
ぬぺ「そー考えるとちょっと恐いですね。
むあ「つまりは自分を何人も作るってことかな?分裂させるのよ、(きばって産み落とすように)うーんっ、ポーンっ!!!
   うーんっ、ポーンっ!!!うーんっ、ポーンっ!!!
ぬぺ「・・・・(下を向いて、笑いを隠す)
むあ「どーしたのよ
ぬぺ「(笑いを誤魔化す意味で違う話題を出す)・・・いや、最近、、、ずっとメンバーの人たちといたから、なんか
むあ「急に淋しくなった?
ぬぺ「はぁはい。少し。
むあ「かわいいのねん。
ぬぺ「(ボソっと)むしろちょっと恐いです
むあ「明日、誰が観に来るの???
ぬぺ「まぁ友達とか先輩とか
むあ「・・・彼女は?
ぬぺ「今はいませんから。。。
むあ「(ソファでじりじり詰め寄る)
ぬぺ「(逃げる)
むあ「今夜は私がみっちりしごいてあげるわ(早口で)性的な意味で
ぬぺ「はい?
むあ「あなたはまだまだ新人だからわからないと思うけど、団員同士の心と体の交流って大切なのよねー
ぬぺ「はぁ・・・。
むあ「なのよねー(顔を覗き込む)
ぬぺ「はい(笑い堪えて)
むあ「舞台って、突然、何が起こるかわかんないじゃない(アドリブでぬぺをイヂメてる風)
ぬぺ「そーですよね。。。。いきなり本番で面白い顔とかされて、セリフ飛んだりもしてますもんね。
むあ「私なんてさー、毎回この時期、台詞が飛ぶ夢をループで見るの。無限ループ(ソファで眠るミニコントをはじめる)
(突然起きて) はっ夢か、頭ん中、真っ白!ぎゃーっ本番はじめるー!(と言って気絶)
(突然起きて) はっ夢か、頭ん中、真っ白!ぎゃーっ本番はじめるー!(と言って気絶)
(突然起きて) はっ夢か、頭ん中、真っ白!ぎゃーっ本番はじめるー!(と言って気絶)
(突然起きて) はっ夢か、って、この繰り返し。恐くない?
ぬぺ「悪夢ですね。俺も溺れる夢を見て窒息しそうになって朝、眼が覚めます。
むあ「・・・(意味深に考え込む)溺れる夢を見て窒息・・・。どっかで聞いたような。。。
ぬぺ「どうしたんですか?
むあ「いや、なんでもないわ。
ぬぺ「そうですか・・・。
むあ「。。。この瞬間も夢なのかもね。
ぬぺ「はい?
むあ「ハッと眼が覚めるのかも。。。
ぬぺ「(ちょっと明るく)舞台じゃ、何が起こるかわからない?
むあ「(明るく)そーそー。そこでね、アドリブの練習しとこうかなって。アドリブは大切よ
ぬぺ「そーなんですか。。。
むあ「例えば、目の前に絶世の美女がいるとするじゃない
ぬぺ「いませんけど
むあ「・・・いるとするじゃない(強く)。そして、あなたはその美女を口説くの・・・。
ぬぺ「・・・・
むあ「やってみて。
ぬぺ「・・・・
むあ「いくわよ。はい(パンと手を叩く)
ぬぺ「(棒読みで)あー絶世だー、絶世だー。ケッコンしてください
むあ「・・・どうしようかしら
ぬぺ「(棒読みで)お願いします。
むあ「私、綺麗?
ぬぺ「(棒読みで)絶世です。。。
むあ「(元気なく)そうでしょーね・・・・はい(元気なくパンと手を叩く)
ぬぺ「(元気なく)・・・・なんですか、これ
むあ「(元気なく)アドリブ劇?
ぬぺ「(元気なく)これ、お客さんから見て面白いですか?
むあ「(客席を見て、ぬぺと見つめあって)うん。もっともな、質問ね。。。
ぬぺ「やるならもっと基本的なのから教えてくださいよ。むーあさん相手だと・・・
むあ「わかった。(開き直り、思いついたように)電話芝居しましょ。
ぬぺ「電話?
むあ「(テンションあげて)私というベテランが絡むからダメなのよ。ぬぺくん、一人芝居してみて
ぬぺ「一人ですか!?いきなり?(突然アドリブをふられたように驚いて)
むあ「これくらいてきなりできないと。。。じゃーーー、はい(パンと手を叩く)母親から電話が掛かってきました。
ぬぺ「(ケータイ持ち)
   もしもし、かーちゃん。うん。元気しとっとよ。ごはん?食べとると。そげな、そげなこと言わんでもよかと(アドリブで続ける)
むあ「はい(パンと手を叩く)なんで訛るのよ
ぬぺ「なんとなくイメージで
むあ「けど、まーまーやるじゃない(などのコメント)。じゃ次ね。はい(パンと手を叩く)ヤクザからの電話
ぬぺ「(ケータイ持ち)もしもし。あっ門脇さん?(ペコッ)すいません。はい、今週、いや来週中には、必ず。。。はい。利子だけでも
むあ「はい(パンと手を叩く)なんでちゃんと対応できてるのよ
ぬぺ「そーですか???
むあ「はい(パンと手を叩く)白鳥ミドリからの電話
ぬぺ「誰ですか、それ?
むあ「何言ってるのよ、稀代の大女優よ、白鳥ミドリよ。知らないの?地元出身よ ♪あるときー、ないときーとかホントに知らないの?
ぬぺ「うち、テレビないんで・・・(ケータイ持ち、電話に対応)もしもし、あっ、はい、そーです。はい。はい。あー白鳥さんですか。
むあ「・・・・
ぬぺ「(受話口押ししえながら)あのー、むーあさん。
むあ「なによ。
ぬぺ「その白鳥ミドリさんから電話なんですけど・・・(むちゃぶり返しをした感じで)
むあ「うまいフリね。受けてたつわよ。(ケータイ受け取り)もしもし、私がこの劇団の花形やっております、五所川原です。
あら、もしもし、ホントに電話繋がってたんだ。あんた誰?はい?白鳥ですって。あなたまでアドリブかますの?
はいはい。白鳥ミドリさんね。あなた、声マネうまいわね。(モノマネして)白鳥ミドリです。
どう?私も上手いでしょ。ファンなのよ。ありがとうございますって、。ホントに上手いわね。誰なの。えっ?
・・・・えっ(ぬぺの方を見て)
ぬぺ「(コクコク頷く)
むあ「あ・の・白鳥さんですか??? ♪あるときー〜の552のCMとかの???
すすすすすすいません。すすすすすすすすいません。。。ご無礼の数々。。。大ファンなんです。はい。
今回は、突然、どのよーなご用件で。。。えっ、明日、うちらの芝居を見に来る。マヂーですか!!!光栄です。
是非、はい。一席設けます。いえいえ。えへへへへへ。
   ・・・・・・・はい(と手を叩き、急に声のトーンを落として)とりあえず止めます。

---以下、キャラやテンション変える。つまり二幕は今まで芝居の通り練習だったという設定。役を演じていた俳優の芝居をする
ぬぺ「(さらに恐縮して)すいません
むあ「(重く説教している雰囲気で)なんで、謝ってんの?
ぬぺ「すいません。実力不足で、すいません。
むあ「それはわかってるわ。努力してるなら仕方ないことでしょ
ぬぺ「・・・はい。すいません。
むあ「あなたは作中の先輩であり脚本家でもある私をもっともっと褒めるべきトコでしょ
ぬぺ「はい。
むあ「だったら、もっと感心しなきゃダメなんじゃない?一人芝居はもっと下手に。夢の話のときはもっと意味深に
ぬぺ「はい
むあ「俺も溺れる夢を見て窒息しそうになって朝、眼が覚めます。」みたいな感じで。ここキーポイントだから。
ぬぺ「はい
むあ「電話は「(ヘタに)もしもし、かーちゃん。うん。元気しとっとよ。ごはん?食べとると。」もっとヘタに。
   そうしないと、私の演技が目立たないじゃない。
ぬぺ「はい。そーですね、すいません。。けど
むあ「けど? けどなによ
ぬぺ「なんていうか、この芝居って舞台前日の設定じゃないですか?
むあ「そーよ。それが?
ぬぺ「今、リアルに舞台前日・・・っていうか、日付的には当日じゃないですか。
むあ「そうね。そりゃ明日は絶対来るんだから
ぬぺ「なんか、頭ン中がこんがらがって。。。
むあ「役になりきればいいだけ。ぬぺ役を演じ続ければいいだけでしょ。
ぬぺ「はぁ。。。
むあ「まだ舞台に慣れない?
ぬぺ「いやきっと何回やっても慣れることなんてないと思いますけど・・・。やっぱり(あなたは)凄いです。
むあ「そりゃ、この道一筋だからね。
ぬぺ「きっと俺は緊張しすぎてるんだと思います。
むあ「誰だってそりゃ緊張してナーバスになって、妙なテンションになるわよ
ぬぺ「そうですね
むあ「闘牛士の話、したっけ?
ぬぺ「いや、聞いてないと思います・・・。
むあ「(ソファに座り、説教から雑談モードに)決闘前夜の闘牛士は好きな女性を抱いていいってコトになってるのよ。
ぬぺ「へーーーすごい
むあ「ホントのことは知らないけど、そー言われてるの。求められた女性も凄い名誉だから絶対断らない。
   試合前夜って凄い緊張だと思うから。好きな子と夜を過ごさないとやってられない。
ぬぺ「わかります。こーゆーときは人肌が恋しくなりますよね・・・。
むあ「(意味深に)ちょっと、立って。
ぬぺ「はい。。。(二人向かい合い)
むあ「緊張してる?
ぬぺ「そりゃ、もう不安と期待と入り混じった状態です。
むあ「よし、、、、じゃ、いいよ(恥じらいながら)
ぬぺ「えっ?
むあ「いいよ。。。
ぬぺ「はぃ?
むあ「(テンション↑)ほら、その若さたぎる欲望のままに、私のからだをむさぼるがいいさ!(大の字)
ぬぺ「(スリッパで殴る)
むあ「・・・・。
ぬぺ「先輩だけど殴っていいですか?
むあ「殴ったあとに言わないの。
ぬぺ「なんか毎公演殴られてません?
むあ「いいの。この道一筋だから。。。
ぬぺ「なんの職人なんですか
むあ「自分で書いてるし・・・。
ぬぺ「えむなんですね。
むあ「。。。脚本家は自分の悪いところを人を使って出せる
ぬぺ「はい?
むあ「そーゆー言葉があるのよ。
ぬぺ「へー。
むあ「(テンション↑)銀行のカウンターに飛び乗って、マシンガンを連射したいと思っても、できないじゃない。実際には。。。
ぬぺ「犯罪ですから。
むあ「けど脚本ならできる。七つの海へ大冒険にだって行けるっ!!!前人未到の秘境! いやいや銀河の果てだって!!!
ぬぺ「はぁ?
むあ「スーパーマンになることだって! プリティウーマンになることだって、
   むしろ人じゃない、動物や虫や物にだってなれる!!!
   現実では絶対適わない非現実的でファンタジーでSFな世界だって舞台の上ならありえるのよ!!!
ぬぺ「まぁ・・・。
むあ「当然、好きな異性とロマンティックな夜だって過ごせる。それが脚本家特権じゃないのよん!!!
ぬぺ「サイアクですね。
むあ「あんた、ばーかーっ!!!
ぬぺ「・・・
むあ「私がちょちょいと書いたら、あなたとのキスシーンどころか濡れ場だって作れるんだからね
ぬぺ「あんた、旦那いるでしょ
むあ「いないわよ、脚本上は。
ぬぺ「リアルと芝居は分けてくださいよ。
むあ「なによ
ぬぺ「役に入り込みすぎです。
むあ「これが私のリアルですっ!!!(ポーズっのまま静止)

---以下、さらにさっきまでのも芝居だったとわかり、役を終えた劇団員の演技をする。
ぬぺ「・・・・・(十分な間を取り、パンと手を叩き)はい
むあ「うわぁーーーー(と、その場に崩れ落ちる)
ぬぺ「どーしたんですかー
むあ「こんな役はヤですよー
ぬぺ「もう明日、本番なんですから、今さら何言ってるんですか?!
むあ「日付的にはもう今日なんですよね
ぬぺ「そーですけど・・・。
むあ「脚本家役だって言うから、もっと落ち着いてた感じかと思ってました。。。
ぬぺ「いつも通りでしたね。
むあ「私、こんなにエロくないです
ぬぺ「わかってますけど、脚本家は自分の悪いところを人を使って出せる。んでしょ?
むあ「ひどいですよー。
ぬぺ「けど、もうこれでほとんど出番終了なんですから。。。
むあ「ホント、疲れたー。(床に寝る)
ぬぺ「あーあー。倒れないでください。
むあ「知ってます〜?
ぬぺ「何がですか?
むあ「本番中に、こーやって床に背をつけると落ち着くんですよー。
ぬぺ「(興味なけざに)そーなんですかー。
むあ「やってみません?
ぬぺ「いや、今はいいです。
むあ「あーっ、私、なにやってんだろー。(ゴロゴロ)
ぬぺ「ホントに何やってるですか?ちゃんとしてください、最後まで自分の役を
むあ「・・・やるわよ。(↑)演じればいいんでしょ?(パッと起き上がり)私はね、アクターなのよ、エンターテナーなのよ!!!
ぬぺ「俺だって!!!
むあ「客を楽しませるためだったら、うんこだって喰えるわ!!!
ぬぺ「引くって!
むあ「もっと照明ちょーだい! 視線ちょーだい! っていうかカメラ、私を撮って!!!
ぬぺ「ちょっと待って! 照明、俺にもくださいっ!!!みんな俺を見ろ!!!
むあ「いいえ、私にもっと光を!!!
ぬぺ「視線を!!!
むあ「この姿をDVDに!!!
ぬぺ「ブルーレイに!!!
二人「この姿を永久(トコシエ)に・・・。にー、にー。。。(自主的エコー)
(二人並び客席に両手を広げるが、ぬぺの片手がむーあにかぶり、それをさりげなくはらうむーあ。

---さらにさらにさらに役を終えて、素に戻る。
むあ「・・・・・(パンと手を叩き)はい、こんなもんよね。
-徐々に徐々に照明フェードアウト
ぬぺ「ですよね。俺、結構頑張れたっすよね。(燃え尽きる)
むあ「もう終わったみたいに言わない・・・。
ぬぺ「終わったんですよ、俺たち・・・。
むあ「なんか、別れたカップルみたいな会話(何気にソファ後ろに移動)
ぬぺ「だって、俺たち、もう別れちまったじゃないか
-ここで完全に暗転。むーあ、ソファ後ろに隠れる。

夙川「(舞台上に急いで登場し、むーあの立ち位置へ移動。手をパンと叩き)はい!
-明転(そのまま第三幕へ)



---第三幕---
第二幕は丸々全て台本通りの芝居で、その練習をぬぺと夙川が行っていたという設定。
ぬぺは自分の役。夙川がむーあを代読みしてた。舞台は変わらず、ぬぺの家。付き合い長いカップルっぽい雰囲気。
ぬぺも夙川も比較的リラックスしてる。ぬぺは他団員がいないと、夙川を下の名前「あゆみ」と呼ぶ。

夙川「あんな感じでよかった?
ぬぺ「ありがと、読み合わせ手伝ってもらって。まるでむーあさん本人みたいだった。
夙川「そう(嬉しそうに
ぬぺ「けど、あゆみと俺との芝居。別れたカップル役とか・・・ほんとありえないよ
夙川「脚本に罪はないって
ぬぺ「まぁ、他のメンバーは俺らが付き合ってたこと自体知らなかったから
夙川「そうね
ぬぺ「フラれた立場としては・・・なんとも
夙川「男らしくないなー
ぬぺ「だって、俺、向いてないよ。
夙川「そんなことないって。練習しよ
ぬぺ「。。。だいたい、なんであゆみ、俺んちなんか来たんだよ。。。
夙川「頼れるアテなんて他にないんだもん・・・
ぬぺ「だからって。。。
夙川「言ったじゃない。財布とケータイと家のカギを落としちゃったんだって!
ぬぺ「どーやったら、一夜にそんだけのもん落とせるんだよ!
夙川「バッグごと失くしたの。小銭しか持ってないし、終電も終わってるし、明日本番だし
ぬぺ「あゆみって、そーゆーとこあるよなー。
夙川「あなたに言われたくない。
ぬぺ「とにかく金は貸せないからな。家賃も滞納してるんだから、ガスも、電気も、水道も
夙川「相変わらずねー
ぬぺ「(ケータイ取り出し)こっちからあゆみのケータイに掛けてやるよ。誰かが拾ってるかもしんないし
夙川「ダメだよー。公衆から掛けたんだけど出なかったもん。いつもロックしてるし
ぬぺ「なんでそんなに警戒してんだよ。
夙川「だって・・・(意味深に)仕方ないじゃない。。。
ぬぺ「よかったな、俺が近くに住んでて
夙川「わかってる。。。
ぬぺ「もし今、記憶喪失になったら、どうするんだよ。今回の芝居みたいに。
夙川「そんな劇的なこと舞台の上でしか起こらないってw
ぬぺ「・・・あーーーーーもっと練習しなきゃなー。
夙川「そうだよねー。(立ち上がり役に入る)あれ、ここはどこ?私は誰?(素に戻り)どう?記憶喪失っぽい?
ぬぺ「まだちょっとわざとらしいかな。
夙川「(再び芝居に入り)ここはどこ?なぜ私はここにいるの?
ぬぺ「(芝居に入り)それは君が・・・(もどり)あっ、ちょっと待って。(電話に出て)もしもし。はい、はい
夙川「誰?
ぬぺ「団長さんたち
夙川「あの二人も徹夜で練習中かー
ぬぺ「(電話に)もしかして酔ってます?それってヤバいんじゃ・・・ですね。はい、そうですね。はい。了解です。じゃ〜(電話切る)
夙川「ねーねーあの二人って、なんか怪しくない?
ぬぺ「なにその女子高生みたいな会話
夙川「だってー
ぬぺ「そーゆーの言わない。
夙川「あっ、そ
ぬぺ「練習、続けてるよ
夙川「うん。(自慢げに)ねー、すらすら言えてるでしょ?
ぬぺ「がんばったねー暗記
夙川「とーぜん
ぬぺ「覚えるのニガテなのに
夙川「まー、一言で言ったら・・・余裕w
ぬぺ「生意気言うなって(軽く頭にツッコミ)
夙川「(思いっきり倒れる)
ぬぺ「えええっーーーーー!!!
夙川「(ゆっくり起きて)いたーい
ぬぺ「だっ、だいじょうぶ?ごめん。強くしたつもりなかったんだけど(助け起こしに行き)
夙川「大丈夫、大丈夫。。。
ぬぺ「ホッ、よかったー。
夙川「あたたた・・・。
ぬぺ「ホントに大丈夫?(心配して)
夙川「大丈夫だってw
ぬぺ「そう。。。じゃ、続けるよ。いい? 
夙川「うん
ぬぺ「今度はちゃんと本読みながら、合わせていく?(台本手渡す)
夙川「わかったー(台本受け取り、読み。不思議な表情)・・・・・・
ぬぺ「どうしたの???
夙川「本って、変わった?
ぬぺ「いや変わってないよ。
夙川「これ、私の役?
ぬぺ「そうだけど・・・。
夙川「ねっ、ホントに本変わってない?全然読んだことない話なんだけど・・・
ぬぺ「何言ってるの???
夙川「えっ、今日って、何日だっけ???
ぬぺ「**日だよ(リアル本番の前日の日付を言う)
夙川「※月?(本番の二ヶ月前の月)
ぬぺ「〇月!
夙川「うそっっっ。(部屋を見渡し)あれっ、なんで私、ここにいるの?
ぬぺ「明日、本番で、カギとかケータイ落として
夙川「ホントに冗談じゃなく〇月**日?
ぬぺ「そこ(棚)に新聞あるから見てみなよ
夙川「(新聞読んで)・・・・
ぬぺ「もしかして・・・・
夙川「私、ここ2ヶ月の記憶がない。。。
ぬぺ「えええええええええーーーーっ明日本番なのにやばい!!!!(独白、落ち着いた感じになり)って。驚きました。
   けど内心、やったっ!とも思ったのです。何故なら、二ヶ月前の俺たちはまだ別れていなかったからです。
夙川「どうしたの?
ぬぺ「(ごまかし)・・・いや〜なんでもないよ〜
夙川「ごめん。。。
ぬぺ「ううん。俺が殴ったからだし、、、俺、チカラになるよ、、、(心配半分な感じで)・・・かっ、彼氏として
夙川「・・・・・・・ありがと。
ぬぺ「(見えないようにガッツポーズ)
夙川「?
ぬぺ「よし、今から猛練習して覚えよう!!!
夙川「(不安げに)似合うかなー
ぬぺ「(夙川を気にしながら)二人のラブラブパワーで、らくしょーらくしょー
夙川「そーね
ぬぺ「(見えないようにガッツポーズ)
夙川「?
ぬぺ「俺とは恋人の設定で。。。実際と同じように(台本を手渡す)
夙川「そうなのね
ぬぺ「(立ち上がり芝居に入る。感情を込めて)ケッコンしてください
夙川「(本を読む)・・・どうしようかしら
ぬぺ「(感情を込めて)お願いします。
夙川「(本を読む)私、綺麗?
ぬぺ「(感情を込めて)それはもう絶世だよ
夙川「これって、むーあになってるけど・・・」
ぬぺ「あっあっあっ、(わざとらしく)間違えた〜。。。えっとえと
夙川「ちゃんと教えて
ぬぺ「じゃっ、ダンスシーンは覚えてる?
夙川「ダンスもするの???
ぬぺ「先にこっち覚えないとヤバいかも
夙川「そうね。
ぬぺ「・・・ぅん。まず、こう
夙川「こう?
ぬぺ「そう。で、こう
夙川「こう?
ぬぺ「ここでボックスはいってターン
夙川「ターン
(など、自由に面白ダンスを披露。またはドラゴンボールのフュージュンポーズでも可)

ぬぺ「・・・・・。。。こう伸ばすと、ここにストレッチパワーが溜まってくるだろう???
夙川「それセリフ?
ぬぺ「・・・ごめん。言ったみただけ・・・
夙川「(しばらくダンス練習して)これって、誰が振り付けしたの?
ぬぺ「団長さん
夙川「団長ーぉぉぉぉぉん・・・
ぬぺ「あー、これまぢやばいかも(床の上で寝転ぶ)
夙川「こんなときに寝ないで教えてよ
ぬぺ「ホントだ。。。ちょっとだけ落ち着く。
夙川「何言ってるの?
ぬぺ「このことみんなに連絡してるほうがいいんじゃない?
夙川「信じてくれるかな
ぬぺ「言ってみるしかないって
夙川「そうよね。ケータイ、ケータイ(とケータイを探す)
ぬぺ「落としただろ
夙川「そうなの??? だってここ二ヶ月の記憶落としたんだから
ぬぺ「誰がうまいこと言えって言った!
夙川「そんなことより電話!
ぬぺ「(自分のケータイ取り出し電話する)・・・だめだ。。。団長さん出ない。。。
夙川「ねぇ、あの二人って怪しくない?
ぬぺ「それ、少し前に言ってた
夙川「ホントに?
ぬぺ「じゃ、オタイさんのトコに(電話掛ける)もしもし、お疲れ様です。あっ、むーあさんそっちいるんですね。
   実は、。はい。いや知らないですけど?あっ、いえ。どうぞ、そっちからどうぞ
   ・・・・はぁぁぁ?なんで、どうして???マスコミの取材???
夙川「(急に態度変えて)・・・もういい。
ぬぺ「えっ?
夙川「電話切って!
ぬぺ「なんで?
夙川「いいから。、、、
ぬぺ「わかった。。。(電話に)また折り返し電話します。はい。じゃ。・・・代わらなくていいです。代わるな! じゃ。はい。
夙川「・・・ごめん。。。
ぬぺ「どうしたの?
夙川「私、、なんとかする
ぬぺ「なんとかって
夙川「もしかしたら
ぬぺ「(ゴクリ)
夙川「もっかい頭打ったら、記憶戻らないかな?
ぬぺ「そんな壊れたテレビじゃないんだから
夙川「いいから、ちょっと殴ってみて
ぬぺ「ダメだって。また殴って、今度は10年分の記憶が落としたらどーするんだよ
夙川「今は非常事態!
ぬぺ「けど、、俺の、俺のことまで忘れちまったら、どーするんだよ!!!
夙川「忘れないって
ぬぺ「・・・・ホントに?
夙川「ホント。
ぬぺ「じゃ、、、、書いて。
夙川「書く?
ぬぺ「(マジックとってくる)手の甲に、マジックで
夙川「はい???
ぬぺ「・・・「私は記憶喪失。目の前にいる人が私の恋人です」って。
夙川「ええっ。
ぬぺ「いいから書いてくれよ。(恋人っぽく甘える)
夙川「わかったわよ。(手の甲に文字を書く。小さく書く。ぬぺに見せて)これでいい?
ぬぺ「うん。じゃ殴るな
夙川「あんまり痛くしないでね
ぬぺ「わかった。じゃいくね。(軽く殴る)
夙川「(激しく倒れて)いたーい
ぬぺ「どう?
夙川「(起き上がり)・・・・・・。(部屋を眺めて、ぬぺを見て、次に手の甲を見る)
ぬぺ「読んでみて
夙川「(子供っぽい声で)はのにいるがのです。
ぬぺ「・・・漢字も読んで
夙川「だって、まだ漢字習ってないもん
ぬぺ「はぁぁぁぁ????
夙川「あなた、だあれ???
ぬぺ「えっ、、えっ。。。君、、、いくつ?
夙川「6歳〜っ
ぬぺ「えぇぇぇぇぇぇっ!?
-暗転



---第四幕---
舞台は最初の劇場の舞台セットに戻る。時間も一幕の直後くらいに戻る。
夙川がひとりで、他メンバーを見送っている。勿論、時間が戻っているので記憶はまだある。
夙川の母親は大女優、白鳥みどりだがみなには秘密にしている。聡志はみどりに雇われた夙川のボディガード。これも秘密。
ふたりきりだと、夙川はタメ語。聡志は敬語で喋る。

夙川「(下手舞台袖にいるであろう他メンバーに)お疲れ様でーす、明日、本番頑張っていきましょー。じゃーねー。
聡志「・・・・・・・(みながいなくなったのを見計らってる、上手から顔を出す)
夙川「(聡志に)大丈夫だって。
聡志「(まだ、こそこそ。しばらく覗いたり戻ったりして)・・・・千夏は?
夙川「奥さん? ぬぺくんたちと晩御飯食べに行って、そのまま帰るって。大丈夫!
聡志「フゥ(と溜息ついて、キョロキョロしながら登場)・・・御嬢様、こんな深夜まで練習されては・・・
夙川「明日本番なんだから。許して。
聡志「こんなとこ奥様に知れたら・・・
夙川「(かぶせて)野堀! あの女は私とパパを捨てたのよ!!!
聡志「母親に対してそのような言葉を使っては・・・、奥様は稀代の大女優。。。
夙川「(かぶせて)野堀っ!!!
聡志「(壁を登ろうとするが、すぐにやめる)
夙川「・・・私はたまたま白鳥ミドリの子として生まれただけ。それ以上でも以下でも意中でも以降でもないわ
聡志「だからわざわざ素性を隠してこの劇団に・・・
夙川「だって、私、可愛いし!!!
聡志「本音が出てますよ
夙川「(クールに戻って)実力を試したいの
聡志「どうでしょう、、、明日の舞台に奥様を招待されては?
夙川「毎回毎回同じことを言わさないで!
聡志「ですが御嬢様
夙川「あの女が来たら、きっとマスコミまで流れ込んでくるわよ。
聡志「・・・
夙川「わざわざ昨日、離婚しなくてもいいのに
聡志「確かに・・・。この騒動でご私邸には報道陣が張り付いております。このままでは御嬢様までマスコミの餌食に・・・
夙川「私のことで、劇団に迷惑かけれないわ
聡志「いや、むしろうまく利用すれば、明日マスコミ関係者で客席が埋まって、満員御礼になるじゃ・・・
夙川「ダメよ。私のことがみんなに・・・バレるじゃない。なんの為に秘密にしているのよ
聡志「満員御礼は・・・
夙川「芝居が台無しになるわよ
聡志「多分、私の妻とかは喜ぶと思うけど・・・
夙川「そりゃ、野堀は私の知らない間にあんな若い奥さんとちゃっかり再婚しちゃって・・・
聡志「それは・・・まぁめぐり合わせというか(テレテレ)
夙川「うそつけ、変態
聡志「はい?
夙川「だって、千夏さんって高校卒業したばかりでしょ?
聡志「そーですね。ちょっとアレと思われちゃいますよね。
夙川「うん、ド変態の犯罪者に見える。いい趣味してるな、オッサン。
聡志「なんとでも言ってください。。。
夙川「千夏さんって、家ではどんな感じなの?
聡志「なんか女子高生みたいな会話・・・
夙川「いいから!
聡志「・・・まんまですよ。まさに魔性の女
夙川「魔女なのね
聡志「夜まで読み合わせ手伝って、お弁当作る為に私だけ早起き、昼間は御嬢様の警備の仕事が・・・(アクビ)
夙川「眠そうね?
聡志「毎日、溺れる夢を見て窒息しそうになって、眼が覚めてます。
夙川「・・・・。そのセリフ。。。
聡志「あっ、台本読みましたが。。。脚本家の妄想に付き合わされる俳優さんはホントに大変ですね
夙川「妄想???
聡志「そうですよー。(口調変えて意味深に)例えば今私たちが自分で考え喋っているつもりでも、
   どこかの誰かが書いた物語を台本通りに読んでいるのかもしれません。
夙川「そんなこと
聡志「(口調変えて意味深に)ないって、どうして言えますか・・・。それを確かめる方法はないのに・・・
夙川「野掘、ちょっと恐いわよ
聡志「(戻って)すいません。。。で・す・が、、御嬢様が気にしてらっしゃるのは、ぬぺくんではないんですか?
夙川「(超オーバーに動揺しながら・・・立ち上がり冷静になって)ぬぺなんか・・・。
聡志「わかります。御嬢様の気持ち。。。私も、しばらくは・・・前の妻を忘れられませんでした
夙川「前の奥さん。。。前妻。。。オードブル???(ヨダレ)
聡志「違いますっ!!!よだれよだれ
夙川「(ヨダレを拭く)びじょびじょ・・・
聡志「そんなときは、頭の中で殺しちゃうことにしてます
夙川「存在を忘れるってことね。
聡志「はい。
夙川「けどぬぺとは練習で毎日会うし、道でバッタリ会うし、ウチにまで行っちゃってるし、気がついたらヤッてるし、
聡志「(一瞬驚くが、冷静さを取り戻し)御嬢様ととぬぺ君じゃ住む世界が違うんですよ!
夙川「(下を向く)・・・・
聡志「片や日本を代表する大女優の娘。片や無名で、すぐ噛むし、カツゼツ悪いし、花もない、皮かぶってる劇団員じゃ。
夙川「まさににそう。その通り。わかってる!!!ホーケーよ!!! 
聡志「(何故か感極まって泣きながら)だから、ぬぺ君に別れ話を切り出した。そうですよね?
夙川「・・・全然違うわよ。
聡志「・・・アレ
夙川「むしろ、好きよ。ほーけー
聡志「(納得しようと頷く)
夙川「・・・野堀はなんで、前の奥さんと別れたの???
聡志「姑(しゅうと)と上手くいってなくて・・・
夙川「フィジカルが足りないんじゃない
聡志「サッカーじゃありません。って、わかり辛いボケはいいですから。。。
夙川「じゃ別れた原因言いなさいよ
聡志「それは・・・臭かったから
夙川「なら仕方ない
聡志「御嬢様は何故ぬぺ君と?
夙川「彼が忙し過ぎて、すれ違いが・・・
聡志「劇団での収入なんてほとんどありませんから、バイトで忙しいんでしょう。
夙川「いや借金取りから逃げるのが
聡志「予想の上、行ってました。
夙川「けど、(芝居がかった感じで)やっぱり、わたし、ぬぺが好きっ!!!
聡志「あんなストレッチマンのモノマネ以外、取り得のない男の何処がいいんですか
夙川「だって、彼って絶倫なんですもん。
聡志「・・・じゃ仕方ない。
夙川「仕方ないでしょ。
聡志「はい。
夙川「だから私、彼の家に行く。家にはマスコミがいるし。。。したいし
聡志「ああ、練習を
夙川「いえ、ファックに
聡志「せっかくのフォローを・・・
夙川「ファックっていうのはオマーンに・・・
聡志「知ってます。わざわざ言わないで下さい。
夙川「おまーん!!!!!!!!
聡志「映像化のときはピー入れますからね。。。
夙川「・・・野堀、闘牛士の話、知ってる?
聡志「知ってます。。。はぁ・・・とめても仕方ないんでしょうね
夙川「ありがと。さっきのさ、、、頭の中で殺すって話。私、ちょっとわかる気がする
聡志「・・・
夙川「私もあの女のことずっと殺してきたのかも。
   あーーーー、いっそ母のことも、ぬぺのことも、芝居のことも、全て忘れてしまいたい。
聡志「・・・・・諦めたらそこで試合終了ですよ。
夙川「安西先生っ!
聡志「誰がですか
夙川「バスケがしたいですっ!
聡志「・・・したらいいじゃないですか。。。
夙川「部活してたけど、下校のときに2回も誘拐されそうになったし
聡志「凄いですよね。まぁだから私が雇われているわけですが・・・
夙川「ほんとにボディガードなの?(腹触って)ぷよぷよじゃん
聡志「ほっとけ
夙川「もういいわ。私、そろそろぬぺのトコに行く。
聡志「そうですね、次の私も妻が戻る前に帰らないと・・・じゃ、前にお車まわします。
夙川「ちょっとトイレ行ってくる・・・(上手退場)
聡志「(夙川いなくなったのを確認してケータイに)もしもしブチ山さん?おたくの雑誌でイイネタ買ってくれない?スクープになるよ。
夙川「(戻ってきて。こっそり家政婦は見た!的に、聡志を見てわかりやすく驚く)
(暗転)



---第五幕---
四幕の一時間後くらい、、、聡志と千夏が暮らす家が舞台。けどセットはまったく同じ。
エプロンをつけ、ソファに座り雑誌を読む夫の聡志。そこにいっぱいの本を抱えて帰宅してくる妻、千夏。
千夏は間の抜けた喋り方をする。動きがマンガっぽい。

千夏「あなーたー、ただいまー
聡志「おかえり〜千夏の好きそうな雑誌あったから買って来たよー(と読んでいた雑誌を見せる)
千夏「(無視して)ねーねーねー
聡志「んっ?
千夏「聞いて聞いて〜(近づく)
聡志「はいはいはいはい
千夏「ちょっと待ってね〜(本を後ろに置いてくる)
聡志「待つ?
千夏「(聡志の前に立ち)はいっ、いいよ
聡志「ずっと待ってますよ
千夏「いいっ?
聡志「いいよ
千夏「いいわね。
聡志「・・・うん
千夏「コホン(と咳払いして)いいニュースと悪いニュースがあるんだけど、どっちから聞きたい?
聡志「なんかハリウッド映画みたいな・・・
千夏「ハリウッ〜ド???
聡志「うん。いいよいいよ。。。どっちからでもいいよ。千夏が話したい方からで
千夏「あたしはあなたに聞いてるの〜。わかる?ねぇわかる?
聡志「そーだなー、じゃどっちにしようかな。。うーん
千夏「(かぶせて)配役が決ったのね
聡志「・・・・・・えっ。
千夏「どーしていっしょに喜んでくれないのよーっ!あなたの妻が役もらったのよーもっと喜んでよ
聡志「はぁ。よかったね
千夏「・・・。ダメ。そんなんじゃダメ。もっと喜んでくれなきゃ
聡志「うーん。(元気振り絞って)そっかー、やったねーっ!!!
千夏「ダメもっと
聡志「(ガッツポーズで)やったーっ!!!役もらえたんだー
千夏「(かぶせて無視して)結構大きな役もらえたのよー。
聡志「(ふりあげた手を静かに戻しながら、ゆっくりとへこむ)・・・はぁ
千夏「けど、どーなんだろ。果たして喜んでいいのかってトコあるわよね。正直、あたしに合ってるのかあるよね?
聡志「・・・うん
千夏「台本あるんだけど、読む?
聡志「読み合わせ手伝おっか?
千夏「っていうか手伝え。
聡志「あっ・・・はい。
千夏「(カバンから台本取り出して、渡す)
聡志「(ペラっとめくり)どの役?
千夏「新妻の役
聡志「あーっ、ピッタリじゃない。
千夏「(怒)どうしてなのよっ!
聡志「だって、実際に新妻なんだし。
千夏「(無視して)なんかね、あたしって今まで女子高生とか、そんな役ばっかりだったじゃない。
聡志「そうだね。
千夏「女子高生って、実際、こないだまでリアル女子高生だったから、入り込みやすいのよ女子高生。
聡志「そーゆーもんなんだ
千夏「新妻って、いきなり言われても役作りとか大変なのよね
聡志「えっ。。。けど実際に僕ら結婚して三ヶ月なワケだし
千夏「そっか。あたし、結婚してたもんね。そーそーそーだったわね(指輪を見せる)
聡志「・・・覚えててね
千夏「で、どう〜?
聡志「どうって?
千夏「台本の感想。
聡志「まだ読み始めたトコだよ。はやく読めって言うならさっと読んじゃうけど
千夏「はやく読め
聡志「はい・・・
千夏「それが悪いニュースね。
聡志「悪い方だったの???
千夏「さっきね、道にケータイ落ちてたんだけど
聡志「ええっ!? それがいいニュース?
千夏「良いニュースって???良いニュースって???なーにー?聞きたい(服をつかみ、楽しそうに体をゆさぶる)
聡志「いや、もういいです。
千夏「じゃ言うなよ。。。(カバンの中から)ちなみにこれがそのケータイなんだけど(ケータイを手渡し)
聡志「なんで持って帰ってきちゃったの???
千夏「だって道に落ちてたら、クルマとかに轢かれちゃうかもしれないじゃない
聡志「そうか・・・、なんかどっかで見たことあるよーな・・・
千夏「それにネコが咥えて運んでいって、ピクサーばりのストーリーが展開されて、それでそれで!
聡志「うん、わかった。千夏は正しいね。
千夏「ねぇ、あたしのこと好き?
聡志「う・・・ん、好きだよ。
千夏「へへへへー。で交番に行こうと思ったの、やめたけど
聡志「行かなかったの?なんで?
千夏「ねぇあなたー、交番って24時間営業???
聡志「んっ?・・・えっ・・・どうだろ・・・。けど・・・うーん
千夏「で、どう〜?
聡志「どうって?
千夏「台本の感想。
聡志「まだ読んでないよ
千夏「はやく読め
聡志「はい・・・。
千夏「それでね、もうここ(拾ったケータイ)に電話掛かってくるの待ってた方がはやいかなーって思ったの
聡志「掛かってきた?
千夏「まだー
聡志「けどストラップとかから見て、女の子のじゃない?
千夏「へー、ケータイにオスメスとかあるんだ。
聡志「いや持ち主が
千夏「わかってるわよ。ボケたのよ、ツッコミして。はやくはやく〜♪
聡志「・・・・はい。(間あけて)なんでやねん、ケータイにオスメスあったら赤外線通信とかしたら子供できるんかいッ!」
千夏「キャハハハハwww」
聡志「とんだ第六世代コンピューターやな。近未来かここは、近未来かっ!!!
千夏「・・・・(急にとても冷たい目)
聡志「・・・急に冷めないで!
千夏「・・・・(ピクリとも表情を動かさず)
聡志「やらせたの、そっちでしょー。
千夏「・・・・(ピクリとも表情を動かさず)
聡志「愛ないんかー!この家庭には。。。
千夏「はい、旦那の関西弁ツッコミが炸裂したところで、こっちから本人に電話してみよーかなーって。。。。。思ったのよ。
聡志「・・・(激しく落ち込み)
千夏「思ったのよ
聡志「・・・
千夏「見てみて(ケータイを手渡し)
聡志「あーパスワードかー。几帳面な・・・。
千夏「ロックされてて掛けれないのよねー。
聡志「0000じゃない?(操作して)違った。。。0001とか。。。0002・・・
千夏「なんとかパスワード解除できたら電話できるんだけどねー
聡志「これじゃ掛けて来られても出れないなー
千夏「普段からロックしてるなんてよっぽどよねー
聡志「そーだねー
千夏「(楽しそうに)この人って、浮気とかしてるんじゃない?だったら、あたしが電話して、話を余計ややこしく
聡志「してどうするのよ。
千夏「だってー
聡志「何を求めているの
千夏「どーおー、解除できた?
聡志「簡単にはいかないよ。英数の4ケタなんて、何万通りあると思ってるのよー天文学的数字だよ
千夏「えー、167万9616通り???
聡志「・・・・どっから来たの、その数字?
千夏「ABCが26個、数字は10個。36の四乗だから167万9616通り。でしょ?
聡志「・・・・・すごぃ!
千夏「あたしのこと。。。好き?
聡志「。。。うん。好き。
千夏「どれくらい好き?
聡志「・・・言葉じゃ表せられないよ
千夏「あたしの為になんでもしてくれる?
聡志「まー大体なら。。。
千夏「じゃ踊って
聡志「はい?!
千夏「パラパラ見た〜い(別段パラパラでなくても良い。むちゃぶりである)
聡志「なに言ってるの?
千夏「得意じゃなーい
聡志「踊れないから
千夏「・・・・(笑いながら、手拍子をはじめる)
聡志「(なんか適当に踊る)
千夏「・・・・(手拍子やめて、とても冷たい目)
聡志「(踊りやめて)ちょっ、また、。。。愛ないんかー!この家庭には。。。
千夏「・・・・(ピクリとも表情を動かさず)
聡志「やらせたの、そっちー!!!
千夏「・・・・(ピクリとも表情を動かさず)
聡志「・・・・・・・・・・・ごめんなさい・・・
千夏「(ケータイを奪い取る)パスワードでも解こうとしてた方がマシだわ
聡志「すいません。。。
千夏「(物凄く素早い手さばきでケータイを操作)
聡志「そんな167万なんぼもパターンあったら、絶対ムリだって
千夏「あっ、解けた
聡志「なんで!!!
千夏「聞きたい?
聡志「そりゃ
千夏「フーリエ変換を応用したのよ
聡志「(棒読みで)そっか。わかった、千夏は凄いね
千夏「あたしのこと、好き?
聡志「(素早く)うん好き。千夏は?
千夏「あたしは普通・・・
聡志「・・・・
千夏「では早速、受信メールを・・・
聡志「おいおい、勝手な人のプライベート。。。
千夏「(電話が鳴る)電話〜
聡志「おおおおおー。どーする、どうする?出るか、出るよな
千夏「(電話に)はい、もしもし〜
聡志「おっ、本人?本人?
千夏「(電話に)あー、そーですー。いや、違いますー。
聡志「どっちなの?
千夏「(電話に)そんなの急に言われても・・・
聡志「なになになになに?
千夏「なんかね、娘は預かったから金を用意しろって
聡志「・・・・はい?
千夏「めんどくさい(電話切る)
聡志「えっ・・・。切っちゃった。。。
千夏「あなたー
聡志「はい
千夏「読み合わせ手伝ってよー
聡志「・・・
千夏「どうしたの???
聡志「いや、なんか、うん。えっ、うーん。
千夏「読み合わせ
聡志「。。。うん、そだね。うんうん。なんか釈然としないけど
千夏「この本の内容ってのが、現実的過ぎるっていうか、フーツーで
聡志「フーツー?
千夏「なんかもっと劇的なことって現実でも起きるじゃない?
聡志「うん、ほんの30秒前に起こった
千夏「じゃ頭から読んでいくわよー
聡志「電話の一件はスルーしちゃうのね。
千夏「うん?
聡志「もういいよ。けど台本1つしかないよ
千夏「いいの、あたしはもう暗記したから
聡志「いつの間に?
千夏「これくらいなら30秒で覚えれるわよ。。。
聡志「千夏は、すごいねー。明日、本番でもできそうだ。
千夏「明日、本番なんだけどねー
聡志「・・・うんうん。もう驚かない。そう心に誓った
千夏「なんかね、急遽新しい芝居することになってね。ちゃんとそれには理由があるのですよ
聡志「そーなの?
千夏「まずメンバーの一人が色ボケが過ぎて精神の均衡崩して
聡志「おいおい
千夏「それから〜、明日やる芝居と同じこと、さっきテレビでやってて、
聡志「サイアクだー
千夏「必要な小道具と衣装の配達遅れててー、そんで〜
聡志「もしかして御嬢さ、、、夙川さんが誘拐された?!
千夏「ううん。なんで?
聡志「いや、なんとなく。
千夏「けど記憶は失くしたって。
聡志「ええええ!!!!!!この劇団、大丈夫???
千夏「あたしがいるから。もーまんたいょ。新たしい脚本もあるし(ひらひら)
聡志「そうなんだ
千夏「大体、セリフなんて覚える必要なんてないのよー
聡志「なんで???
千夏「脚本家の人の人にね、あたしとあなたのナニソレ
聡志「馴れ初め
千夏「ナレ米をね、話したのね。脚本の脚本家の人に
聡志「・・・うん。
千夏「そうしたら、あたしたちにインスピフュージョンうけて
聡志「インスピレーション
千夏「レーヨン
聡志「レーション
千夏「ねーさん
聡志「違う
千夏「スピリチアルねーさんをね
聡志「千夏、どーでもいいけど、どんどんバカになってない?
千夏「だから、あたし、新妻役なのよ。
聡志「なる。・ほど?(納得はしてない)
千夏「あたしたちのコトが脚本の味のもとになってるみたい。リアルなノンフィクを描きたいんだって
聡志「・・・うん、うすらぼんやりとだけど理解できた。つまり要約してお客さんにもわかりやすく言うと、役のモデルは僕ら自身だと
千夏「そう言ってるだろボケ
聡志「・・・・。(本を読み)「奥さまはワイフ」・・・ひねりすらないね
千夏「(立ち上がり)自然な演技って言われてるから、自然に自然に。。。
聡志「あっ、いつも通りの千夏でいいのね
千夏「そうそう、じゃ読むわよ
   (全力で芝居っぽく)あ〜このような憂鬱な日々を過ごしていたのでは、私の心の鳥たちも上手く歌を歌えない」
聡志「・・・
千夏「あなたセリフセリフ。どうしたの???
聡志「それ、普段の千夏???
千夏「あたしって、だいたいこんな感じじゃない?
聡志「いや、もうちょっと女の子っぽいといゆーか
千夏「(怒)なんでよっ!!!
聡志「褒めたつもりだったんだけど・・・
千夏「あっ、そうだったのか。よし。
聡志「・・・
千夏「あたしのこと〜好き?
聡志「うん。
千夏「どれくらい好き?
聡志「もう殺したいほどアイラブユーだね(泣)
千夏「却下・・・・はやく本読め
聡志「これって、登場人物3人いるけど、僕は千夏の役以外を読めばいいのね
千夏「決ってるだろ
聡志「すっすいません
千夏「いくわよ
聡志「うん
千夏「(全力で芝居っぽく)あ〜このような憂鬱な日々を過ごしていたのでは、私の心の鳥たちも上手く歌を歌えない」
聡志「(芝居っぽく)あー我が恋人よ。君はいつもいつも悲しそうな眼をしているね。。。。。。。
   (声色変えて)そんなことございません。私は毎日がリア充です
   恋人よ。ああ恋人よ
   (声色変えて)なんですの?いとしのあなた・・・
   見てごらん。川をサャケが逆流しているよ情緒豊かだね
   (声色変えて)まあロマンティック
   しかしだ恋人よ。私はお国の為、戦場に・・・(素に戻り)って、これずっと千夏出てこないんでない?
千夏「そうね。あと10分くらいは。
聡志「最初から読む意味ないよね。っていうか、千夏って恋人役じゃないのね
千夏「私は新妻兼魔女の役
聡志「モデル意味ねぇっ!!!
千夏「(芝居っぽく)おまえの望み、ふっ、楽しそうだ、応えてやろう。チンタラホイ!
聡志「(ページめくり)何ページだー???
千夏「(芝居っぽく)さぁ願いは適えてやったぞ、さらばだー。だー、だー、だー(エコー)
聡志「(本読み、芝居ががった感じで)こっこれは、おっ、おおーっ、俺、俺、ホントに女になっちゃったー!!!
   (素に戻り)って、これどんな話なの???
千夏「あれ〜電話鳴ってない?
聡志「耳いいなー(ケータイ取りに)あっ、拾ったケータイだ
千夏「(電話に)もしもし。はい?はいはい。
聡志「誘拐犯?
千夏「違う、ママです。だって、ママママ詐欺かしら?
聡志「そんなのない
千夏「(電話に)はい。私よー私。私私。・・・・・・・。うん。なんで泣いてるの?ママ。。。
聡志「なんて言ってるの?
千夏「なんか泣いてる。。。
聡志「スピーカーにしてみて。
女声「(わ)たしがね、お仕事忙しくて、あゆみちゃんには苦労ばかりかけてホントごめんなさい。
聡志「(小声で)この声・・・
千夏「(小声で)知ってる人?
聡志「(小声で)白鳥ミドリ
千夏「(小声で)女優の?
女声「明日、ママ、あゆみちゃんのお芝居、見に行っていいかな?
千夏「(小声で)なんで白鳥ミドリが電話なんか?
聡志「(小声で)それは・・・
女声「あゆみちゃんが劇団に入ってるなんて知らなかったから、。ママ、嬉しくて(涙)
千夏「(小声で)あゆみって、、、夙川さん?
聡志「(小声で)ああ、夙川さんのお母さんって、白鳥ミドリなんだ・・・
千夏「(小声で)へー。どおりで似てると思ってた。今、なんか離婚するとかで大変なんでしょ
聡志「(小声で)そーそー。ワイドショーこればっかで
女声「同じ女優の道、進んでくれてるってだけで嬉しい。ママ、応援するね。だから明日、行ってもいい?
聡志「(小声で)・・・いいって
千夏「いいよ
女声「ありがと。じゃ、明日ね。。。(電話切れる)
聡志「(テンションあげて)これは凄いことになってきたね!!!ついに役者は揃ったっ!!!大波乱の予感ッ!!!
千夏「・・・・(とても冷たい目)
聡志「って愛ないんかー!
千夏「・・・・(ピクリとも表情を動かさず)
聡志「旦那が嫌いか?この先の長い結婚生活が不安で仕方ないよ。。。
千夏「そんなことより、読み合わせ
聡志「・・・・うんわかった、もういろいろ、知らない。。。うん。千夏が登場するトコからでいい?
千夏「その少し前。相手役は団長さんなんだから、団長さんっぽく読んでよ
聡志「はいはい。ゴホンゴホン。(と咳払いして)
   (本読む、芝居がかった感じで)こまったー、問題は山積みではないか。ここままでは私の大切な芝居が台無しになってしまう
千夏「もっと
聡志「ゴホンゴホン。。(言いながら上手退場)
古住「(すぐ上手から登場して)しかし、悩んでばかりもいられない。何か手を打たなければ・・・



---第六幕---
舞台上という設定。ミュージカル風の振り付けに、古典演劇のように声を張って芝居がかった芝居とアクションで動く。
古住は悩める劇団員。千夏は魔女役。
一瞬だけ暗転明転する。

古住「(演劇っぽいセリフ)しかし、悩んでばかりもいられない。何か手を打たなければ・・・
   ああいっそ、悪魔にでもこの魂を売りさばき、願いを聞いてもらおうか、ああもらおうか
千夏「(演劇っぽく)悪魔なんて人をイタズラするのが関の山。ビジネスの話ならば私のような魔女にしてみてはどうだ?
古住「(演劇っぽく)あはははは、ついにアルコールの毒が脳までまわってしまったか、僕にありもしない幻が見える。
千夏「(演劇っぽく)私は幻なんかじゃーありません。
古住「(演劇っぽく)では君は一体どこから現れたんだね。僕にはまるで気がつかなかった。ああまったく
千夏「(演劇っぽく)私のことを思ったとき、私はそこにいるのですよ
古住「(演劇っぽく)魔女とは、ことほど左様に恐ろしい存在なのだな
(千夏「演劇っぽく)さぁ、こうやって姿を現したのだ、悩みでも何でも相談してみてはどうです。ただし3つまでですよ。
      3つの願いが適ったとき、あなたの魂は私のもの。いいですね。
古住「(演劇っぽく)・・・本来ならば、ここに別の俳優がいてセリフを言ってくれるはずなのだが、今は不在だ
千夏「(演劇っぽく)それもまた運命。
古住「(演劇っぽく)確か、それって悪魔の領分じゃねえか?みたいなセリフ
千夏「(演劇っぽく)そうだったな
古住「(演劇っぽく)気にすることはない、我々は脚本の奴隷ではない
千夏「(演劇っぽく)確かに
古住「(演劇っぽく)さらに言うならば、既に届いているはずの衣装もない。小道具もない。
千夏「(演劇っぽく)宅配業者を責めないでくれ。魔女の同僚が宅急便をやっていたが、あれはなかなかに大変な仕事なんだ。
古住「(演劇っぽく)では早速、一つ目の願いを言おう。
千夏「(演劇っぽく)伺いましょう。
古住「(突然歌いだす)♪僕の〜願い〜、それは〜あ〜
千夏「♪あなたの〜願い〜、それは〜あ〜
古住「♪三つしかできない僕の願い
千夏「♪三つもできるあなたの願い
古住「♪何にしようかーなやむーなやむー
千夏「♪そうでしょーそうでしょー
古住「♪どれにしようかーなやむーなやむー
千夏「♪しかたないしかたない
古住「♪願い〜
千夏「♪願い〜
古住「♪僕の〜
千夏「♪あなたの〜
二人「♪願い〜ぃ〜ぃ〜いいいいっ!!!!(ダダダダン)
古住「(演劇っぽく)一つ目。この演劇人っぽい喋り方を何とかしてくれ。歌ったり、正直うざい
千夏「(演劇っぽく)よろしい。。。おまえの望み、応えてやろう。チンタラホイ!(と魔法をかけて静止)
古住「(日常会話っぽい喋り方で)なんか喋ってみて
千夏「(普通の喋り方に戻って)ん?どう?普通になった?
古住「なったなった。
千夏「1つ目の願い適えたから、次は2つ目言ってみて〜
古住「そーだなー。とにかく今は劇団の危機なんだよ。
千夏「そうなの?
古住「メンバーが狂ったり、さっきも言ったけど必要な荷物来なかったりで、ほんと全然用意できてない。
千夏「適当にアドリブ劇で誤魔化しちゃえば?
古住「一応、急遽、他の本は用意できそうなんだけど、こんなんで良いのかどうか。
千夏「何がそんなに不安なのよ
古住「夙川がさー、なんか妙な空気出してるんだよなー
千夏「そーなんだ
古住「夙川とぬぺの二人もなんかありそうなんだよ
千夏「へー
古住「あとオタイさん。オタイさんも、なんか隠してるっぽくて、絶対中止にはできないって言ってるし
千夏「オタイさんって、どの人だっけ?
古住「一番最初に出てきた人。信長さま、信長さまーって言ってた人。
千夏「あああああわかった。私は・・・中止もありだと思うけど
古住「それがー、なんでか公演に取材とか来るみたいで
千夏「えーなんで???
古住「なんでかわからないのからフシギなんだって
千夏「へー
古住「ともかく劇団売り出すチャンスだから。けどこのままじゃ恥を晒すよーなもんだよ・・・。
千夏「キツいわね。
古住「だから、二つ目の願い。
千夏「いいでしょー。・・・ただし
古住「ただし?
千夏「劇団員を正気にして・・・で、一つ。荷物届けて・・・で一つだからね。
古住「えーっ、もっとサービスしてくれよー
千夏「ダメー。
古住「(ふてくされて)わかったよー。。。(あっ!と気づいて)じゃ二つ目の願い。
千夏「伺いましょう。
古住「舞台本番。成功しますように。
千夏「ずるーい!!!
古住「いいじゃない。別に〜
千夏「わかったわよ・・・、(片手間な感じでテキトーに)おまえの望み、応えてやろう。チンタラホイ!
古住「・・・これ、ホントに適ったのか?
千夏「それは本番迎えないとわかんないよー
古住「なんか騙されたクサイ
千夏「何言ってるのよー。大丈夫、成功する成功する
古住「適当じゃーん。
千夏「演劇はルールを作りながら楽しむもんだから、望めばなんでもできる。
古住「ご都合主義だな〜。
千夏「それにこの芝居もう終盤よ。なのに全然ストーリー進んでないじゃない。流石の私でもどうにもないないことってあるのよ。
古住「わかってるけど・・・。
千夏「じゃ、ヒントだけ
古住「聞かせて聞かせて
千夏「ラストでなんか、観客を唸らせたら、今からでも挽回できる
古住「ホントに?こんなに説明セリフまみれでも?
千夏「もちろん。
古住「けどさー、どーやって客を唸らせればいいかわかんないし〜
千夏「客が喜ぶような展開用意したらいいのよ、ラブロマンスとか、サスペンスとか
古住「いきなり?
千夏「いいじゃない。みんな好きでしょ?
古住「そーだけど・・・。。。じゃとりあえず納得したってことにしとく。
千夏「はいはい。サクサクいきましょう。最後の願いをどーうぞ。
古住「じゃ三つ目はもっと、わかりやすいのにする
千夏「そーして、未来にナニナニして・・・とかだと、「見た目」的にビミョーになるから。
古住「ホントはここで違う俳優がセリフを言うっと。
千夏「了解。続けて
古住「うん。わかった。。。最後の願いは(耳元で囁く)
千夏「くすぐったい。。。
古住「それでお願いします。
千夏「おまえの望み、ふっ、楽しそうだ、応えてやろう。チンタラホイ!
古住「チンタラってなんなの?
千夏「(芝居っぽく)さぁ願いは適えてやったぞ、さらばだー。だー、だー、だー(エコー)
古住「(両手を見ながら)こっこれは・・・・・・
(暗転)



---第七幕---
時間帯的には第三幕と同じくらいの時間。場所は豪井の部屋。相変わらず同じセットだが、ソファの前に小さなちゃぶ台を用意。
古住は途中まで一人称使用禁止。基本的にはアニキっぽい性格。少し考えこんでいる。
豪井(スゴイ)はソワソワしている。「僕、バカだから」が口癖。可愛いのか気持ち悪いのかギリギリのラインのキャラ。

豪井「明日本番だね
古住「うん・・・
豪井「ドキドキするね
古住「うん・・・
豪井「いっぱいお客さん来るといいね
古住「ホントに客入るのかな
豪井「大丈夫だよ。古住さんの舞台、とってもとっても面白いもん
古住「みんなの舞台だよ。
豪井「けど団長なんだから
古住「ありがと
豪井「えへへへ
古住「スゴイくんは誰か知り合い、見にきてくれるの?
豪井「(急に暗く)来ないよ
古住「そうなの?
豪井「だって僕、友達いないんだもん。
古住「じゃご両親とか
豪井「親、嫌いだから
古住「そっか。。。
豪井「そだよ
古住「スゴイくん
豪井「なに?
古住「実はさ、言い出し辛いんだけど、
豪井「なになに
古住「・・・明日、中止にしようかなって思ってるんだ
豪井「えーっ、なんで、なんでなの。こんなに練習頑張ってきたのに
古住「不安なんだよ。急に脚本変えてこんな芝居をお客さんに見せていいのかって。。。
豪井「大丈夫だよ。みんなも頑張ってるし。僕だって
古住「・・・
豪井「ごめんね僕、バカだから。お芝居も下手だし。いいよね、古住さんは演技上手だもんね
古住「上手くないよ。全然
豪井「そんなことないよ、上手だよ。演出だって、バシッて決めるじゃない。見てて、カッコイイんだよなー
古住「ありがと・・・ごめん。そうだよね、ちょっと弱気になってたのかも
豪井「仕方ないよ。明日、本番なんだもん。
古住「このままじゃ、どーにかなりそうだ。。。この緊張、あー(ノビをして)ほぐしたい・・・
豪井「なら、これがいいよ(と言って、下手の奥からお酒とコップを取りだす)
古住「明日、本番なのに?
豪井「飲んで飲んで
古住「やばくない?
豪井「その方がリラックスできるって言ってたよー
古住「誰が?
豪井「・・・・・(客席の誰かを指さす)
古住「ホントにいいのかなー?
豪井「ごめんね、僕バカだから。。。
古住「じゃ、ちょっとだけ
豪井「(コップに酒を注ぐ)お酒お酒。
古住「お酒好きだねー
豪井「好きだよ
古住「おっとっとっと
豪井「まーまーまーまー
古住「おっと
豪井「(自分のグラスにも申し訳程度に注ぐ)じゃ、明日の成功を願って
古住「かんぱーい
豪井「かんぱい(飲む)
古住「(飲む)あっ
豪井「どうしたの?
古住「これ、ホンモノ?w
豪井「んっ?なんのこと?(飲む)
古住「いや、なんでもないよー
豪井「そうでしょ
古住「あーあーあーテスト前日の小学生みたいだ。。。なんかイイ理由つけて中止にできないかなーって
豪井「例えば?
古住「キャストの一人が、記憶喪失になってセリフ全部忘れる・・・とか
豪井「そんなのあるわけないじゃない。古住さん面白いなー
古住「実は団員の親が有名人で、マスコミが大挙して詰め掛けてきて中止せざるおえない・・・とか
豪井「そんな人いたら会ってみたいよー
古住「単純にケータイ落として、連絡不能・・・とか
豪井「それくらいならあるかもねー。けどそれが全部一人の話だったら凄いよね。トラブルメーカーだね
古住「面白いコト言うなースゴイくんは。次回は脚本とかも書いてもらおうかな。
豪井「僕なんてバカだからムリだよー。むーあさんがいるじゃないかー。
古住「むーあより、絶対面白い本書くと思うけどなー。
豪井「そーかなー
古住「もし、むーあが狂っちゃったら、スゴイくんお願いね
豪井「仕方ないなー。古住さんのお願いだから聞くんだかんねー
古住「よろしく。例えば、ねースゴイくんなら、どんな脚本書く?
豪井「僕なら?そうだな・・・うんとねー、動物出す
古住「大変だー。何、出す?
豪井「カンガルー。野生の
古住「本物を?なんで?
豪井「だって、カンガルーがギリだと思うから
古住「ギリって?
豪井「もし素手で本気で動物と戦ったときに、カンガルーが勝てるギリギリラインだと思うんだよね
古住「基準がわからないけど
豪井「流石に、ダチョウには負けるでしょ。くちばしあるし、でかいからさー
古住「戦わなくてもいいでしょ。
豪井「けど、本物の動物との本物の戦いとか見せたいの。なんかリアルって感じ
古住「もはや演劇じゃないし。
豪井「そっかー。そーだなよねー。じゃノンフィクションとか。
古住「おーっ
豪井「でカンガルー出す。
古住「こだわるなー。
豪井「じゃ実話を基にしたファンタジーとか、どうかな
古住「ん???
豪井「ノンフィクション空想活劇・・・みたいな、、世界をたまにかけて大冒険するの!!!
古住「そんな凄い話、舞台の上だけでできるかなー
豪井「じゃ舞台から飛び出していこうよー。道路でも電車の中でも、僕のウチでも、好きなトコで演じちゃう。
   この地球が僕らの舞台ってどう?
古住「壮大な話になってきたねー。じゃ登場人物はどうする?
豪井「そーだなー。逆に僕と古住さんの二人きりってのは、どうかな?
古住「おーっいいねー。けどなんで二人?
豪井「僕、バカだから、一度に二人までしかのことしか考えられないよ
古住「大丈夫だって。大勢出してみなよ
豪井「そんなことしたら、キャラが勝手なことはじめちゃうよ
古住「そうかなー。
豪井「それに僕とお芝居してくれるなんて物好き、古住さんしかいないよ
古住「そんなことないって
豪井「そうだよ
古住「じゃぁ。二人はどんな設定なの?
豪井「それはノンフィクションだから、。僕と古住さんは親友で、劇団の大切な仲間。
古住「なるほど。それでどんな状況?
豪井「今の僕たちみたいに芝居前日でドキドキしてるの。
古住「けど、それじゃ、まだ面白くないんじゃない?
豪井「そうかな。
古住「物語には何か事件が起こらないと。しかも観客がビックリするような大きな事件。
豪井「事件なんていらないと思うけど、、、事件かー
古住「考えると難しいよねー。ノンフィクションで起こる事件。。。実際に起こる事件
豪井「じゃ僕が9回の裏一打逆転のチャンスでホームランを打つ(奥からバット取り出して、素振り。ホンモノであるコトを強調)
古住「あぶないあぶない。どっから持ってきたの?
豪井「なんかあった。イチローのサイン入り。希望
古住「希望なのね
豪井「(織田ゆうじ調)室井さん、事件です。
古住「似てないね
豪井「似せる気がないからね
古住「そうだなー例えば、まぁベタだけど、殺人事件とか?w
豪井「人の死ぬ話はヤだ・・・。
古住「それなら・・・どうするの?
豪井「じゃ、これで面白くしちゃう(と言って、お酒を取りだす)
古住「また?
豪井「本物本物リアルリアルw
古住「面白くするというか、むしろこれは面白くなる・・・が正しくない?
豪井「うん(注ぐ)バカだから
古住「おっとっとっと
豪井「まーまーまーまー
古住「(飲む)あっ
豪井「どうしたの?
古住「まぢでまわってきたかも
豪井「弱いもんね(飲む)
古住「うん、まだ大丈夫。ゲプッ。
豪井「大丈夫???
古住「ウン・・・。
豪井「そんなときにはこれだよ(と言って、お酒を取りだす)
古住「もういいよ。
豪井「けどリラックスするのに、いいよ
古住「脚本じゃ一回だけだったでしょ
豪井「知らない。飲んで飲んで(注ぐ)
古住「おっとっとっと
豪井「まーまーまーまー
古住「(飲む)ゲプッ。
豪井「セリフ忘れたら、回数増えるから気をつけて
古住「そうする。。。(酔ってる)・・・・・。
豪井「まだ飲む?
古住「もういらない。
豪井「そっか。
古住「そーだー、今夜のうちにみんなに確認入れないと・・・
豪井「そうだね。お電話お電話
古住「(ケータイ取り出し、掛ける)えっと、まずは
豪井「むーあさんでしょ
古住「そうだった(電話・・・)出ない。
豪井「むーあさんの旦那さんってイラン人ってホント?
古住「そうなの???(電話を切り、他のトコに電話する)
豪井「さぁー、想像。
古住「想像だったの(電話に)もしもし、ぬぺ〜?。古住です。
豪井「ぬぺ〜
古住「今、大丈夫?明日の確認。うん。誰かそっち泊まるんだっけ?そかそか。どう?うんうん。酔ってないって。
   あはは現実逃避?大丈夫だって明日は成功させる。じゃよろしく。はいはい〜(切る)
豪井「酔ってる?
古住「酔ってないって・・・。クシュン(くしゃみ)
豪井「ふぃくしょん(くしゃみ)。。。誰か僕らの噂してる〜
古住「そうかも・・・・。夙川あたりじゃない?
豪井「そうかも。
古住「(ケータイ操作しながに)次。。。あっ、オタイさんの番号知らない
豪井「じゃ、僕のケータイ見せてあげる
古住「ありがと(スゴイくんのケータイ見ながら、電話する)・・・・もしもし、オタイさん?
   違う?あっ、ごめん。。。すいませんでしたー(電話切る)あれ
豪井「間違った?
古住「そうみたい・・・
豪井「ちゃんと見てね(もう一度見せる)
古住「うん、ここ大事なとこだもんね
  (電話かける)もしもし、あの・・・・なんだ留守電・・・・。はい、発信音の後に・・・はい。
   こ・れ・は・不・幸・の・電・話・で・す。こ・れ・を・聞・い・た・方・は・・・
豪井「wwwww面白いね
古住「次だ(電話切り、新たにかける)もしもし・・・・????
  (低い声で)もしもし、おにーさん、パンツ何色ですか?(気持ち悪く笑う)ウカカカカ。あっ切られた
豪井「wwwwwwwww古住さん、変態だねwwwww
古住「(違うとこに電話かける)もしもし、・・・・奥さん一人ですか?これから大事な話をします。
   あなたの大切な娘は私たち紅い旅団が預かりました。お金を用意してください
豪井「たすけてーたすけてー
古住「あっ切られた。
豪井「WWWWW迷惑な電話だね。誰に掛けたの?
古住「夙川
豪井「ひどいwww 酔ってるでしょ
古住「酔ってない・・・・・あれっ、なんの話してたんだっけ?
豪井「飲む?
古住「もういい・・・。
豪井「僕が脚本書く話?
古住「そーそーそー。どんな話にするの?
豪井「舞台をミスキャストでいっぱいにするんだー
古住「ほほう、いいね!
豪井「善人に悪人やらせて、大人しいメンバーにハイテンションな役とかさせるの
古住「面白いそー。けど悪人とか、どれくらいの悪人?
豪井「すっごい悪い人。
古住「目に見えて悪いって難しいよ。演出上。
豪井「うーん。人はどこまでいったら怪しくなるのかな
古住「と言うと?
豪井「(普通に立って)これじゃ、普通だよね。
古住「うん
豪井「(ちょっと猫背で手つきが変)ちょこっとだけ不審者。けど職質されるほどでもない
古住「うんうん。
豪井「(目が血走り猟奇的ポーズ)
古住「ダメだな
豪井「ダメだね。(さらに猟奇的)
古住「完全なる変質者だ。
豪井「(逆にボレエ的ポーズ)
古住「これも怪しい。
豪井「おもしろいね!
古住「おもしろーい〜。
豪井「ふぃ、ふぃくしょん(クシャミ)
古住「クシュン(クシャミ)
豪井「また誰か僕らの噂してる〜
古住「さっきイタ電した夙川あたりじゃない?
豪井「そうかも。。。
古住「それよりスゴイくん、脚本の才能あるじゃない!
豪井「けどこれじゃダメなんだよね。。。これじゃウソなんだよね
古住「あー、そーだね。ノンフィクションにしたいんだよね
豪井「だから登場人物は僕ら二人。リアルな二人。。。僕と古住さん。
古住「うん。けどそれじゃ面白くないって、なんか捻って工夫しないと・・・。
豪井「じゃぁ。古住さんを女にしちゃう?
古住「俺? 俺を、女に???どーして?
豪井「僕たち劇団入ったときから、ずっと仲良しじゃない
古住「そーだね
豪井「ときどき思うんだよ、古住さんがオトコじゃなくて女の子だったら良かったのにって・・・
古住「・・・
豪井「だから、なって。。。女に
古住「そんなこといきなり言われても
豪井「大丈夫だよ、ここは舞台の上だから。
古住「けどいきなり女になれないって、話の展開がおかしくなるよ
豪井「じゃ魔女を出すよ。
古住「魔女?
豪井「3つの願いごとを訊いてくれるんだ。君は最後に言う、女になりたいって。
古住「それがスゴイくんが望む物語なの?
豪井「うん。その魔女が言うんだ。『最後の願いをどうぞ』。古住さんは
古住「(前幕と同じ口調で)じゃ三つ目はもっと、わかりやすいのにする
豪井「ここで僕が言うんだ。あの願いを言って。僕の願いを。
古住「(前幕と同じ口調で)うん。わかった。
豪井「って古住さんが言って、魔女に囁くの
古住「最後の願いは(誰もいないトコに向かって同じポーズで囁く)それでお願いします。
  (クルクルクルクルとまわって、ソファの上に立ち、落ち着く)俺、いえ、あたし、、、女になったの???
豪井「そうだね。(腕を肩に)
古住「(以後、女っぽい喋り方)けどスゴイくん、いいの? こんな展開で?
豪井「うん。実話を基にしたファンタジーだから
古住「そっか・・・。
豪井「ごめんね、僕、バカだから・・・
古住「バカじゃないよ・・・
(抱き合い、そのままキスしようとして、ソファの後ろに落ちていく)

-ぬぺとむーあ、0.7倍くらいのスローモーションで上手から登場。ソファを持ち上げ、180度回転させる。
つまりソファの裏側を観客に見せる。つまり手前に豪井と古住を出すカタチになる。
ちょーどのタイミングでキスが終わっていて見えない。

古住「こんなのでいいのかな
豪井「大丈夫、舞台は今、僕らの目の前にある。
古住「これってずっとあたしが夢に見てた場面・・・。
豪井「夢で見た???
古住「うん。
豪井「この後、どうなるの?
古住「えっとね・・・忘れちゃった。。。
豪井「僕なんて、溺れる夢を見て窒息しそうになって朝、眼が覚め・・・・
古住「どうしたの???
豪井「・・・これも、夢なのか?
古住「物語なんて、長い長い夢みたいなもんでしょ
豪井「そうなの?
古住「ハッと目が覚めて、現実に戻っちゃう・・・。本番直前っていう現実に
(暗転)



---最終幕---
むーあがソファに眠っている。ぬぺは小道具のチェック。豪井は台本を読んでいる。

むあ「(カクっとなって目を覚ます)ハッ。私、寝てた?
ぬぺ「寝てましたねー
むあ「何分くらい?
ぬぺ「さー、一時間程度じゃないですか?
むあ「ヘンな夢見たー。古住さんとスゴイくんがラブシーンしてる中で、私らが建て込みしてるの
豪井「寝ぼけてるの?
むあ「ごめんごめん
ぬぺ「お疲れなんですねー
むあ「本番前って、舞台立ってる夢見ない?
ぬぺ「見ます見ますー。
-聡志・桝田・夙川が違和感ない感覚で登場。夙川は疲れてそうにイスに座る。
むあ「やけにリアルな夢だったなー
ぬぺ「空想に逃げるのに、ほとほどにしておいて下さいね。
桝田「(スゴイくんの横へ移動して)どちみち、あと数分で起こそうと思ってたんですよー。もうすぐゲネプロはじまりますから
聡志「(マイクのチェックをしながら)あのー、ゲネプロって何なんですか?
桝田「ああ、本番と同じように最初から最後まで通すリハーサルのことです。
聡志「なるほどー
桝田「本番直前に必ずやるんですよ
豪井「(キョロキョロ)あれ千夏さんは?
むあ「まだ来てないの?
ぬぺ「まだみたいです
聡志「すいません。僕がちゃんと連れてこればよかったですね。
むあ「(桝田に)千夏に電話して。出るまで続けて、。あのコだけが頼りなんだから〜
桝田「了解デス
ぬぺ「あーーーーっ(嘆きの壁状態で頭を抱える)
むあ「ココまで来たら、タカくくるしかないでしょ
ぬぺ「はぁ↓
むあ「元気出しなさいよね(ポーンとぬぺの頭を叩く)
ぬぺ「はい。。。どうしよ、門脇さんが取り立てに劇場まで来るっていうんですよ
むあ「そっちか!
ぬぺ「お客さんがいっぱい来ないと、お金返せないんですよね。。。
聡志「大丈夫、満員になりますよ、きっと
ぬぺ「・・・もう何が何だか。。。(頭を抱える)
聡志「落ち着いて
ぬぺ「俺、バカだから」
豪井「、、、それキャラかぶってます
ぬぺ「俺は(皮を)かぶってないっ!!!
豪井「なんでキレたの???
桝田「ちょっと真剣になって
ぬぺ「俺は真性(包茎)じゃないッ!!!
夙川「私! カッコイイと思うよ
ぬぺ「あああ、ありがと。。。
むあ「もう二人とも、、、意味わかんないって(ツッコミで夙川の頭を叩こうとする)
ぬぺ「(それをガードして)やめてください。また記憶飛んだらどうするんですか
むあ「はい???
ぬぺ「何回か叩いて、ようやく記憶戻ったんですから
むあ「なんの話???
聡志「あっ、そうだそうだ。おじょ、夙川さん、ケータイ落としてたでしょ
夙川「(ヨソヨソしく)ああ。昨日
聡志「妻が拾ったんですよ。お返ししときますね(渡す)
夙川「あっ、ありがとう、ございます(受け取り、ロック解除)
聡志「ちょっと、僕、妻が道に迷ってないか捜してきます(退場)
桝田「お願いします〜
夙川「(メールを見て、より一層不安がる)
ぬぺ「体調悪いの?
夙川「違う。。。けど・・・
ぬぺ「どうしたの?
夙川「うん、ちょっと・・・母からメール来てて、なんか今日観に来るみたいで
むあ「それくらいで・・・何言ってるのよ、痩せ細ったハートね
夙川「・・・」
ぬぺ「顔色悪いよ
夙川「ありがと
ぬぺ「ホントに大丈夫?あゆみ
むあ「名前を呼び捨て???なにそれ、なんか恋人っぽいわね
ぬぺ「そっそんなことないですよ。
夙川「(思い出した感じで)あっ、ピアス、ベッドサイドに忘れてきてる・・・
むあ「あなたたち付き合ってるでしょ
ぬぺ「そっそんなことないですよ。
夙川「(思い出した感じで)あっ、トイレットペーパー切れてたよ・・・
むあ「付き合ってるでしょ
ぬぺ「そっそんなことないですよ。
夙川「(思い出した感じで)帰りに玉子買って帰るの忘れないようにしなきゃ・・・
むあ「ホントに付き合ってないの!?
ぬぺ「ないですないです!!!
むあ「あっそう。で、。(桝田に)千夏出た?
桝田「まだです。
むあ「もー、どこ行ってるのよ、あの子は・・・。
聡志「(登場して)あの、すいません。。。。
むあ「なにっ?
聡志「なんか取材の人?が?
むあ「ええっ???
聡志「とりあえず待っててもらってますけど・・・
桝田「・・・・・
むあ「わかった! きっと私の取材に来たのね。未来のスターだ・か・ら
夙川「あの、、のぼ、、、聡志さん
聡志「えっ、はい?
夙川「その人たち呼んだの、あなたですよね
聡志「はい?
夙川「私、昨日、聞いたんですよ、、、雑誌社に電話しているとこ
聡志「大丈夫。。。あれは、違いますよ。あれは・・・千夏の為に、この劇団をw
夙川「・・・(怒って上手に退場)
聡志「友達に宣伝をwww・・・・・・あら。
ぬぺ「何かあったんですか?
聡志「何がナンやら・・・???
桝田「きっと、、、私が・・・。私が悪いんです。ちょっと見てきますね(退場)
ぬぺ「(むーあに)あの、ちょっといいですか? 脚本のことで、聞きたっ・・・。
むあ「私に聞いてどーするのよ。
ぬぺ「あっ、そっか。
むあ「私は、脚本家役なだけ。。。本物の脚本家はあっち
豪井「現実と芝居はちゃんとわけてくださいね
ぬぺ「(台本取り出して)ここなんですけど・・・。
豪井「ああ、古住は途中まで一人称使わないの、男か女か秘密ってコトにしておいてください
ぬぺ「わかりました
むあ「どー見ても、女だけどね
豪井「いいんです
ぬぺ「古住さんのクシャミって、あれって前の話とリンクしてるんですよね
豪井「けどタイミングは適当でいいですよ。
桝田「(上手から、ダンボール箱持って登場)小包とどきましたーっ!
むあ「あー、やっときたよー。小道具と衣装。
ぬぺ「間に合いましたねー
むあ「千夏のんどーする?
豪井「代役立てて、ゲネするしかないですよね
むあ「って、みんなそれぞれの役あるし・・・。
桝田「誰が・・・
聡志「(視線が聡志に集まる、無言の圧力。。。)むりむりむりむりですよー。僕、スタッフですよ
ぬぺ「本渡しますから
むあ「ちょっと読んでみて
聡志「ムリですって
むあ「千夏の読み合わせ手伝ってたんでしょ
聡志「そーですけど・・・
豪井「はい(本渡す)ここからです
聡志「えっと・・・(台本読みながに千夏のモノマネをキモく)いいニュースと悪いニュースがあるんだけど、どっちから聞きたい?
むあ「キモ
豪井「(セリフ)なんかハリウッド映画みたいな・・・
聡志「(千夏のマネで)ハリウッ〜ド???
豪井「(セリフ)うん。いいよいいよ。。。どっちからでもいいよ。千夏が話したい方からで
聡志「(千夏のマネで)私はあなたに聞いてるの〜。わかる?ねぇわかる?
むあ「はいオッケ。
ぬぺ「wwwやばい
むあ「できるじゃない。キモいけど
桝田「千夏さん来なかったら、本番も代役よろしくお願いしまーす
聡志「ムリですよ!!! ホントにムリですからね!!!
桝田「はい、これ衣装です(とソファの後ろにムリやり押し倒して着せる。他のみなも手伝う
聡志「(着せられる。着替え終わったら立ち上がる。千夏の着るハズだった女物の可愛い衣装。当然キモい)
ぬぺ「ちょっwwwwww
むあ「これはヤバいwwwwwww
聡志「もう好きに笑ってください。
むあ「そんな格好で申し訳ないけどマイクと音響のチェックもお願いしますね・・・。
聡志「はいはい。わかりました。(マイクを持って、上手前方に行き、マイクに)てすてすてす
桝田「みなさん準備できてますかー?
皆々「はーい
聡志「てすてすてすてす
むあ「てすてすてす
聡志「てす?
むあ「てすてす
聡志「てすてす?
ぬぺ「てすてす
桝田「遊ばない
聡志「てーすてーすてすてす
むあ「てすてす
ぬぺ「てす
聡志「てすてす
豪井「てす?
聡志「てす。上のマイク見てきます(中二階に退場)
むあ「あと10分ではじめるよー
千夏「(上手より、ダッーと走りこんで登場、焦っている)あっ、あの人は?
むあ「旦那さん?中二階だけど
千夏「(息切れしながら)よかった・・・
桝田「呼びましょうか?
千夏「ダメ〜っ。呼ばないで!!!
むあ「どしたのよ
夙川「どうしたんですか???
豪井「千夏さんは、どこに行ってたんですか?
千夏「ケーサツに
ぬぺ「ケーサツ?
むあ「落ち着いて話して
ぬぺ「なんか飲みます?小道具のお酒が・・・
桝田「落ち着いて・・・
千夏「あの、あっあの人、、、物置から、ミイラ化した、、、前の奥さんの、、死体が・・・
むあ「ええええーっ。
夙川「そーいえば、前の奥さんのこと、頭の中で殺した・・・。って言ってた
むあ「えっ!
ぬぺ「つまり殺した・・・?
豪井「そんなの
夙川「臭いから別れたって・・・腐乱しはじめてから捨てたってこと?
豪井「・・・そんなのイヤだ
千夏「やばいよう。やばいよぅ。私、殺される・・・殺されるぅ
むあ「どうして?
千夏「だって、殺したいほどアイラブユーって言われたー。
豪井「こんな展開、イヤだ
聡志「(バンとドアをあけ、注目させる。けど相変わらずキモい格好で空気読めてない)てすてすてすてーす
皆々「・・・・
聡志「てす?
皆々「てすてす(頷きながら)
聡志「てすてす
皆々「てすてす。
聡志「てすーーーっ(猟奇的ポーズ)。。。あーっ、千夏来たんだー、よかったー
千夏「ううん、。きっ来てたわよ
聡志「どこ行ってたんだよー
千夏「ケーサツ・・・
聡志「警察?
むあ「24時間営業か確かめに・・・
聡志「そっかー
千夏「うん、そうなの〜
聡志「・・・・・(お茶目なポーズ)
皆々「・・・・(誰も笑わない)
聡志「どうしたんですかー、みんさん顔がこわばってるよ。緊張し過ぎw・・・・・(千夏に近づく)
千夏「こっち来ないで!
聡志「何言ってるんだよ?僕だよ
豪井「(ボソッ)サスペンスの展開
千夏「来ないで!(落ちていたバットを拾い、かまえる、半狂乱)
聡志「それも芝居の続き?
むあ「それ本物・・・
聡志「えっ?(むーあの方、つまりは千夏の逆を見る)
千夏「(その瞬間狙ってバットで思いっきり、聡志の頭を殴りつける。
聡志「(そのままソファの後ろにイヤな感じで倒れこむ
ぬぺ「えっ・・・。
豪井「(ボソッ)事件
千夏「(狂ったように殴り続ける)
桝田「きゃーーーーっ!!!!!!!!!!!
夙川「どうして・・・
千夏「・・・・死んだ?
むあ「あんだけ殴ったら、そりゃ死ぬわよ
千夏「・・・・ハァハァハァ(と息が切れている)
桝田「もうすぐお客さんが、、、あと取材の人も・・・
ぬぺ「ど、どうするんですか・・・
むあ「隠すしかないよ。このまま死体をオブシェにコメディできるわけないじゃない
千夏「・・・・ハァハァハァ(と息が切れている)
むあ「(千夏に)あなた、どういうつもりなのよ
千夏「仕方ないじゃないの。私殺されかけたの!!!
ぬぺ「そうですよ、正当防衛ですよ
むあ「ぬぺ、頭持って、倉庫に運ぶよ
ぬぺ「はい・・・。(むーあと二人で上手に聡志を運ぶ。そしてすぐ戻ってくる)
夙川「それから、どうするんですか
桝田「ここまで練習してきたんだし、今日、公演が終わってからじゃ、、、ダメかな
ぬぺ「やっぱり中止にすべきじゃないですか
むあ「芝居とか言ってる場合。これはリアルなのよ。わかってる?
桝田「・・・・。
むあ「なんで、取材なんかが・・・
桝田「。。。それ、多分、私を見に来てるんだと思う。。。
むあ「はい?
桝田「私、劇団フォーシーズンの最終面接、受かったんだ。。。
むあ「えええっー
桝田「フォーシーズンの人たちも見に来る。雑誌の取材受けてたの、私。。。
むあ「なんで?
桝田「OLからの転職ってのが珍しかったみたいで・・・
むあ「私じゃなかったのね・・・
ぬぺ「そりゃそうですよ
桝田「けど、私の夢も、もうおしまいです。。。
豪井「・・・・
桝田「スゴイくん
豪井「・・・・
桝田「スゴイくんっ!!!
豪井「(泣きで)カーーーットっ!!!!!

-豪井以外の全員が糸の切れた操り人形のように、ふわぁっと倒れこむ。照明やや暗くする。軽くスポット。
豪井「こんなんじゃダメだ。僕の書きたかった物語じゃない。
皆々「・・・。
豪井「人の死ぬ話は好きじゃない。なんで僕の言うことを聞かずに、みんな勝手に動いちゃうの、、、
皆々「・・・。
豪井「僕はいつも窒息しそうになって眼が覚める。悪夢から。
古住「(上手から登場して)あなたの口癖だったわね。溺れる夢は助けを求めている孤独な心を暗示しているそうよ。
   あなたは孤独だった。自らそう行動してたんじゃないの、他人を拒絶することで自分の世界を作ってきた。
   だからあなたの物語はいつも私と二人きり
豪井「そうかもしれない。。。。
古住「舞台にはずっと私とあなた二人しかいなかったのよ。皆はあなたにしか見えない幻なの。
豪井「そんなバカな!
古住「あなた言ってたわね、脚本家はキャラクターを生み出すために何人もの自分を作り出さなくてはいけないって
豪井「・・・
古住「ずっと以前から、あなたの分裂ははじまってしまっていたのよ。。。
   演技に自信のない俳優。苦悩する脚本家。失った愛情を取り戻そうとする男。全てあなたの人格なのよ。
豪井「全て、僕自身・・・。じゃ、それならば。。。君は、君はいったい誰なの?
古住「忘れちゃったの?
豪井「・・・・。
古住「手の甲に書いてあるじゃない。
豪井「(自分の手の甲に何か書かれてある)『私は記憶喪失。目の前にいる人が私の恋び・と・・』。。。。ハッ!!!
古住「助けてほしかったんでしょ。この世界から・・・。
豪井「・・・どうやったら、いいの?
古住「この世界は、あなたの作り出した世界。あなたのお芝居。
   けど一度はじめられた芝居は終わらせなければならない。そうじゃない?
豪井「終わらせなければならない。。。
古住「簡単なことよ。舞台を終わらせる方法は、知っているでしょ?(退場)
豪井「・・・・。新しい、幕をあげる。。。今から僕の新しい物語を!!!
-明転

聡志「(ヌッと上手から登場)
皆々「(びびり、短い声にならない悲鳴)
豪井「・・・・・(聡志にゆっくりと近づき)って、これ小道具のバットですよね
聡志「バレました?www
豪井「すぐわかりましたw
聡志「(千夏に)ですって。
千夏「なーんだ・・・つまんない
むあ「えっ? えっ?
千夏「あなたたちのキンチョーほぐしたかったの
むあ「なによーそれーっ(倒れこむ)
豪井「血の一滴も出てないじゃないですか
聡志「ですよねー。最初は出す予定だったんですけどね
豪井「いつまで寝てるんですか
むあ「王子さまのキスで起してー
豪井「じゃ寝ててください
むあ「あーーー、ホントだ、床に背中つけると落ち着く
ぬぺ「(むあに手を貸して起す)
千夏「あなたが大根だからすぐにバレたのよー
聡志「だって僕、役者じゃないし
桝田「団長さん
豪井「?
桝田「団長ッ!
豪井「はいはい
桝田「もうそろそろお客さん集まりだしてるみたいですよー
夙川「(上手に移動しながら)私、ちょっと見てくる?
千夏「お母さんが来てないか?
夙川「うん・・・。
千夏「お母さん、夙川さんがお芝居の道に進んでくれて嬉しいって泣いてたんだよ
夙川「・・・
むあ「娘のために泣けるなんていいお母さんじゃない
夙川「どうせ演技よ。。。それだけは上手いから(退場)
聡志「御嬢様・・・
千夏「おじょうさま???
豪井「・・・・ニコリ
むあ「あの子、喜んじゃってー素直じゃないんだから
ぬぺ「えっ、あゆみのお母さんって、女優さんか何かなの?
聡志「ふふふふふふー
千夏「あなた知らないの〜?
ぬぺ「挨拶しとこかな・・・
千夏「あなたたちあやしいわね・・・付き合ってるんじゃないの?
ぬぺ「なーんことでしょー
むあ「ちょーっと、、、ぬぺくんは私のもの
ぬぺ「違います!!!
夙川「(上手から登場して)むーあさん! 旦那さん来てますよ!
むあ「マヂで!(ガチガチに緊張し出す)
夙川「おっきな花束持って来てます
むあ「あのバカ・・・(ガチガチ)
枡田「機動戦士、大森だ。
千夏「(豪井に)なに、ニヤニヤしてるのよ
豪井「いや、仲間って、ステキだなーと思って。
ぬぺ「何、当たり前のこと言ってるんすか。
豪井「一人だけじゃなくて、みなで何か作るのは楽しいって思っただけ
ぬぺ「なんですそれー
千夏「団長は、誰か知り合い見に来るんですか?
豪井「彼女が来ますよ。
むあ「えーっ、古住も来るの???
豪井「ほら
古住「(上手から登場)あら、まだだった?
豪井「いや、いいタイミング〜。
古住「そう
豪井「じゃ、そろそろはじまるよー
夙川「はいっ
桝田「オッケー
ぬぺ「うす
豪井「みんな準備はいいですかー
皆々「はい!
豪井「本番、気合入れていきましょー!
皆々「おーっ!(みな退場)
豪井「じゃオープニング映像スタートお願いします
聡志「りょーかい(プロジェクターを操作)
豪井「はじめるよー。照明さーん。暗転お願いします(退場)。
-暗転。映像スタート

映像の中では、同じ舞台が写っている。画面中舞台に、次々に俳優が登場して礼して行く(カーテンコール)。拍手も。
全員が三礼して、映像は終了。

聡志「はいカーット!!!(で登場、本当のカーテンコール)

---終劇---

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